パーティーへの招待状
この小説では初めて前書きを書きますね。
どうもこんにちは、人外とヤンデレと化物と言う単語が大好きな作者さんです←
この小説は純愛をテーマにしている作品なのですが、作者がこんなのだから結末はアレかもしれません。
こんな作者さんの小説ですが、応援よろしくお願いします。
この招待状を見て思わず燃やそうとしたウチは絶対に悪くないと思う。
何度も言うが、この白妖学園は妖である男子生徒が華女である女子生徒を花嫁にする為の学園である。だから、華やかしい舞踏会が広い講堂で行われる事も日常茶飯事であり、そこで男子生徒が女子生徒を口説く事も日常茶飯事である。
因みに、結ばれた女子生徒と男子生徒は卒業と共に結婚する。まあ、それまでに寝取られなければの話だが…
そんなパーティは主に自由参加だ。
涼風は優の付き人という事、何よりも優が人の目を嫌う事もあり、パーティに行った事が無かった。
だからこそ、この招待状には怒りと腹立たしさしか無く、冒頭の後、涼風は本当に燃やしました。
招待状の中身は省略するとこうだ。
⚫︎この学園に入学しているにも関わらず、パーティに1度も参加しないのはどういう了見だ
⚫︎付き人ではなく、華女として参加しろ
⚫︎勿論、紅海 優と共に来てはならないぞ
⚫︎パーティーを抜け出す事もだ
⚫︎by理事長
である。
「……どうしましょ。」
本当にその一言である。涼風の呟きを聞いた優が心配そうに涼風を見つめる。
「どうか、したのか?」
「あるじ様………」
これは優に伝えた方が良いのか、けれどもこんな招待状の内容を伝えたら優が傷つく。だが行かない訳にはいかない。この招待状は理事長の遠回しの命令なのだから…
「いえ、……あの…あるじ様、ウチ、パーティに行きたいんです。今夜の…」
「…パーティ?」
「はい、ウチこの学園に入学してから1度も参加したことあらへんから。」
この招待状を上手くカモフラージュしたと涼風は思った。優は少し考えた後、涼風を見つめた。
「そ、うか………。良いんじゃないか?」
「………」
自分から言った事なのに、涼風は酷く胸の痛みを感じた。
なんて浅ましい、なんておこがましい。
あるじ様に、行くなと言われたかったのか?側にいてくれを言われたかったのか?
自分はあるじ様の付き人
それ以上でも、それ以下でもない。
前世でどれ程愛瀬を重ねても、今世ではただの主従関係。
ただ、それだけ。
ただ…………それ、だけ。
そう言い聞かす度に、胸の内の傷が増えてゆく。
そう言い聞かせる度、泣きたくなる。
ーーーーーー
煌びやかな講堂
豪華なシャンデリア
色鮮やかなドレス、統一感あるタキシード
お酒の代わりの何か(何か分からないので飲まなかった)
人気のある生徒
涼風が壁際でただただつまらなそうにそれを見てしまうのは優がいないからだ。
なんで優がいないのに、こんなパーティーに行かなくてはならないのだろうと溜息を吐きたくなる。
涼風を舐め回すように見ながら会話をしようとする輩は何十人といたが、そんな事興味無いと言ったように対応する。勿論、パーティーを楽しんでいる者もいるのだ。それを興醒めさせないように笑顔で対応する。
パーティーの途中、いっその事体調を崩したと言って講堂を出てしまおうかと考えたが、そうしたらお持ち帰りされる可能性が高いのだ。考えただけで寒気がする。
そんな時だった。講堂の扉が開き、ある人が講堂に入ってきたのは
「あ、…ある、じ様……?」
優だった。だが優の車椅子は手押しだけだ。何故かと聞いたら自分で押したら火傷の傷が開いた事があったから…らしい。
だからこそ優の背後には面倒くさそうに車椅子を押すタキシードの男
パーティーは少しのどよめきと、侮蔑の目線
そんな空気の中、涼風だけはハラハラした目で優を見ていた。
そんな車椅子の押し方では、優の上体が倒れしまう。優の車椅子にはベルトなんて無いのだから。
そんな事も知らず、タキシードの男は少々乱暴に車椅子を押し続ける。すると涼風が予想した通り、優の上体が車椅子から落ちそうになる。
「っ!あるじ様…!!」
涼風は思わず優のもとに駆け寄った。涼風はドレスではなく着物だった事を、心から感謝した。今ドレスを着ていたら、ヒールに慣れていない涼風は走れなかっただろう。
優の上体をもとに戻す為に思わず抱き着いた涼風に、優は驚いたように目を見開くが、涼風はまずタキシードの男に笑いかけた。
「変わってくれません?」
「え……?」
「ウチが車椅子押すんで、変わってくれません?」
タキシードの男が混乱している中、言いたい事をさっさと言った涼風は優の車椅子を押した。
「お、おい…」
「…なんですか?」
「パーティー……楽しまなくて…」
「いいんですよ、これで…」
「だが…」
「ウチやっぱり、此方の方が好きなんです。…あるじ様と一緒にいる方が、楽しいんです。」
そう言って涼風が優に笑いかけると、優は包帯の上で、少し嬉しそうに涼風を見つめる。
だが涼風は思い出した。此処では華女として参加しなければいけないという事を。
だから、付き人のような素振りは最低限にしなければいけない。
「なあ、優はん、ウチお腹空いたな。」
「あ、え…と。」
「御飯食べへん?彼処のチキン美味しそうやない?」
「そ、そうだ、な?」
涼風の口調が突如馴れ馴れしくなったため、優はしどろもどろになる。
「優はん、ウチこの講堂では、付き人ではなく華女なんよ。」
「…?!」
そこで全てを察した優だが、今も尚困惑し続けている。そんな優がひどく可愛らしくてしょうがない。
「だから、今だけは……ウチを女として見てな。」
そう言って涼風は、悪戯っ子のように笑う
次回は先生出します。この小説は不定期更新です。以上←