21.布団がないなら一緒に寝ればいいじゃない。
よろしくお願いします。
「ごめん…マナトくん…。
今からお布団買いに行けなくて…。
お兄ちゃんはいつもソファで寝るから忘れてた…。
申し訳ないんだけど、今日はマナトくんもソ「ねぇシアン。昨日一緒に寝たけど大丈夫だったじゃん。
しかも付き合ってるんだし、一緒のベッドで寝るのなんか問題ある?」
「え?問題…ないの?」
「え?問題ないでしょ?」
「一緒に寝るのは…なんかえっちだな…と思って…」
「え!一緒に寝たらエッチなの?どんな想像してんの!」
「え!いや想像って言うか…」
「もぅ…シアンのえっちー。俺結婚するまでそんな事しないってー」
「え!そーなの?」
お風呂でのあのアレはカウントされない…?
「なに?シアンはして欲しかったの?」
「あ、いや!そーじゃなくて!」
「シアンがどーしてもして欲しいって言うんなら、俺は…恥ずかしいけど、いいよ…?」
だから何で私がエロオヤジみたいになってんだ!
「ややややややや!私も恥ずかしいから!」
「えー?俺の身体舐め回すように見て、ちんこ洗いたいって言っといて?マジ?」
「ちんっ!いや!だから…そ…その件につきましては自分自身に対して…誠に遺憾であり…」
「でも、全く興味ないって言われるより嬉しいんだけどね?
ホントにシアンは俺の身体とかエッチな事とか全く興味持ってくれないの?」
「いや、そんな事はないよ!って恥ずかしいから聞かないでよ…」
「少しでも興味持っててくれてよかったぁ…。
それに、俺1人じゃ寝付けないけど、昨日シアンがくっ付いて寝てくれてた時、良く眠れたから…一緒に寝てくれたらいっぱい睡眠時間取れると思ったんだけどムリなの?」
「え?そうなの?私が隣りに居たら眠れそうなの?」
「うん!多分!絶対すぐ眠れると思う!」
「多分絶対…そか…。分かった!じゃあ、一緒に寝てみようか」
「うん!」
「じゃあ、ちょっと…運動して汗かいたから身体だけササササーっとシャワー浴びてくるよ…」
「じゃあ俺もー」
「え…あ、はいー」
反論しても時間が長引くだけでマナトくんは一緒に入るだろう…。もう1回入るのも2回入るのも一緒だわ…。
極力マナトくんを見ないように気を付けよう。ちんだけはマジで。
しまった…忘れてた。困ったぞ。
私は寝る時パンツが履けない…。とてつもなく身体がダルくなるから。
それこそ起きたら服を全部脱いでる事は良くある。
だから、極力泊まりの旅行は行かないようにしてた…。
あ!今日の朝みたいに先に起きれば良いんじゃないか!だってマナトくん爆睡してて起きなかったし!
まぁ寝る時だけ我慢すればよし!薄手の伸びる生地の服にしておけば寝ぼけて脱皮する回避率は上がる!
伸びる生地のキャミソールのワンピースを用意してお風呂場へ行く。
マナトくんがもう全裸だけど強い意志を持って視界に入れずに洗濯物を朝仕上がるようにセットしておく。
「よし!お待たせ!サササササーっとシャワーだけね?」
「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。
シアンの事洗いたいんだけど…」
「あーーーーーーーー。
お風呂入ってから運動したから絞れてる事にする…か」
たった20秒で…?はは…
「ってか、シアンもともと引き締まってるよ?お腹ぺたんこじゃんか」
もうここでマナトくんと押し問答してたら4時になっても寝られないわ。
「分かった…洗ってくれる?」
「やったー!優しく洗うね」
もはや悟りの境地。
温まったシャワーをさっと浴びるとマナトくんがボディソープを手に取って私の背中を手で洗い始めた。手で。
「わぁシアンの背中スベスベだぁ…ずーっと触ってたい」
「まままマナトくん。て手で洗うの!?」
「そーだよ?ゴシゴシタオルは2〜3日に1回にした方がいいよ?」
「え、そーなの!?」
「うんお肌傷付けちゃうらしいよ」
「マナトくんってホント物知りだね。へいSiri」
「すみませんよく分かりません」
「あはははは!」
「ふふふ。シアンこっち向くの恥ずかしいなら後ろから洗うね?」
「あ、うん。お願いします」
「はーい」
なんかめちゃくちゃされるんじゃないだろうかと身構えていたけど、何のいやらしさもなくサクっと洗って泡を流してくれた。
「お股とかお尻は自分で洗ってね?」
「あ、うん!洗ってくれてありがとう。マナトくんの手しなやかだから気持ち良かった!」
「ホント?良かったぁ」
マナトくんは私が自分の事をしてる間にサッと洗って「おさきー」と先に上がって行った。
はやっ!
