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婚約者来たる!ダンジョンハウスの主はやばい

久々に投稿

「ではガルガンティアにまいりましょう」


 偽有乳ぎうにゅうの破裂により精神的ダメージを乗り越え立ち直ったマリアベルジュがコルデリアを押しのけイザベラのダンジョンの話に対して答えを述べる。


「ガルガンティアってソーちゃんのとこの領地の名前だっけ?」

「そうだよ」


 魔王城の下に広がる広大な街がソロティスの治める領地。魔族領ガルガンティアである。

 もちろん、実質的に治めているのはマリアベルジュであるが。


「なんでそんな領地に? 買い物?」


 行く理由がわからないイザベラが疑問を口にするとそれに対してマリアベルジュがスッと指を一本立てる。


「理由はいくつかありますが一番重要なのはイザベラ様が魔族相手のダンジョンを作る気がないということでしょう」

「そこに違いがあるの?」

「おおありです。魔族相手なら鍛錬用、人間相手ならそれ相応の試練と放出が必要です」

「へー」


 イザベラとソロティスが感心したらように聞いている中、六死天グリメモワールのメンバーは退屈してるのか欠伸をしている者までいるしまつである。


「だからこそ街に行くわけですよ」


 ソロティス、イザベラの疑問を解消したようでしていないマリアベルジュは悪魔の笑みを浮かべるのだった。


 ◇◇


 魔族領ガルガンティア。

 ソロティスの父である前魔王サントリードがソロティスが誕生した年に記念として作り上げた魔族の都市である。

 魔族の都市といっても別に他種族を差別しているわけでなくサントリードの定めたルールを守ればだれでも住むことができたのだ。

 そのルールというのが、サントリードがソロティスに初めて行わした仕事である。

 内容は『みんな仲良く暮らしましょう』という魔族にあるまじきルールだった。

 そのためガルガンティアでは犯罪がほとんど起きない。むしろガルガンティアより人界にある国の方が犯罪が起こる率が高いといわれるほどであった。


「活気がある街ね」


 周囲にいる様々な魔族、モンスター達を見ながらイザベラは楽しそうに告げる。


「ええ、ここは魔族領で唯一の非戦闘遅滞ですからね。力のあるなしに関わらずに自由に商売を行える土地でもありますから」

「そうなんだ」

「ええ」


 マリアベルジュに先導されるままにソロティス、その護衛についてきた桜、そしてイザベラが続いていく。

 街を歩けば注目の的であるこの四人が物珍し気に歩いているという光景はその街の住人にとっても珍しいものであり、かなりの住人が眺めているが当の四人は全く気にせずに歩き続けていた。


「マリア、いったいどこに向かってるの?」


 出店の匂いにつられてすぐにサイフを取り出し駆けだそうとする桜の尻尾を掴みながらソロティスはマリアベルジュに尋ねた。


「人間界に物件をだしているお店です」

「なんで人間界で出しているところへ?」


 イザベラの問いに答えることなくマリアベルジュは歩き続ける。


「桜! 置いて行かれちゃうよ! 早く」

「うまうま」


 ソロティスを振り切りで店のほうへと向かい食べ物を買い漁った桜が両手いっぱいに戦利品を抱え、ご満悦

 な表情を見浮かべていた。

 そんな桜に目をやったマリアベルジュは小さくため息をつき歩みを止め、イザベラのほうへと向き直った。


「簡単なことです。人間界のことなら人間界に住んでいたモンスターに聞いた方がいいからです」

「人間界に住んでたモンスター?」

「はい、今向かっているのはそのモンスターが経営している物件屋です」


 戦利品を持った桜の首根っこを掴み、宙に浮かせるとマリアベルジュは再び歩みを再開する。

 ブラブラと揺られながらも桜は起用に食べ続けていた。ソロティスとイザベラはそれに続く。

 やがて、大きな店の前に到着するとマリアベルジュは手にしていた桜を放り投げる。クルクルと回転しあしからず着地した桜は店の入口に備え付けられている階段に腰を下ろすと再び食べ始めていた。


