13.デートですか?定番は防具屋ですね。知ってます。
よろしくお願いします。
ネイビーのパーカーを羽織った。
デートなんて初めてでどうしたらいいのか分からない。
「シアン。右手貸して?手、繋ぎたい」
「あ、うん。…私も繋ぎたい」
サラッと言えちゃうマナトくん凄いなぁ。イケメンのイケメンたる所以。何言っても断られた事のない選ばれし者の余裕。いや貫禄か。
あ!なんか!手汗が心配になって来た!
「マナトくんごめん!緊張して手がびちゃびちゃになりそうだからムリ!」
「どれー?えー全然じゃん。俺はシアンの汗なら飲みたいから大丈夫だよ。気になるの?
んー。分かった。2人でハンドクリーム塗って手繋ご?」
「うん私の汗飲んだら病気になっちゃうからダメよ」
あー。なるふぉど。すぐに解決してくれるのね。ステキ過ぎる…。
2人でハンドクリームを手に塗って改めて手を繋いでみた。手汗は気にならないけど…。ヌルヌルしてて落ち着かないぃ。
マナトくんが親指で手の甲をクルクルしたり、色んな指を使って掌や指の間をするすると撫でる。
最初は少しくすぐったかったけど、慣れると気持ち良くて、私もマナトくんの指を撫でたりして楽しんだ。保湿を兼ねてハンドマッサージをしてる気分だった。
荷物を置いて着替えをしたいと言うので一旦マナトくんのオウチへ行く事になった。
好きな男の人の部屋なんて初めてでドキドキソワソワする。
なんと!マナトくんのオウチは私の会社の最寄駅と同じだった!今度から、終電逃したら(終電まで滅多に仕事しない人)マナトくんチに泊めてもらえる!なんてエッチな事考えてたら着いた。駅近の良い所に住んでんなー。なんとオシャレなエントランス。
「でざいなーずマンションですか?
スタイリッシュでマナトくんに似合ってるね!カッコイイー!こんな所に住んでみたいなー」
「いいよ?一緒に住も?」
マナトくんの微笑みが眩しくて心臓を押さえる。
ぐふっ…。カッコイイーーーー!
「ま、マナトくん…顔が良過ぎるのに加えてそのセリフは心臓に悪いわ…。私じゃなかったら流血沙汰(鼻血)よ。お邪魔しまーす」
「俺が好きなのはシアンだけだよ?シアンにしか言わないし、シアン以外の人と一緒に住む気なんてないもん」
「あはは。ありがとぉ…」そんなストレートにくると照れちゃう。
マナトくんのお部屋はなんと言うか…。モノトーンなカラーでイメージ通りだった。ムダな物が一切なく、と言うかムダに生活感もなかった。
え…。ここに住んでるの?物少な過ぎない?
「コーヒーでいい?座って待ってて」
コーヒーとかマグカップはあるんだ。
「わぁい。ありがとうございまーす」
ソワソワする。いつも何して過ごしてるんだろ…。
「あれ…?」と言う声がしてキッチンを見ると水道のレバーを上げ下げしてるマナトくんがこっちを見た。
「どうしたの?マナトくん」
「急に水が出なくなった…とりあえずコーヒーの分のお水は確保した」
「え!なん、どーゆー事?いやいやコーヒーどころじゃないない。1回落ち着け!私!」
「ごめんシアン。1階の掲示板確認してくる。断水のお知らせなんてなかったと思うけど念の為」
「うーん断水?」
お休みの日に点検とかメンテナンスはあんまりないと思うし…。まぁ絶対とは言い切れないね。原因分かればいいな。
しばらくして戻ってきたマナトくんは、深刻な顔をしていた。
「どーだった?」
「うん…。管理会社にも確認してみたけど、断水の予定はないし、原因は分からないみたい。業者を手配するのも連休明けになるって言われたー」
「えーーーーー!連休中お水出ないとめちゃくちゃ困るじゃん!」
ウチ来る?って誘ってみる…?
