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2.ビールが苦手な近衛兵はネコである。あ、いや普通の意味でね!

よろしくお願いします。





 駅前の遅く(始発近く)までやってるチェーン店の居酒屋さんに入った。


「ほぉーーー。最近の居酒屋さんはタッチパネルなのか…。ひぇー。」


「タッチパネルで注文出来るお店増えましたよねー。俺とりあえず生で」

 

 おー須藤氏『とりあえず生で』の人だ。



「そうなんですね。最近飲み会とか全く参加してなかったから知らなかったです

 須藤さん生ビールですね!

 私はとりあえずの…ジントニックにします。


 お料理は一旦2人でつつけそうな物を適当に少し頼みますね!欲しい物があったら言って下さい。

 シーザーサラダと和風サラダならどちらがイイですか?」


「どっちも好きですが、今はシーザーサラダの気分ですね」


「やった!私もシーザーサラダの気分です!

和風もめっちゃ好きなんですけどねー。


 あとは、若鶏の唐揚げ…

 明太ポテトチーズ焼き…

 サイコロステーキ…

 ほっけの一夜干し…


 あ!食べられない物とかありますか?

 後、須藤さんは何か決まりました?」


「アレルギーとか食べられない物はないです!

 んー。まだ決まってないので後で注文します。


 凄いですね!今楠木さんが選んで下さったメニュー全部大好物です!楠木さんと食の好みが合うの凄く嬉しいです」


 と少年のようにニコニコしている。


 なんと言う事でしょう…たらしです。


「ホントですか?ならよかったです。とりあえずこれで頼んでしまいますね」とにっこり返す。


「須藤さんって…モテるでしょう。」


「……………いやいや楠木さんこそ。」


 間がありましたぞ。間が。


「はは。んな訳ないでしょー。」

「楠木さん凄く可愛いですよね。」


「あー。分かります。その可愛いはパグ犬とかフレンチブルが可愛いと同じ可愛いですよね。分かります。マスコット的な可愛いですね。ありがとうございます。ゆるキャラになります。頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします」


「いや違いますって。自己評価低過ぎません?楠木さんは「お待たせ致しましたー」


 というやり取りをしていたら愛想の良い店員さんが飲み物を運んで来た。

 

「「ありがとうございます」」

 男の子なのに店員さんにお礼を?マジか。天然記念物や。では乾杯のアレをやりますか…


「ごほんっ。ちゃっ。えーーーお集まりの皆さん本日はーーー。私のせいで終電に「宴会部長ー!話が長いぞー!口をちゃっちゃ鳴らすなーかんぱーい」」


「え!須藤さんツッコミも出来るんですか?あはは!野次だった!楽しー!」と2人で笑いながら乾杯した。喉が渇いていたようでお互いほぼ一気飲みだった。


「次は何飲みますか?

 須藤さんビール飲めるんですねー。心から尊敬します。私はまだビールの美味しさが分からなくて…。」


「ビール飲めないんですか?」


「そうなんですよぉ。まぁビール飲めなくても問題なく生きて行けますし、わーーー。空きっ腹だったからめっちゃ回る…足が…足が…足の付け根が溶けそうです…」


「足の付け根ですか…?」


「うー。味とニオイが苦手なのと…ビールを飲むとね…。

 何故か笑いが止まらなくなるんです。めちゃめちゃうっとーしがられるし、ぞんざいに扱われて実は本気で傷付くので封印しているのもありますね。あはは…」


「笑い上戸になるんですね!良いじゃないですか!飲みましょうよビール!俺は楠木さんをぞんざいに扱ったりしませんよ?

 これでもかってくらい甘やかします。

楽しそうに笑いながら飲む楠木さんが見たいです!」


 んー。須藤氏は私が笑い転げても不機嫌にならないのかなぁ?


