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探偵の俺.11

 ペイントレスはいったん部屋を出て行ったかと思ったら、本を持ってきた。

 「魔法は?」

 「あちらの世界にはありませんでした」

 「そうか。それではそれから説明しよう。こちらの世界では魔法というものが存在する。例えば」

 ペイントレスが机の上に置いた本になにかぶつぶつ唱えると、本が勝手に開いた。

 「このようなものだな。物を動かしたり、一瞬で別の場所に動かすこともできる。これは世間一般に『移動呪文』と呼ばれているな」

 「え、それだったらここにも侵入者が簡単に入って来ることが出来てしまうではないですか」

 俺は疑問を口に出す。

 ペイントレスは笑った。

 「そうだな。人を移動することもできる。なかなかの見込みが早いんじゃないか? だが、人を移動呪文で移動させるためには、『ゲート』というものが必要なんだ」

 「ゲート。出入り口ということですか」

 「まあ、その解釈はあっているだろう。人を移動呪文で移動させる際には、移動させる先にゲートが無いと不発で終わる。しかも、魔法を発動させる場所もこちら側のゲートでなくてはならない。まさに出入り口だな。今やった本を浮かべるような魔法とは違ってどこでも使えるというわけじゃなく不便だが、ゲートさえあればどんなに遠くても即移動できる」

 「便利ですね」

 「これのほかには攻撃呪文というのがあったり、物を別の物体に変える錬金術も存在する。さっき言ったような呪いも存在する」

 「とにかく、いろんな魔法がこの世界にはあるのですね」

 「そういうことだ」

 なるほど。どうやらこの世界はあっちの世界よりも科学力が劣っているが、その分を魔法で補っているというわけらしい。

 「だがな、魔法を使えるものは限られていて」

 「勇者のようにですか?」

 「いや、そんなに限られているわけじゃない」

 「では、限られているとは」

 「実はな、魔法は女しか使えないんだ」

 俺は驚いた。女しか魔法が使えない?

 「じゃあ、朝、魔法部隊って訊きましたけど、あれは」

 「そうだ。女で編成されている」

 そうなのか。俺は修行すれば魔法を使えるようになるかな、と考えていたので、また少しガッカリする。

 ふと、昨日のことを思い出す。俺が縄で縛られたとき、縄が蛇のように動いて俺の手足を拘束したのだが、その縄に魔法をかけたのは甲冑を着た背の高い兵士だったので、そうなると、あの兵士も女性だったということになる。

 「男尊女卑」が俺の世界だとあったが、女性も兵士になれるところを見ると、こちらだとそこが違うのかも。

 「あっちの世界では男が基本的に強いので、男が上に見られ、女は下に見られる、ということが残念ながらあります」

 「そうなのか。こちらの世界では男も女も力は同じだ。だから、基本的に男女平等なんだ。力が強くなくても、魔法さえ使えれば軍隊に入れる」

 なるほど。男は力が強い代わりに魔法が使えない。女は力が弱い代わりに男の使えない、魔法が使える。これが男女平等に自然となる理由なのだろう。


 ペイントレスは次の話を始めた。

 「さて、この世界は男女という別れ方以外に『ウェイライト』と『ゼインアフト』――つまり魔王軍だな―― に分かれている」

 「それ以外の国は?」

 「ない。どちらかに属する村や町があるだけだ」

 けっこう、この世界は地球よりも狭いのかもしれない。

 「ウェイライトにはどれくらい村や町、はあるのですか?」

 「ウェイライトか? ウェイライトはな……5千万以上はあるんじゃないか」

 前言撤回。地球と同じくらいありそうだ。

 「海は?」

 「海? 塩水で多くを占められる途方もなく巨大な湖のことを指しているのだったらあるが」

 海もこの世界にはあるらしい。だが、湖として存在しているらしい。

 「話を戻そう。知っていると思うが、我が国と魔王軍で、今、戦争をしている」

 「たしかに知ってはいますが、細かいところが分からなくて。それはどのくらいの規模なんですか?」

 「そりゃあ、世界を二分する国同士が戦争しているんだから、世界規模だよ。国境にはもはや兵士以外には民はいない」

 やはりか。第二次世界大戦も酷かったが、こっちの戦争もなかなか酷そうだ。


 「次は戦争のことを話そうと思う」


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