でも余計なお世話かなぁ?まぁ聞くだけ聞くか。
「マナトくん…差し出がましいようですが、お水の件が解決するまで私んチにいる?」
「いいの!?」
うぉっ!びっくりした!食い気味だし!
「うん!もちろん!どーんと泥舟に乗った気持ちでおいで!永住してもいいよー」
「泥舟沈むじゃん!永住する!ありがとう!じゃあ着替えとかお泊まりセットの準備するからもう少し待っててね!」
「おっけー」
「なんだかごめんね。こんな事になってしまって。荷物は後で取りに来るよ」
着替えを済ませたマナトくんは黒いパンツにグレーのシャツを着てネイビーのパーカーを羽織って来た。
わー!カッコよ!
「パーカーの色お揃いにしてみた」
なんだか恥ずかしそうに肩をすくめて微笑まれて鼻血が噴き出るかと思った。
カッコイイし言う事やる事全部可愛いなぁ。
「やったねお揃い!マナトくんやっぱカッコ良いね!そのはにかみ笑顔鼻血が噴き出るからやめてね?」
大きな駅に移動した。地下街や近くの商業施設でショッピングをして、可愛いと思ったり、何だコレ?と思って手に取った物を片っ端から買おうとするマナトくんに無駄遣いはダメよ!と言っていなす。と言う幸せなやり取りをした。ありがとうございます。
マナトくんがジュエリーショップに入りたがったので、絶対買わない意思を持ってお店に入った。
絶対買いません!って腕章か、たすきないかな。
気に入った素振りを見せたらマナトくんは絶対買ってしまうと思う。
ジルコニアかな?あんまり詳しくないけど、小さい石が1つあしらわれたシルバーで細身のデザインの指輪を勧められるままに試着してたら「結婚指輪はどんなのにしようか」と言われて死ぬほど動揺した。
また来まーす。と言って無理矢理お店を出た。凄く疲れた。
でも「これだけはどうしても受け取って!」と可愛い雑貨屋さんで髪飾りを買ってくれた。大切に使います。
いい時間になってきたので、食事をする事にした。
「シアンはお肉と海鮮どっちが好き?」
「両方好きだよ」
「何か食べられない物あったっけ?」
「んー。ないけど強いて言えばムシかぁ…」
「あー。それは俺も一緒だから大丈夫。
何階だったかな…」
エレベーターを上がってフロアに出ると
「わぁ凄い夜景綺麗だねぇ。後で見ようね!」
「うん!この前兄さんと来て、シアンを連れて来たかったんだ」
「予約してました須藤です」
予約してた!
「須藤様お待ちしておりました。ご案内致します」
おぉお高そう…。まぁ今日は初デート記念だし!お値段は気にせずお料理を楽しもう!
目の前の鉄板で調理される伊勢海老やアワビさんにお肉様は今まで食べた事ないくらい美味しくてほっぺが落ちるとはこれか。と思った。
「美味しかったぁ!お会計は…」
「そんなの気にしないで?もう終わらせてるよ」
なんて事っ!
「はやっ!私も払うよ!」
「あの時助けてもらったお礼と、それに今日からしばらくお世話になるんだから、ご馳走させてよ。ね?」
「あー。うん。分かったありがとう。ご馳走様でした。めちゃくちゃ美味しかった!今度は私がご馳走するね!」
「俺はシアンの手作りのご飯が食べたいなぁ。キュウリ半分に折っただけのサラダでも嬉しい」
「へへっ。手で折ったキュウリなの?あはは。ハードルが低くて助かります。大した料理は作れないけど頑張るね」
お店を出ると、壁一面が大きな窓の様になっていた。
「わぁー。キレイだねぇ…。」
ぼーっと景色を見ていたら、マナトくんが腰に手を回して来た。
あの…近いです…
ビックリしてマナトくんを見ると悲しそうな顔をしてこっちを見てた。
どしたのっ!
