表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/20

第20話

 サブに連れられ部屋を出た時には空は明けていた。一晩中あの悪魔のような女に監禁されていたようだ。窓から差し込む太陽で目が痛い。

 部屋を出て玄関に向かう廊下では老若男女が立ち並び頭を下げてくる。「お疲れ様です!!」や「感服いたしました!!」など、よく分からない言葉を投げかけられるが、怖くて目を合わせることもできない。

 かけられた言葉に少しの疑問は抱くが、早くこの場からから逃げたい一心で早足に玄関へと向かう。


 しかし、玄関を出ても長いのがこの家。

 デカい庭に作られた道を軋む体でなんとか歩いていく。前を歩くサブも俺に気を使ってか少し歩むスピードを落としていてくれている気がする。 


「……おい」

 

 そんな道中。特に意識はしていなかったが視線が気になったのか。歩み止めこちらを振り返る。相変わらずの強面だがどこか哀れみを感じるような視線。気の所為だろうか。


 「大変だったな」

 「え、ま、まぁそうですね……正直」

 「ふっ……」


 何が聞きたかったのか。少しの笑みを浮かべてまた歩き出す。 

 正直に言えば大変でしたとか。疲れました。どころではない。お宅のお嬢さんは立派に犯罪を犯しております。しかも高校1年生で先輩の男を監禁。さらに言えば友達のお兄ちゃんを、である。一体どんな教育しているんだこの家は。……大声でと言ってやりたいが、この家ではむしろ教育に成功していると判断しているのかもしれない。どこまでも恐ろしいギャルである。


 そんな言いたいことはグッと抑えてさっさと家に帰って冬美をこれでもかとしばいてからゆっくり寝よう。うん。そうしよう。


                  ◇


 そこからは会話もなく車道に出る最後の扉を開けるサブ。

 首をクイッと曲げて合図を出す。ここから出ろ。ということだろう。


 「ありがとうございました……」


 こちとら全くありがたくないが一応の礼儀で挨拶をするとサブも返すように口を開く。


 「おい」

 「はい?」

 「お嬢を頼んだぞ……、夏己なつき


 バタッ。


 「え……?」


 お嬢を頼む……?

 おいおいおい、ちょっと待ってくれと。

 なんか嫌な勘違いをされている気がする。それも盛大に勘違いをされている気がする……。が真意を聞く前に無常にも扉は閉められる。


 「……とりあえず帰るか」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