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優しさは人の憂いと書く 

いろんな思いが駆け巡って寝れない。

あいつは今ごろいい夢見ているんだろうなとか、あいつは大学入ったら何するんだろうとか、入学式はスーツでいくのかなとか。


皆で合格するって言うのが夢だったけどダメだった。

僕がぶち壊しにした。でも皆気にしていない。だって皆で合格しようっていっていたのは僕だけだっから。

寝れない。

夕方にあんなかっこいい決意表明をしたが、まだ妬みの感情は消えてくれない。


受かったやつの家が燃えればいいのに、なんて思ってしまう。自分の努力不足が原因なのに。


嗚呼、自己嫌悪。


でも、僕と親しかった(と自分では思っている)人は全員受かってるっぽいんだよね。自分を不幸にしてまで他人に幸せを与える。なんだか愛ちゃんと勇気くんだけしか友達にできそうにない。


友人を憎むってのはもちろん妬むことなんてしたくもない。だって6年間一緒に過ごしたんだもの。

でも、今まで心の底で下に見てた罰が当たったのかな。そう思ったら僕は断罪されたのか。


いやいや、勉強しなかった自分が悪い。神様なんていない。だってあれだけ祈って落ちたから。

だから、他人のせいにするなって。


だけど、この自責の念を一人で抱え込むにはあまりにも大きすぎて、誰かを巻き込みたくなってしまう。

と言っても僕の周囲の人間は軒並み受かっているから、傷を舐め合う相手がいない。


早く予備校にいきたい。そうして落ちた仲間にあって安堵したい。でも、そうすると腐っていく気がする。


正直、自分が今どんな精神状態なのかさっぱりわからない。正確に言うと、嬉しいや楽しいといったプラスの気持ちではないこと以外全くわからない。


ただ、明るい気持ちじゃないのに笑えと言われたら笑えるし、泣けと言われたら泣ける気がする。


心の容器が耐えきれなくなってヒビが入っているのか。それとも、もう既に穴が開いているのか。


レントゲンをとって心の状態が見えればいいのに。もしくはサーモグラフィーで心の温度がわかればいいのに。心の処方箋があればいいのに。抗鬱剤とかいう話ではなく、誰か僕が求める言葉をかけてくれるだけでいい。それだけで何かが和らぐ気がする。

でも、その言葉は僕にはわからない。


無責任だ。勝手に期待するなんて。


そもそも、受かった人たちは気を使ってくれているのかLINE等で全く僕に話しかけてくれない。


「卒業しても云々」なんて言ってるくせに合格して僕が不合格だと分かったら、パタリと連絡がやむ。いや、まだ1日しか経ってないからわからないけど。

多分そっとしておいてあげよう、というあちらの気遣いなのであろう。


でもそれが痛い。

エスパーでない限り人は他人の痛みなどわからない。これは当然の事実だ。そして、エスパーなどこの世にいない。伊藤さんを除いて。

この大前提のもとで考えると、気を使う側の人間、いわゆる勝ち組は、気を使われる側、いわゆる負け組の気持ちがわからないのだ。

ゆえに負け組がどう接してほしいか勝ち組はわからない。

それは仕方のないことだ。でも、一番の親友(と僕は思っている)には普段通りに接してほしかった。


そいつが試験後に失敗したと言ってもお前なら受かってるよと励ました。

そいつは一足先に第一志望に無事合格した。

僕はLINEを通じてだが、心の底からおめでとうといった。


それなのに今日、「ごめん、今はどう接していいかわからない。」と返信が来た。


悲しかった。自分に哀れみが向けられていることに。


触れない気遣いとは向けられた刃である。

本人はどういった気持ちで使っているのかわからない。哀れみなのか、絡まれたくないから無視するのか、同情してる自分は優しいといった陶酔なのか。

いずれにせよ使用者にしてみれば傷つけるつもりはないのだろう。

しかし、刃を向けられる方からしたらたまったものじゃない。ずっと刃を向けられていると気が滅入ってくる。いつ刺されるのか。いつ傷つけられるのか。こっちにはそれがわからない一方で、あっちは刃を向けていることを忘れていくのだろう。


人と人とのふれあいは傷のつけあいで、その傷を受け入れて人は交流する、なんて文章を現代文で読んだが、それが正しいとすると気遣いは害悪以外の何者でもない。

だって、こっちは丸腰で向こうが一方的に傷をつける準備をしているのにも関わらず、なんのアクションも起こさないからだ。

そしてこちらを(おびや)かしたまま、あっちは勝手に忘れていく。


これが勝ち組と負け組の差だ。

水が高いところから低いところへ流れるようにあちら側からこちら側へ「優しさ」が流れてくる。

いや、落ちてくる。雲よりも遥か上にあるような高いところから。


でも、溜まっていく「優しさ」をこちらはどうすることもできない。やがて重くのし掛かる。負担となる。


常に流れ落ちて来る「優しさ」。そんな障害を乗り越えて、負け組から勝ち組へと行けるのか。

果てしない差をどうするのか。


勉強するしかない。


受験は嘘つきだ。団体戦だと謳っておきながら結局は個人戦だったから。

受験は過酷だ。終点というものが当日まで見えないから。

受験は残酷だ。己の無力さがわかるから。

でもそれを乗り越えないと強くなれない。

衝動で書いてしまったけど、自分の率直な思いを書いたらスッキリした。

お休みなさい。

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