「あー。楽しくはなるんですが味も苦手なんで…」


「どこのメーカーのを飲んでましたか?メーカーによってビールの飲み易さは全然違いますよ?最後に飲んだのはいつくらいですか?チャレンジしてみませんか?ひと口飲んでみてやっぱり無理だったら俺が飲みますよ?」


 圧が凄い。でも試してみたいかも。どーしてもムリだったら、こー言ってくれてるし、須藤氏にごめんなさいして飲んで貰ったらいいか。


「なるほどぉ確かに。以前に比べたら味覚も変わってるかもですもんね!

ビール飲みます!

久しぶりに飲んでみたいです!


 あ、そうだ須藤さんは…ひぇっ!来たビール」


「お待たせ致しましたー」

 

 来るのやたら早い。

送信する前に来たんじゃ…。


「では…久しぶりのビール…乾杯」


 ひと口飲んで味わう。くっさ


 笑う。めっちゃくっさ

何となく出来心で舌を伸ばして上唇を舐めて唇を尖らせてニオイを嗅いでみた。

くっさ!!!!!笑う。やば!!!くっさぁ!


「ちょっと一瞬メールすみません」


 須藤氏は何やら携帯を操作し始めた。


 暇になった私は何度も上唇を鼻にくっ付けてクスクス笑い出した。


 須藤さんは携帯を操作しながら私を気にして微笑んでいる。


 テンションが上がってきたので、須藤さんが写真を撮ってると見立てて、昔ながらのビールのポスターの真似をしたり、色々ポーズを取ったり変顔してふざけて1人でケタケタ笑いながら遊んだ。



 もう少し飲んでみる。確かに昔感じた苦味と比べればそこまで酷くないかー。ニオイはナシよりのナシだけど味は気にならない程度だなー。メーカーの違いかー。ゴクゴクと一気に飲み干した。


「おー。飲み方が男らしいですね」


「えぇ騎士ですから。そー言えばビールは20歳の頃飲んで2年程…飲んでなかったかもです。」



「え?騎士?ってか…今年何歳?23歳?なら同い年ですね」


「え!マジ?須藤氏23?誕生日がきたら23です。なーんだぁ。おないかぁ。

中2の時中2?はははははっ!

 マジか!んじゃ敬語はなしだぞ!コノヤロー!ははははははははははっ!」


「氏…」


「あっ!ビックリして脳内の呼び方が飛び出した!あははははははっ」


「そーだね。敬語はなしだね。シアンちゃん」


「あー!そーだねマナト氏あははははっ」


「氏…シアンちゃん面白いね」


 なんかビールが。また来た2杯(白目)


  おい呼んでねーぞ!ビール


 コレを飲み干したらタッチパネルを奪還し、カシスグレープフルーツを頼む!絶対にだ!


 近衛騎士だから気合いでビールを飲み干して甘いカクテルを注文した。


 ひと息付いたので、気になってた事を聞いてみた。

 

「ねねねねねねねねマナトきゅん、この駅が会社の最寄り駅?

あー。とーとーしゃべりにくくなってきたぁー」


「ふふふ。舌足らずなシアンちゃんも可愛いよ?

 

 そーそココから歩いて5分くらいの川沿いのセントラル・コーポレーションってとこなんだけど知っ「えーーーー!めっちゃ大企業じゃん!そしてめっちゃウチの近くだよ!終電なくなったらいつでもウチにおいで!もーなんならウチから通う?あはははははははっ」


「え!いいの?…シアンちゃん彼氏は?」


「彼氏なんていないよぉー。めそめそ」


「めそめそ言ってる。ふふふっ。シアンちゃんホント面白いね!可愛いし一緒に居ると楽しいや。そっか彼氏いないんだね…」


「お!私と居るの楽しい?癒されるー?

これが!

これが!需要と供給!

ギブアンドテイクというヤツですな!

 丁度私もペットを飼いたいと思ってたんだよー!」


「え?どーいう…、ペット飼うの?」


「そーなの!今日帰ってる時に丁度思ってたの!

