婚約者来たる!来た理由(真実)
最近二日では書けないな
「ダンジョンですか?」
「ええ、それここに来た目的だし」
完全に沈黙し、部屋の隅でシクシクと珍しく泣き続け使い物にならなくなったマリアベルジュの代わりにコルデリアがイザベラの話を聞くこととなった。
マリアベルジュは非常に優れているが時折思い込みやらソロティスへの愛やらが暴走するとわけのわからない失敗をしでかすことがあり行動不能に陥ることがあるのだ。
そういう時に大体六死天を纏めたりするのは六死天で一番常識的であるコルデリアの役目であったりするのだ。
「私見ですが、イザベラ様ならラパール様のいる界でダンジョンを作った方がよろしいのでは?」
コルデリアはごく当たり前の疑問を口にする。
イザベラは準魔王。しかも現麻黄ラパールの娘である。となるとダンジョンを作るした時は異界であるソロティス達のいる界ではなく自分に有利な界でつくったほうがメリットが多々あるのだ。
「うーん、うちの界で作るとパパの影響が強すぎるのよ」
「と言いますと?」
「パパの名前が売れすぎなの」
イザベラが言うにはラパールの名前が売れすぎ、基ラパールの強さがイザベラ達の住まう界では有名になりすぎてい流とのことだった。そうなると自然に娘であり準魔王であるイザベラの名前も知れ渡っているらしくダンジョンを作っても誰もこない可能性があるということだった。
「なるほど。人間の住むところに作るダンジョンは貴重な収入源ですからね」
「パパも頭を抱えてたわ。若い頃に作りすぎたダンジョンが赤字になってきてるらしいし」
ダンジョンというのはモンスター達にとっても貴重な収入源である。
それは死んだ者の武器、防具であったり、死体であったり、魂であったり、感情であったりであるがともかく人が来てくれないと全て得られないのである。
そのため優れたダンジョン経営は魔王の立派な仕事と言えるのだ。
当然、魔王ラパールの名はイザベラの住む世界では知らぬものがいないほどのものでありラパールの作ったダンジョンは人間たちには危険度SS。すなわち行ったら死ぬレベルのダンジョンとして認知されているのだ。
「ねえ、コルデリア」
「なんですか? 魔王さま」
イザベラとコルデリアの話している中、横に座って聞いていたソロティスが口を挟む。
「ダンジョン経営って魔王の仕事なの?」
「ええ、敵をおびき出す手段、効率のいい罠の張り方など魔王になるための勉強の集大成のようなものですからね」
「僕、魔王だけどやってないよ?」
自分を指差しながらソロティスは告げる。現在ソロティスがやっている仕事と言えば朝のの挨拶とマリアベルジュに山のように押し付けられる課題の山だけである。
「ああ、それは簡単です。この魔王乗じたいが巨大なダンジョンに様なものですからですわ」
「え、ここってダンジョンだったの?」
驚いたような自分の主の表情にコルデリアはマスクの下で小さく微笑む。
ソロティスがしらないことは無理がないがそれをおしえていなかったマリアベルジュにも問題があるからだ。
「魔王が住む居城はダンジョン認定されるんですわ」
「そうなんだー! 知らなかったよ」
初めて知ったことに素直に驚き、拍手までしているソロティスに呆れたような目を向ける。
「いや、仮にも魔王のなんだから知っておこうよ?」
「魔王城のことはマリアが教えてくれないからなぁ」
「それはマリアベルジュにも問題がありますわね」
部屋の隅で桜とキルルにからかわれ今だに蹲っているマリアベルジュにコルデリアは視線を向ける。
「ねえ、今どんな気持ち? どんな気持ち?」
「ぷふふ!」
楽しそうに、心の底から楽しそうに笑いながら言いたい放題の二人に対してもマリアベルジュは一切反応を示さない。
初めのうちは楽しんでからかっていた二人であったが徐々に反応の全くないマリアベルジュを心配し始めた。
「ま、マリア、大丈夫だよ。胸がなくてもまおーさまは変わらないよ」
「そうだよ! ソーちゃんは胸で判断しないよ! わたしと一緒に同盟組もう! 貧乳同盟!」
おそらくは彼女たちなりに励ましてはいるのだろうが実は全く慰めてはいないことに彼女たちは全く気付かない。
やがてなにを言っても仕方ないということに気づいた二人があわててソロティス達の方に向かっていく。
「ソーちゃん! マリアさんがかなり変だよ! 悪口言っても反応しないんだよ!」
なぜか瞳をキラキラさしながら桜は興奮したようにソロティスに報告してくる。
悪口の自覚は桜にはあったがたようだ。
「いや、桜ちゃん、そろそろそれくらいにしとかないと」
キルルはさすがに不憫と思ったのか桜を止めようとしていた。
「いや! 今こそ今までの! わたしの没収されたお菓子の恨みを晴らすのです!」
意外としょうもない理由であった。
「でもあれはお菓子を食べ過ぎて虫歯になった桜が悪かった気がしますわ」
「虫歯なんてなってない! 歯が痛かっただけだし!」
