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貴方様の為だけに生きていたいから  作者: りょー
第1章 出逢いと日常と
5/7

それは余りにも残酷な



修道院 道成視点



1ーAの担任兼陰陽師の修道院 道成は些か緊張していた。




それもそのはず、今から道成は学園の有名人となっている生徒と二者面談をするからだ。

その生徒のプロフィールをめくり、溜息を吐く。




久留里 涼風

⚪︎⚪︎県××市生まれ 15歳 母子家庭 母親は父親と別れた時に自暴自棄となり久留里 涼風を育児放棄、久留里 涼風は担任が家庭訪問した際に保護 その後は施設に入っていたが高校に入学した事で施設を出て行った 性格はいたって大人しく、目立つような事はしないタイプだが、容姿に恵まれている為如何しても人の目につく 男性との交際経験はなし




「目立つよつな事はしないタイプ、か………」




だったら何故入学式の際、あのような行動をしたのだろ




男を避けるため?



妖の子供なんて産みたくない?






まさか、一目惚れ……?






「いや、それはない」





紅海 優は想像を絶するほど醜い

そんな男に一目惚れする女がいるはずがない





「…こんな所でグダグダ考えたって意味ないだろ」





そう言って道成は煙草を吸って涼風を待った



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




久留里 涼風は時間通りに教室に来た

夕暮れ時、他の生徒は主にクラブ活動を行っており、教室にいる者などいない。




「あー、知っていると思うが、一応自己紹介をしとく、修道院 道成だ。数学担当。よろしく」




「うちは久留里 涼風と申します。…どうぞよしなに」




そう言った後、道成たちは学園生活で困ったこと、楽しかったこと、友人関係や勉強面など、ごく普通の二者面談で話すことを話した。




久留里 涼風は予想外にも話しやすく、普通の学園生活をしていたらすぐに結婚相手が見つかっただろうと思った。






「…話は以上だ。なんか困った事があればいつでも言えよ。」



「困った事が無かったら話しかけてはいけませんの?」



「いーや、寂しかったらいつでも俺のとこに来い。慰めてやろう」



「寂しいのは先生の方でしょ?先生、色男やって学園内で有名ですよ、…けど、生徒を食い物にしてはあきまへん。いつか後ろから刺されてしまうわ。」




いつの間にか、冗談を交えて会話できるほど久留里 涼風は道成の中に入っていった。




それと同時に、疑問と好奇心が道成の中で渦巻く。




「なぁ、久留里……、お前はどうして手を挙げた」




久留里 涼風はその言葉を聞いた途端、目をスッと細め、さっきまで冗談を言ってた口を閉ざした。





「…同じような事を、生徒会長さんも言ってましたわ」




その言葉に道成はギョッと目を開けた。

まさかあの赤神と同じ事を言ったのか、少し、いや…かなり衝撃だった。

だが、赤神の事だ。大方紅海 優から付き人を寝取ろうとでもしたのだろう。彼奴はそういう奴だ。紅海の分家と言う劣等感に苛まれて紅海 優の、紅海のモノを奪おうとする。




赤神が最近イラついていた理由がようやく分かった。大方久留里 涼風に振られたのだろう。百戦錬磨のあいつが、だ。大層プライドが傷ついただろう。






「…お前ほど良い女だったらもっと上を目指せるし、お前を結婚相手にって奴はこの学園にゴロゴロいるぞ。付き人なんて何の得にもならない。お前が疲れるだけだ。そうだろう?」



「………」



「それに、あんな男の何処か良いんだ?彼奴と居ても何の意味もな「……ねぇ、」





本当に勿体無いと思ったんだ。こんないいオンナが付き人として終えるなんて。今思えば、少し感情的になっていたと自覚しているし、それが





「後生だから、ちっとものを言わずにいておくんなんし」






久留里 涼風を怒らせるには十分だった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




あの後、久留里 涼風はニコリと男が見惚れるような笑みで「失礼します。」と言い、教室を出た。まるで最後のあの姿が幻のように……




最後の言葉の意味は、俺には分からない

ただ、あの言葉遣いを俺は知ってる

あの言葉遣いは………





「……遊、女………?」





久留里 涼風は何者なのだろうか

そして




さっきまでの恐怖心はどこに行ったのだろう

今はただ、久留里 涼風を知りたい




それはあまりにも残酷な好奇心だと知らずに




何も知らない男は、久留里 涼風を調べる為に動く。




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