「シアン…。俺ね?あの時からシアンの事、ずーっとずーっと大好きだったの。シアンが迷惑じゃなかったら…付き合って欲しい」
今日!?今日付き合うの!?展開早くない!?いや普通を知らんけど!
えーっとえーっと…。これは返事を待ってるんだよね⁉︎えーっと…どしよ…。
「ん…うん。昨日からマナトくんといっぱいお話しして一緒に居て楽しかった。
マナトくんがしてくれた色んな事が嬉しかった。思えば、人と居てこんなに心地良く思って、いっぱい笑ったの初めてかもしれない。
私もマナトくんが好き…だよ。
こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします」
「…っ!ねぇシアン…抱きしめてもいい?」
「え!ここで?」
「うん。今は周りに人居ないけどお外だから一応聞いてみた」
えー。いやー。お外でイチャイチャする人にはなりたくないと言うか…。
「あーうぅん。ダメかなぁ…。」
マナトくんがこの世の終わりみたいな顔して笑ったから、可哀想になって…。
「あ、…オウチでなら…いいよ」と言ってしまった。
ーマナトsideー
シャワーを浴びながらガチガチになった息子を慰めた。
髪を乾かしメールを確認する。
『水道の元栓?
分かった!閉じたら連絡する!』
『完了!』
『連絡する』から『完了』までの時間2分って。早いな。平井さん今どこに居るんだ?
『ありがとうございます!今から支度して楠木さんと向かいます。
念の為メールは削除お願いします』
俺も送受信削除した。
サーモンピンクにネイビー!可愛い…。
俺もアウターはネイビーのパーカーにしよう。
手汗が気になってムリとか可愛いなぁ。でも、そんなんで手を繋ぐのを我慢するのヤダし。
ハンドクリームで誤魔化されてくれた。
ヌルヌルとシアンの手を撫でまわす。
こんなエロい事されてるのに気付かないってヤバいな。
しかも俺にもしてくれてる。気持ち良い…さっき抜いてなかったら絶対勃ってたな。
早速俺んチに連れて行って、水が出なくなったと言ってみる。申し訳ないくらい心配してくれた。
優しいシアンはお水の件が解決するまで家においでと言ってくれた。
よっしゃー!同棲にもつれ込ませられた!
平井さんに感謝だな。俺が1階に行く用事を作って元栓を閉めても良かったが、絶対シアンが付いて来ないとも言い切れない。
ともあれ全て上手く行ってる。シアンが素直な優しい子で本当に良かった。
旅行の準備は慣れている。5日分ずつ手早く種類別にバックに入れ準備して完了だ。
後でもう一度取りに戻ってタクシーでシアンの家に帰ろう。
シアンとの初めてのデートだから、本当はもっと気合を入れたかったが、色んなお店を見て回って、シアンがどんな物に興味を持ってどんな物が好きなのか把握できたので良かった。
シアンが興味を持った物は全部買ってあげたかったが残念ながら却下された。
ネックレスや指輪を贈りたいが遠慮されるだろう。
指輪のサイズも分かったから今度プレゼントしよう。付き合って欲しいと告白する時に渡そうかな。と、この時は思っていた。
夜ご飯はあのお店にする。兄さんと食事をしながら、絶対にシアンをここに連れて来ようと決めていたんだ。
こんなに喜んでもらえて嬉しい。連れて来られて本当によかった。
夜景を見ているシアンを見ていたら遠い存在に感じて悲しくなってしまった。
付き合って欲しいって言うのは、まだ先にしようと思っていたのに、我慢できずに言ってしまった。
言ってから断られたらどうしよう!って不安になって吐きそうだった。
でも、オッケーをもらえた!付き合えた!奇跡みたいだ!シアンと!付き合えた!
もう絶対逃がさない。
お読みくださいましてありがとうございました。