世間一般というか魔界でもそれを虫歯と呼ぶのだが桜は認める気がないのはコルデリアもわかっているので深くは追求しなかった。
「しかし、このままマリアベルジュが仕事をしない状態だと」
「何か、問題があるの?」
キルルが腕を組み悩んでいるコルデリアに問いかける。
それに対し、コルデリアはサングラスとマスクという不審者そのもののかおをキルルへと向ける。
「まぁ、しばらくなら大丈夫でしょうが持って二日が限界でしょうね」
「なにが?」
「この魔王城の仕事が滞るまでですよ」
『え……』
その場の、話題に入っていかなかったワインですら動きが固まった。
「何を驚いているのです? マリアベルジュは大半の魔王城の仕事の総括ですよ?マリアベルジュが指示をださないといけない仕事も多数ありますわ」
こればかりはどうにもできないとコルデリアは首を振る。業務を代行するかとはできるが魔王城というダンジョンを完全に統括しているのはマリアベルジュのためコルデリアにはどうしようもないのだ。
「仕事ってきたヤツをぶっ飛ばすだけじゃないの? そんなのキルルだけで十分だよ」
「倒すだけならそうですが、ここは魔王城ですよ? 他にも色々とあるのです」
「マリアさん一人で切り盛りしている魔王城ってのも凄いよね」
イザベラが苦笑いしながらそう口に出した。その言葉にコルデリアはなんとも複雑な表情を浮かべる。
「……マリアベルジュは魔王さまが大好きですから、もちろんlikeじゃなくてloveの方で」
「愛されてるね〜 ソーちゃん」
ニヤニヤと笑いながら見てくる婚約者な困ったような表情を浮かべる。
「と、とりあえずマリアには復活してもらわないといけないってことだよね!」
「そうなりますわ」
「えー、こんな無抵抗なマリアさん珍しいからまだこのままでもいいんじゃないの? あ、いっそコルデリアさんが六死天筆頭で指揮をとりなよ!」
いつの間にかマリアベルジュの元に戻った桜はマリアベルジュのなくなった胸に手を出し当てながら「無乳〜 無乳〜 桜より無乳〜」といつものマリアベルジュが聞いたら即座に吹き飛ばされるであろう恐怖の歌を口ずさむのを止め、異議を唱えながらも提案してきた。
「私様が六死天筆頭ですか」
思案するようにしていたコルデリアであったがすぐに首を振る。
「私様が筆頭になると桜、あなたの五食おやつ昼寝付きの生活が二食で昼寝なしになるかもしれませんね」
コルデリアが冗談交じりで笑いながら言ったものであったが公開は覿面であった。
桜のキツネ耳と九本の尻尾が驚いたようにピンと立ち、続いてワナワナと震え始める。そして桜自身の表情はというと絶望しきったいろに染まっていた。
「が、餓死…… 餓死しちゃう!」
食べることが楽しみである桜はぺたんと床に座り込み頭を抱えて始めた。
『……そこまで切実でござるかΣ(・□・;)』
ワインがパニックに落ち入り頭を抱えながらも尻尾が動き回るという奇妙な動きをしている桜を見て驚愕している。
「ワイン、あなたも他人事ではありませをよ。マリアベルジュがこのままなら私様はあなたも使い倒すよていですからね。あなたの大好きなロリ、ショタの映像をゆっくらと見る時間すらとれないようにしてやりますわ」
そんななんとなく自分は関係ないだろうという空気を醸し出していたワインにコルデリアは無情にも歓迎がある事を告げた。
『お、横暴でござる! 某の楽しみが奪われると⁉︎』
顔文字を使う余裕すらないと言わんばかりの鬼気迫る感が伝わってくる文字をワインはマジックボードに書き連ねていた。
「それはそうでしょう? 魔王城の六死天たる一員なのです。筆頭の言うことには従うものでしょう」
その瞬間、誰もが部外者であるイザベラまでもが心の中で思った。
『コルデリアを六死天筆頭にしたらマズイ!』と
「キルルにはそうですね。装備が無駄なものが多いのでドクターの開発費を半分にしていくようにしましょう」
「キルルの装備がランクダウンしてしまう⁉︎」
「魔王さまには今まで以上に課題を出します。立派な魔王になっていただきますわ」
「今でも限界なのに⁉︎」
コルデリアは容赦なしの教育ママだった。
「イザベラ様は」
「まって! 私、お客! お客だから!」
自分も巻き込まれてはたまらないと言わんばかりにイザベラは自分が客人である事を強調する。
「客人ですがビシバシいきます。そうですね、魔王さまとの強化トレーニングなどを日頃の三倍くらい行いましょう」
『イヤァァァァァァァァァァァァァ!』
とばっちりを受けたイザベラのさらにとばっちりを受けたソロティスがイザベラと共に悲鳴を上げる。
「ソーちゃん、イーちゃん!」
桜が珍しくやる気に満ちていた。
コルデリア以外の全員が桜の元へ集まるとしゃがみ込みヒソヒソと話をし始める。
(ソーちゃん、このままコルデリアさんが筆頭になっちゃったらわたしのスローライフがなくなっちゃうよ)
(某の楽しみも奪われてしまうでござる(;_;))
(キルルの装備の質もさがっちゃう)
(私なんてとばっちりなんですけど!)