1人寂しいなぁって。だからマナトきゅん遊んでーっ!癒やしてっ!」

 

「ん?うん。よく分からないけど、シアンちゃんが俺と遊んでくれるの?1人だと寂しいもんね」


「そーだの!あははははは噛んだ!そーだよとそーなのが混じったっ!!とにかくめっちゃ遊んでくれたまえっ!」


「うん分かった。よろしくねシアンちゃん」


 とニコニコ笑ったマナト氏は右手をさし出して来た。

両手で撫でくりまわしてやった。むはははは!


「うむ。良い飼い主になるぞよ。期待しておれ。いっぱいおいしいご飯と可愛いお服もおもちゃも買ってあげるからねぇ。

 よーしよしよしよしよし。マナトきゅんはココを撫でられると喜ぶんですねー。よーしよしよしよしよし」


 手を伸ばしてマナトくんの耳の後ろから首筋に掛けてをこしょこしょした。


「え?どっちが飼い主?ふふふくすぐったいよー」


「え?そりゃ私じゃんか」何言ってんだ


「あ、そーなの?でも、日替わりで飼い主交代するのもいいんじゃない?」


「何それ!面白そう!やるやるー!んじゃ私ネコぉー!見て見て!にゃーす!」


 ガチ招き猫のポーズ。


「…っ!ぐっ…………耳……わ……しっぽ…

 やっぱり……

………なら………解さ…とな。」


「んー?なんて?」


「ん?シアンちゃんネコ似合うなーって、種類は何かなぁって」


「あーやっぱネコ様が至高ですにゃー。

えー、私なら、、何だろエキゾチックショートヘアじゃない?」


「どんな子?」


「ちょい待ってね?…ぐーぐる先生に画像を…ほい」


「全然ちがーーーーう!」


「そんな声張る?あははははははっ!」



 マナトくんのピッチが早くて同じタイミングで注文を促されるから相当飲んでいる。


 マナトくんは優しく笑い掛けてくれる。

いっぱい話しを聞いてくれる。


 色んな勉強をして得た知識を、今知ったみたいに優しく教えてくれる。マウントをとってバカにしたりしない。


 息が出来なくなるくらいバカ笑しても冗談を言っても不機嫌にならない。


 他の人みたいにうるさいから笑うなって怒ったり、何が面白いのか分からない。ってバカにしたりしない。それどころか、一緒に笑い転げてくれて、もっともっと面白い形に変えて笑わせてくる。

 

 掛け合いをし続けて2人してめちゃくちゃに笑った。


 この時はまだ気付かなかったけど、こんなに楽しい時間を過ごしたのは初めてだったのかもしれない。


 

 久しぶりのお酒に久しぶりの楽しい時間を過ごして完全に飲み過ぎているから、そろそろお水飲んで!と言う自分と、いいんじゃなぁい?楽しいし〜。とフワフワ楽しもうとする自分が、黒板の落書きを消しながら、やいのやいのと言い合っている。


(ちょっとー黒板消しココでパンパンしないでよぉ。


んあ?ウトウトしてた。。何時だろ。え?2時前・・・あちゃー。1時間くらいで切り上げるつもりだったのに!︎帰ろう。)



「マナトくんマナトくん!

ごめんね!帰ろ!タクシー乗れる?オウチどの辺?おーい…


ふぉーーーー。。

マナトくん暇過ぎて寝ちゃったんだん、、」


 そりゃそーかぁ私マナトくんを放置して寝ちゃったのか。。サイテー…。わたし…。


 シバキ倒してくれればよかったのに。この子はホントにいい子だなぁ。泣ける。



 おーい帰ろー。おいおーい。おいおいおーい。おーい。と何度か声を掛けてゆすり起こしてみようと試みたが、むにゃむにゃ返事をするだけで全く起きなくて途方に暮れた。



 


お読みくださいましてありがとうございました。


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