いや…期待してた訳じゃないんだけど、そっかそっか。
確かに、えっちな事は結婚するまでしないって言ってたし、そう言えばさっきも私がマナトさん(ω)を見て洗いたそうに見ていた(と思われた)からあんな事になったのか…。
ありゃ…。私のせいじゃん…。ははは…。
やっぱりマナトくんって誠実で優しい人なんだなぁ。
私も身体を拭いてグレーのキャミのワンピを着て薄手のピンクのパーカーを羽織った。少しお水を飲んで、寝る直前に歯磨きがしたくて歯を磨いた。
ガチガチに緊張しながら寝室へ入った。
マナトくんはベッドに横になってスマホを触ってた。
ちらっとこっちを見て固まったままカシャと音がした。
へ?写真?撮りました?
「ひゃー!こんな格好で写真やだぁ」
「え、いいじゃんめちゃくちゃ可愛いんだもん!スマホ持ってたら写真撮るでしょ!撮らなかったら被写体に失礼だよ!」
「被写体!」
「今日してた格好も、昨日のスーツ姿も写真撮らせてね?勿論コスプレも!」
「え…勘弁してください…ムリムリ」
「ムリじゃないよ。え、じゃあどっちがいい?
服着て写真撮るのと裸で写真撮るの」
「着てる方でお願いします」
「分かった。コスプレも楽しみだなぁ…ねぇシアン。今一緒に撮りたいからちょっとくっ付いて?」
「え、今!?すっぴんナンスけど…」
「お化粧してても可愛いけど、すっぴんはもっと可愛いよ!付き合った記念で2人の写真撮りたい」
「あー。ちゃんとお化粧してる時に可愛いカフェとかで撮りたかった…」
マナトくんがワクワクキラキラのおめめで見てくるから、くっ付いてスマホのレンズを見つめる。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!
連写!
「あはははははははははは!めっちゃ撮るじゃん!まだ撮ってるし!もぅいいって。マナトくん」
私はマナトくんをこっちに向かせてキスをした。
ちょっとしてシャッター音が終わった。
離れようとしたら、バサっと倒されてマナトくんが覆いかぶさって来た。
わっ!
「シアンはいつもめちゃくちゃ可愛い事するね」
「…そーなのかな…」
ゆっくり顔を近付けて来て唇を合わせた。それはすぐに深いものになり、私の下唇をマナトくんが何度も吸う。
もっと欲しくて頭や首に手をまわす。私の唇をこじあけて舌が入って来た。口の中をちろちろと舐められてくすぐったい。
舌がふれ合いそうになるから、マナトくんの舌から逃げ回っていたら口の隙間に親指を入れられて閉じられなくなった。
マナトくんの舌が深くまで入って来て私の舌に絡められる。ぞわぞわして息が上がるのに口で息が出来ないから、鼻息が荒くなって恥ずかしい。
「んふっ…はふっ…んっ。マナト…ん…待っ…て…」
「んー。どーしたの?」
「息できなくて苦しい…」
「あ、ごめんね!つい…」
「ううん…。大丈夫…。でも慣れてないからゆっくりして欲しいかも…」
「分かった。じゃあ今日はもう我慢する。あ、おやすみのチューだけする」
「うん。分かった。ちょっとパーカーだけ脱がせて」
手早く上着を脱いでサイドテーブルの上に適当に置く。
「お待たせ。おやすみマナトくん」と、軽いキスをして仰向けに寝る。
少ししてマナトくんは起き上がってシャツを脱いでいる。
やっぱり眠れないのかな?
身体をマナトくんの方に向けて腕を伸ばして横向きになる。
「ねぇマナトくん抱っこおいで?」
「うん」
マナトくんが思ってたよりも私の身体の下の方に頭を寄せて来たからとてつもなく密着してる。顔がおっぱいに。
でもしっくり来てる感が凄くて気持ち良い。何だろこのパズルのピースがはまった感じ。
頭を撫でる。サラサラの髪に手を突っ込んで手で梳かす。
「撫でられるの気持ち良い…」
「眠れない?」
「ううん?昨日と少し違うのと、いつも上は着ないから…」
「今日はお酒も飲んでないし…。環境も変わってるし、色々あって神経もたってるかもだからなかなか寝付けないかもね…」
私も服着てるからなぁ…。
「…うん…。大丈夫。心地良くなってきてるから…」
「そ?おやすみマナトくん…」
「…ん…」
びっくりする位すぐにスースーと寝息が聞こえてきた。
「マナトくん眠れて良かったね。おやすみ。愛してるよ…」
眠りが浅い間はしばらく頭を撫でていてあげようとうつらうつらしながらも一生懸命手を動かしていたけど、マナトくんが本格的に眠ったのを見て私も眠る事にした。
マナトくんが腕の中に居て、私の腰辺りにまわされる温かい腕の感触も安心できて心地良かった。