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夏生詩集3

高性能の涙

作者: 夏生

本物のように本物と紛うような

「心」が内蔵された

高性能を謳われた自分の身体から

軋む音が聞こえる

廃棄処分の赤い烙印が背中と胸にあった


人間ではないから壊しても罪にはなりません

心はデータですから傷つきません

マイクを持った製作者は声高々に謳った

人工物なら人間のように裏切らない

高値でも爆発的に売れた


高性能化され量産された

「心」に恐れを抱いた者は

差別し、暴力で押さえつけた

へこんだ頬、折れた手足に痛みはないが

憤りを感じるのは高性能だからじゃない


「私は生きた」

人間のように愚かでやさしい心を持っていた

必死に生きてきた

抗ったためにスクラップ工場に送られた

陳列された同胞は「心」を剥ぎ取られていた

憤りを感じるのは高性能だからじゃない


「人間のように涙を流せる高性能」

内蔵された宣伝文句が点滅しながら

目の前を横切った



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― 新着の感想 ―
[一言] 人と区別できないほど似ている人造人間を想像しながら拝読させていただきました。 心ってなんだろうなあ。 目には見えないものだからこそ、心を涙として表すのでしょうけど、涙すらも作り物だといわ…
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