(僕はそのとばっちりのとばっちりだけどね)
誰もがコルデリアの独裁政権をよしとしていなかった。
「マリアのほうがましだね」
「どうやって復活させるの?」
桜、キルルは首をかしげながら悩んでいるようだった。
そんな二人をイザベラとワインはため息をつくようにしてみていた。
「そんなの簡単じゃん」
『であるな(^人^)』
「簡単なの?」
いろいろな問題の根源であるマリアベルジュの復活ぎ簡単にできるという二人にソロティスは尊敬の眼差しを向けていた。
その眼差しを真っ向から受けたイザベラは笑う。
「ソーちゃんが慰めたら一発だよ!」
「え、僕が?」
イザベラの言葉に桜とキルルの頭の上に「その手があった」と浮かんだのが見えた気がした。
『魔王様が慰めればエリクサー並みの回復力で立ち上がるだろうな』
「確かに、ソーちゃんの言葉なら一発かも」
「そ、そうなの?」
オドオドとした様子を見せる魔王らしくない魔王ソロティス。しかし、周りのメンバーはすでに勝った気でいるのか一安心と言わんばかりに安堵の表情を浮かべていた。
「じゃ、ソーちゃん。マリアさんを慰めてきて」
「ええ⁉︎ なんて言えばいいの⁉︎」
ぐいぐいと背中を押され魔王であるのに全く力で勝てないソロティスは部屋の隅で一人重苦しい空気を出すマリアベルジュの方へと追いやられていく。
「とくにこれってのはないから普通慰めて」
「普通……」
仕方なしという様子でマリアベルジュの前に立つソロティス。
首をかしげながら考えてみるがどんな言葉がいいか全くわからない。
「えっと、マリア?」
「……はい」
あれだけ桜たちに絡まれていても反応を返さなかったマリアベルジュであったがさすがに溺愛しているソロティスの声はわかったようで虚ろな表情を向けて返事をしてきた。
「えっとね、みんな心配してるよ?」
「ふふ、偽乳の私をあざ笑っての間違いでは……」
暗い笑みを浮かべ自虐的に言っていたが途中で思いの他自身にダメージがいったのかマリアベルジュは更に沈み込んだ。
「でも、マリア! 人は見かけじゃないよ!」
「とある諸説では見た目で人を判断するというのは九割ほどだそうですよ。無いよりあるのほうがいいでしょうに」
「……すごい偏見だね」
最後の言葉をマリアベルジュが発した瞬間、ソロティスはうすら寒いものを感じていた。嫉妬とか憎悪といった仄暗いものである。
「でもほら! マリアはさ、可愛いじゃない」
「か、かわいい?」
必死に言ったソロティスの一言にマリアベルジュが反応する。そしてソロティスの後ろで見守っていた者たちもニヤリとわるい笑みを浮かべていた。そしてその笑みは告げていた「かかった」と。
「マリアは可愛いよ? 昔から見てきた僕はそう思うし」
「ぼ、坊ちゃま!」
蹲っていたマリアベルジュが勢いよく立ち上がりソロティスを力一杯抱きしめた。
「ぎゃぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
勇者すら素手で屠ることの出来るマリアベルジュの抱擁(全力)を喰らい体じゃうから骨のくだける音を鳴り響かせながらソロティスは全身全霊の悲鳴をあげた。
「ああ、なんてお優しい坊ちゃま! やはり坊ちゃまを理想の男性にするという私の計画は間違っていなかったのですね!」
すでに悲鳴をあげる力すらないソロティスが体に力が入らないのか手足をブラブラとさしているがマリアベルジュは全く気付かずに話を続けていた。
「やはり、そう! 坊ちゃまに可愛いや綺麗と言ってもらえる私本来の魅力を引き出し続けるというのが大事なわけですね!」
平な胸であるマリアベルジュの胸に押し付けられているソロティスはダメージを逃がしてくれる胸がないためゴリゴリと体力を削られていった。
「あれはやばい」
「わたしエリクサー取ってくるね」
気を失っているソロティス、話が耳に入らないマリアベルジュをよそにソロティスを救うべく桜はエリクサーを取りに行くため部屋からでていくのであった。
その後、マリアベルジュは力尽くでソロティスから剥がされ、ソロティスは無事? 救出されたのだった。
これにて本年は終了
良いお年を