「わたし、ここで食べてるね」

「……桜、あなた護衛の意味を判っていますか?」


 マリアベルジュの言葉に桜は一時的に食べる手を止め、宙をしばらく眺めていたが、何かを思いついたかのようにポンと手をたたき。


「…ここでわたしは階段を守るよ!」


 なぜか鼻息荒く宣言してきた桜をマリアベルジュは睨み付けるが桜はどこ吹く風と言わんばかりに再び見ていて幸せそうな顔を浮かべ食事を再開する。


「もういいです。いきますよ」


 桜を放ってマリアベルジュはソロティスとイザベラを手招きして、店の中に足を止め踏み入れるのだった。

 店内に足を踏み入れたソロティスは興味を深げに見回しており、イザベラも同様反応を示していた。


「いつもならいるのですが」

「カウンターのベルを押そうよ」


 ソロティスがカウンターらしきところにおいてあるベルをゆびさし、イザベラとともにそちらに近づいていった。


「いらっしゃいませ~ ダンンジョンズハウスへようこそ!」


 ソロティスがベルを押すわ寸前、背後から声をかけられた三人は驚きながらも後ろを振り返った。振り返った先にはにこやかな営業スマイルを浮かべた店員らしき人物が退路を断つかのようにソロティス達と入り口の間に立っていた。


「気配がなかった!?」


 イザベラが警戒するかのように自身の身体に魔力を纏わせ、いつでも戦えるようにしていた。ソロティスはというと店員の声が耳に入ると同時にマリアベルジュの影に隠れた。魔王の威厳など微塵もなかった。


「店主、相変わらずの気配を消しながらの接客では客が逃げますよ」

「そうは言いますがね。私が気配を消すのは言わば癖のようなものなので」


 全く悪びれた様子を見せずにニコニコと笑い続ける店員だと思っていたら実は店主。

 マリアベルジュが気楽に話していることに警戒を解き構えを崩し、ソロティスもマリアベルジュの後ろから姿を現した。


「おお、これは魔王さま、此度は我が店であるダンジョンメイカーなにようですか? 確か魔王城もダンジョンの一つのはずですが?」

「みんなしってるんだねー」


 ソロティスが感心したような声を上げ上げる。それを見て店主は誇らしげな表情を浮かべていた。


「あの魔王城は私の作った物のなかでは最高傑作ですからね。使い心地はどうでしょうか?」

「え、あれ作ったのあなたなんですか?」


 コロコロと表情を変えていく魔王に店主は交換を覚えたのか口元を緩めながらも


「ええ、今でもあの魔王城は私の作ったダンジョンの中では最高傑作と自負しております。当時の魔王城はたるサンクリード王からはいくらでも貴重な素材を使っていもよいという条件でしたのでやりがいがありましたね」

「へー お姉さんが作ったんだね!」


 次にソロティスの浮かべた表情は尊敬。その眼差しを受けて調子に乗りそうな店主を見かねてマリアベルジュは軽く頭を叩いた。


「さて昔話はそれくらいにしましてクラリスクリッサ、貴女へのお客さんですよ」

「つれないなー マリアベルジュ、でもさっきも言ったけど魔王城があるんだからダンジョンはいらないでしょ? それにあの城、生きてるから破損しても自分で修復するし」

「魔王城は生きてるの!?」


 驚愕の事実にソロティスが興奮したように大きな声を上げる。その反応が嬉しかったのかクラリスクリッサと呼ばれた女性は口元を歪ませて笑う。


「そう! 私の弓最高傑作である魔王城は生きてるんだよ! 城の主要個所に設置された魔導炉で魔方陣を描くことによって生産される魔力を増やしたり、基盤となっている材料も竜骨のしかも神龍と呼ばれる伝説上にあげられるような存在のものしか使ってないしね! さらには……」

「はい、そこまでです」


 このまま作ったときの事をひたすらに話し続けることを恐れたのか再びマリアベルジュはクラリスクリッサの話を遮るとクラリスクリッサと話を遮る聞きたがっていたソロティスの二人に睨まれる。

 ソロティスの睨みは彼自身が小柄なため身長の高いマリアベルジュを上目使いにみているようにしか見えないがクラリスクリッサは違う。黒く、澱んだ魔力を放ちながらマリアベルジュを睨んでくるのだ。


