?ー? 本命の王国へ
以上が、私がカールマニア王国で体験した動乱です。
その後については、簡単に申し上げたいと思います。
動乱が終わった後、カールマニア王国全域に敷かれていた戒厳令が解除されたのは、翌日の未明の事です。ですから、その時まではカールマニア王国の道路を歩いていたのは、軍や警察といった国の人間か動物ぐらいでした。
戒厳令が解除された日。
その日は、山賊が捕まった時みたいな宴会は繰り広げられる事はありませんでした。何しろ、王国軍の半分の兵士達が参加し、協力した市民もいたからです。
「動乱は、英雄達の手によって終わりを告げました。しかし、その動乱の根底にある事は、まだ終わりを告げていません。むしろ、この動乱によって改めて掘り返されたという形に近いでしょう」
午前8時丁度。
王国中のテレビに、ロワイエの姿が写っていました。場所は、アルフェンバート市内にある国会議事堂。そこでも、彼の話を聞き入っている17人の議員達がいました。
「もし、我々がこの後、復讐に走ってしまったら、恐らくは再びこのような動乱が引き起こされるでしょう」
王国の約40万人達の国民も、家で、避難所で、基地で、刑務所で、職場でその声をしっかりと聞いていました。
「再びこのような悲劇が起こらないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?」
平時ではなく、非常時のそれも動乱の後。
何も知らない子羊達にとっては、全てお終わったと、安心する者もいれば、これからの未来はどうなるのかという思いを持つ者もいました。
だから、ある趣旨を持った演説が、一番子羊達の心に染み渡る時でした。
「分かち合いましょう。
かつて、それを目指しながら、道の途中でそれを絶たれた王室の意志を受け継いで」
そう。
暴力によって成り立とうとした国の未来への指針を、それを倒した者達によって成り立たせる趣旨を持った演説です。
「さあ、この国を、未来永劫続く平和の国にしていきましょう」
この演説から3日後の議会。
全会一致で、17人の議員ならびにロワイエが『カールマニア人』となり、準備が整い次第に行われる全国民への聞き取り調査において民族を問う要項が付け足される事が決まりました。
◇ ◇ ◇
1月8日。
カールマニア王国とヨーロイド王国南方州の狭間の海峡で、忙しい荷物の交換が行われた。
対立しあい、時には血が出る騒ぎにまで発展する事もある大陸の2つの国の漁師も、この時だけは無視するか協力しあいながら、島国の漁師達と物々を交換しあう。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
それは、旅行者の立場にしてみても同じ事と言えた。
約29日にわたる大陸か島国への旅行に行く時か、久しぶりに故郷に帰る時に使われる客船。その船長室では、大陸の2つのどちらかの国と島国の船長の交代が行われる。
基本的に船員は同じままで、次の接触の時に本国に帰る仕組みになっている。だから、船長室で行われる事については、特別な事がない限りはノータッチである。
「“姫”とその連れ添い、“緋姫”、亡命者は予定通りに乗船しています」
「わかりました」
だから、船長の間では秘密の取引が行われている。
しかし、平の船員でそれを見た者はいないので噂になるが、船長はその質問にはぐらかしながら答えるので、普通は『実体ある都市伝説』と言われている。
「では、良い旅を」
「良い旅を」
今回、何百回にもわたってヨーロイドとカールマニアの間を往復して、何万人もの人々を運んでいる船の船長室で、ヨーロイド王国への道筋の命運を握る舵を握ったのは、ただの船長ではなかった。
彼は、この船に備え付けられている一般無線とは違った無線の回線を開ける。
「女帝陛下の無事を確認。これより、港に向け動きます」
『了解しました。気を付けてください』
「ありがとうございます」
ヨーロイド王国海軍対カールマニア王国普通船舶運用部隊隊員。
その肩書きを持つ中年の男性は、元々はジャピード帝国海軍の大尉だ。女帝陛下が失踪する前代未聞の事件に対して、大陸の両国が手を携えて、海軍士官の交換を実現させた結果が、ヨーロイド王国海軍への入隊に繋がった。
「いよいよ、か」
漸く動き出した船の中で。
殆どの乗客や乗員にとって知るよしも無い事態を招いた張本人は。
2段ベッドの下のベッドに寝転がり、動き出したのを外の光の移り変わりから判断して、眠りにつこうとしていた。
ヨーロイド王国とその後の物語のプロットを間違えて消してしまったので、恐らく暫く執筆活動が停止すると思います。




