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九徳九罪  作者: sSnake
プロローグ
2/3

第2話 能力の円卓~大罪編~

 気が付くと"俺たち"は真っ白な空間にいた。


 「一体何が起こったのか分からないけど、授業なんかよりよっぽど面白そうじゃない」

 「ったく、どこだここは?」

 「な、なにが起きたの?」

 「なんだここ?なんもねぇところだな」

 「どこだか分からないけど、ご飯ないの?おやつでもいいわ」

 「もう、どうなってるの?カレとの大事な用事があるから早く帰りたいんですけど」

 「…ん?どこ?ここ?」


 目の前には大きな円卓、その周りを7人で囲んでいる。

 暁星炎ぎょうせいえんさん、進堂しんどうくん、深海ふかみさん、烏鴉うがらすくん、高山たかやまさん、䍧鴕そうださん、そして、コイツの7人だ。

 それぞれの前には紙が一枚ずつ置かれている。

 その紙には、それぞれの名前と数行の文が書かれていた。


 「なんかご丁寧に俺たちの名前が書かれた紙があるけど、なんだこれ?」


 その紙に、一番に興味を示したのは、烏鴉うがらすくんであった。


 「え~と、なになに…?」


 すると、烏鴉うがらすくんは書かれている内容を読み上げた。



 〈烏鴉うがらす みつる

 

 全てを自らの物とし、他者に譲らぬその態度を模し、汝にこの能力を与えん。


 【強欲】能力:対象の効果を奪い、自分に付与する

     欠点:負の効果も含める



 「く~、なんか面白くなってきたな!他のヤツの効果が奪えるってワケか!でも、悪い効果も奪うっていうのが厄介だな…」

「何だかよく分からないけど、スゴそうだね!私だったら、ご飯が延々に食べられるとかかな?どれどれ…?」


 烏鴉うがらすくんに続いて、高山たかやまさんも読み始めた。



 〈高山たかやま かおる


 底知れぬ食欲に身を任せ、全てを貪るその態度を模し、汝にこの能力を与えん。


 【暴食】能力:効果を倍増する

     欠点:消費する魔力も倍増する



 「って何これ~、効果が倍増するのはいいけど、消費する魔力も倍増したら意味ないじゃん、期待して損した~」

 「そろそろ私がいこうかしら、この私が1番だけじゃなくて、2番目も譲ったのよ、悪いものだったら許さないわ」


 続いて、暁星炎ぎょうせいえんさんが読み上げ始めた。



 〈暁星炎ぎょうせいえん ひかり


 他者を見下し、自らを持ち上げるその態度を模し、汝にこの能力を与えん。


 【傲慢】能力:周囲に負の効果を付与する

     欠点:味方も含める



 「さすが私、良い能力を貰ったわ。欠点なんてあって、ないようなものだわ。」

 「ふざけんなよ、こっちが弱体化されたらどうしてくれんだよ!」

 「なぜ、私のそばにいる前提なのかしら?私の周囲にいなければいい話じゃない」

 「ったく、うるせぇな!俺がお前よりイイやつ引いてやる!」


 その次は、進堂しんどうくんが読み上げた。



 〈進堂しんどう 友閒ゆうま


 内に留まることを知らず、他者に牙を剥くその感情を模し、汝にこの能力を与えん。


 【憤怒】能力:周囲の負の効果を倍増する

     欠点:味方も含める



 「あーもう、なんだよこれ!これじゃ、暁星炎ぎょうせいえんと変わんねぇじゃねぇか!」

 「ちょっと、さっきからうるさい!今、カレとの約束の時間に遅れそうで、必死に言い訳を考えてるの!これで、新しいバック買ってもらえなくなったらどうしよう…。あ~もう、ダメだダメだ!一旦、頭リセットしないと!で、なんだっけ?この紙になんか書いてあるんだっけ?えーと、なになに?」


 今度は、䍧鴕そうださんが読み始めた。



 〈䍧鴕そうだ たき


 自らの美貌を以って他者を翻弄するその態度を模し、汝にこの能力を与えん。


 【色欲】能力:複数の対象に正の効果を付与する

     欠点:正の効果は合計10割まで



 「複数ってことは二人以上ってことかな?私にぴったりじゃん!彼氏み~んなをパワーアップっ!なんてね。でも、合計で100%まで?人数上限があるってこと~?」

 「そんなの当たり前でしょ、だからこそ、あいつを荒波あらなみさんなんかに盗られたくないの!今度は私の番っ!」


 そして、深海ふかみさんも読み上げた。



 〈深海ふかみ りん


 他者を羨み、欲するが故にねじ曲がったその感情を模し、汝にこの能力を与えん。


 【嫉妬】能力:対象の効果を複製し、自分に付与する

     欠点:負の効果も含む



 「これを使って、あいつを振り向かせてみせる!悪いところもっていうのが気に入らないけど、この際、そんなこと言ってられないわ!」

 (「あとはコイツのだけか、え~と?」)


 最後にコイツの分を黙読する。



 〈夢見ゆめみ 大海ひろみ


 人目を憚らず、何事にも無気力であるその態度を模し、汝にこの能力を与えん。


 【怠惰】能力:休息時間の値だけ正の効果を付与する

     欠点:値の調整はできない



 「ふ~ん…なるほどねぇ…」

 (「コイツ、いつの間に起きてたんだ!」)


 「最後は夢見ゆめみくん、あなたよ?あなたはどんな力を貰ったのかし…ら?また白い光?もう終わりなの?まあいいわ、これから存分に楽しめそうだから良しとするわ」



 時を同じくして、別の生徒たちもまた、円卓の間に導かれていたのであった。

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