「その魔力を放ち放ちながら睨むのをやめなさい。本気で殴りますよ」

「それはこわい、マリアベルジュは手加減を知らないから」


 一瞬にして魔力を練り上げ腕にのみ集中さし始めたマリアベルジュを見、本気で殴る意思を感じ取ったクラリスクリッサが両手を上げ纏っていた魔力を霧散させ、戦う意思がないことを示す。

 しかし、マリアベルジュは腕のに集めた魔力を霧散開放しないままだった。


「それでは本題です。こちらの方のダンジョン候補を見繕ってほしいのです」

「ほほう」


 そこでようやくクラリスクリッサはイザベラのほうに興味を深げ持ったかのように視線を感じ向けた。

 ゾロジロと見られたことによって居心地のが悪いのかイザベラは身体を揺らしていた。

 そんなイザベラを眺めるとクラリスクリッサは営業スマイルを浮かべる。


「いらっしゃいませ。どのようなダンジョンをお探しでしょうか?」

「つ、強いやつでお願いします」


 漠然とした要望をイザベラは告げるのでした。

 当然、そんな漠然とした要望をクラリスクリッサ納得するわけはなく、


「そんな漠然とした要望では困ります! もっと細かく決めていただきませんと!」


 クラリスクリッサはこういうことには一切の妥協を許さない。それはダンジョン用の物件選びも同様である。


「ダンジョンおと一言で申し上げましても様々なタイプがございます。迷宮型、洞窟型、樹海型などと色々です。ですからお客様のご要望に沿った魅力的なダンジョンを提供するのが私の……」

「では魔王様、帰りましょうか」


 話が長くなるということを直感で感じ取ったマリアベルジュはポカーンと弾幕のごとく話し続けるクラリスクリッサに視線を感じ向けてはいたソロティスに話しかけた。

 呆然としていたソロティスはマリアベルジュの言葉にハッとした。


「う、うん、それにしてもクラリスクリッサは人が変わったような感じだけど?」


 今だに話し続けているというより叱り続けているようにしか見えないクラリスクリッサを見ながら恐る恐るといった様子でソロティスは感想を述べる。そんなおびえたような姿にマリアベルジュは苦笑を浮かべていた。


「彼女、クラリスクリッサはダンジョンにぃ様なまでの熱意を持っていますからああなってはとめれません。イザベラ様には失礼ですがここで撤退いたしましょう」

「まって! マリアさん⁉︎ この状況で置いていかれるのは辛いよ⁉︎」


 置いていかれる流れに気づいたイザベラが助けを求めてきていた。それくらいにダンジョンについて熱く語るクラリスクリッサの話が特に興味もないイザベラには苦痛なのだろう。


「イザベラ様、クラリスクリッサはその喋り癖さえなければかなり有能です。きっと有意義なダンジョン作れると思いますが?」

「それにかかる時間だよ⁉︎」

「がんばってくださいませ」


 イザベラの懇願をあっさりと切り捨てマリアベルジュは店の扉へと歩き出す。

 ソロティスもマリアベルジュに続こうとし、イザベラを振り返ると未だかつてないほどの助ける姿があったが、


「イーちゃん! 晩御飯までには帰ってきてね」


 完璧と言えるほどの愛らしい笑みを浮かべ手を振る婚約者の姿にイザベラは目先が真っ暗になるような感覚になった。


「ソーちゃん⁉︎」


 ゆっくりと扉がしまり完全に孤立してしまったイザベラ。そんなイザベラの心境など知らないクラリスクリッサは嬉々として自分の仕事に取り組んでいた。


「さ! ではあなたにぴったりなダンジョン物件を探しますよ! まずはこのアンケートに記入を。なにたかだか五千問ですよ」

「五千とか気が狂ってる⁉︎」

「これも仕事ですので」


 営業スマイルではなく心の底からの恍惚とした表情を浮かべ、クラリスクリッサは答えた。


「やダァァァァァァァァァぁぁぁぁ! 家帰るぅ!」


 ダンジョンハウスからイザベラの悲鳴が響き渡ったのだった。


 その後五千を超えるアンケート項目を涙目になりながら行い、約六時間後に涙を浮かべイザベラはソロティスのいる魔王城には帰らず自分の界へと帰りしばらくは部屋から出てこない引きこもり生活を送るのだった。

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