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なにかしら  作者: コーレア
過去の章
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00-1 3年前、帝国にて

 1971年1月28日。

 私は、国・州・市のいずれかが建てている学校の入学式の日に入りました。

 入学試験に受かった12歳から18歳の少年少女が入る事が出来ます。

 この時、私は15歳(という設定)で入っているので、クリョーンとは同じ年齢です。


「マリヤ・スーハです。短い間ですがよろしくお願いします」


 同じ年齢の17人の拍手が聞こえました。その中に、クリョーンの姿もありました。紅い髪はボサボサに、瞳は細く私を見ていました。

 いつも、後ろから見ているのとは違い、真正面から見るクリョーンは、どこか寂しそうな目でした。


「ねえ、一緒に食べても良い?」


 髪型から声も変えて入学した初日、首都から来た(という設定)の私に話しかけようとする他のみんなに断りを入れて、教室で1人で昼飯を食べようとするクリョーンに話しかけました。


「良いが、どこで食べるんだ?」


 いつも一緒にいるあの人は、近くの高校に通っているし、彼の容姿が幸いして、中々気軽に一緒に食べる人ができなかった、と後でクリョーンは言っていました。

 後、特待生として教育基本法を無視して入る格好になっているらしいです。詳しい事を知ろうとしたら、その大人の方便で3話ぐらい埋まるので詳しい事は言えません。


「どこでも良いんじゃない?」

「……じゃあ、ここで食べる」


 私はクリョーンの前の席を借りて、弁当箱はクリョーンの机の上に置いて食べ始めます。


「私も良い?」


 そう話しかけてきたのは大陸学生報道連盟(KSNF)の第4代会長の妹で、姉に憧れて、この高校に報道部を立ち上げたというローザ・シェッツィンガでした。

 今や『学生の政治組織』と言われる程までに急成長した組織のトップの妹、クリッとした目と身長140㎝の低身長が特徴な彼女ですから、人気は高いはずです。なのに、なぜ私達に話しかけてきたのでしょうか?


「スーハさんが許してくれたら良いぞ」


 考えている間に、クリョーンが私を見ながら言って、クリョーンとローザの視線が私の方を向きました

 色々と聞きたかったんだけど、この先ずっとクリョーンだけ友達だと何かしら噂が出るかもしれないし……。


「良いですよ」

「やった」


 それほど、高さがあるわけでもないけど、ローザはピョンと音が出そうな勢いで椅子に座りました。


「情報収集のためですか?」


 音量をローザにだけ聞こえるように設定して言うと、無垢な笑みを私にしてきました。

 周りで、すでに小悪魔にクスリを入れられた人々が騒ぎますが、私は気にしません。唇を少しだけ動かして、笑みを浮かべるだけです。


「いただきます!」

「「いただきます」」

「「「「「いただきます!!」」」」」


 ……この高校は、まだ給食の号令が残っていました。私とクリョーンは苦笑いを浮かべるだけですが。


◇ ◇ ◇ 


 すぐに、とはいきませんでしたが、私達は仲良くなりました。

 紅い髪に瞳という珍しい容姿にローザは興味を持ったらしく、積極的にクリョーンに話しかけ、彼は表情はあまり変えていないけど、ローザの質問にはちゃんと答えます。私は、時々クリョーンやローザに質問しながら、ローザとクリョーンの会話を聞いて覚えます。


「班はこれで良い?」


 4月1日月曜日。

 私達は、遠足の班で一緒になりました。

 毎年、学校で言うと中学生1年と高校生1年の4月に両国をまたぐサーライダ国立公園に行きます。

 私達は私を含めて18人なので3人×6班で行くことになり、当然(?)私、クリョーン、ローザの3人で行くことになりました。そして、私達はみんなと別れて、6ルートある内の山側を通るルートを歩き始めました。

 その時出ていた天気予報は晴れで降水確率は0。ですから、本来は雨は降らないはずでした。

 けれどーー。


「降ってきた、ね」


 山道に張り出している大木の枝の下に、私達3人はいました。

 時間は午前10時23分。ゴール地点の集合時間まで約1時間半の時でした。


◇ ◇ ◇ 


 ゴールピもしくはピジョン。


 この青星が誕生して、鳥類が生まれた時から、独自の進化をとげ、現在確認されている種が5種あり、独自の生態系として強獣きょうじゅうという分類にわけられ、ゴールピは人間を警戒して、人間はゴールピをおそれて極端に接触が少ない生物。

 全長は2・5M~3・5Mあると言われ、例えゴールピに出会ったとしても、ほとんどの人間はゴールピに食べられるという伝承があります。

 だから。

 雷が近くに落ちたような音と共に、ゴールへの山道の途中のでこぼこした地面に、ゴールピが落ちてきた時、すぐさま体を硬くしました。そのまま、サイボーグだとばれる事も重々承知して、最優先事項である『クリョーンを守る』という緊急指命の下、動こうと身構えました。


「待って」


 けれど、クリョーンが私の体の前に右手を差し出しました。 細く鋭い瞳で落ちてきたゴールピ、私、そして音とゴールピに怯えてクリョーンの服をつかむローザを見た彼は、持っていた私の傘を私に押し付けて、大木の枝の下から出ました。


「あのゴールピはケガをしている。それに俺の知り合いだ」


 一人言ともとれる声量でつぶやいた彼は、しっかりとした足取りで、右足から血が出ているゴールピの下へと歩きます。

 ボー、ボーと喉から苦しそうな鳴き声を出す成体らしきゴールピは、近付いてくるクリョーンを睨み付け、それでも止まらないを確認すると、右の翼を上げました。


「キャッ!」


 今度は私の服を弱い力でつかんでいたローザが悲鳴を上げて、私も右腕の狙撃システムを稼働させようとします。 けれど、新たな血が飛び散る事はありませんでした。


「えっ?」


 私は声を出せず、ローザは声を上げました。 彼の左手から、ろうそくに火を灯すような淡い光が生まれ、ゴールピの勢いよく降り下ろした右の翼に触れた直後、ピタリと翼が止まり、ゴールピの瞳から警戒が解かれたのです。

 そして、ゆっくりとゴールピは、白い翼でクリョーンの体中に触れて、クリョーンはじっと終わるのを待っています。

 そして、ゴールピがクリョーンの身体検査(?)を終えて、翼を引っ込めた直後、その光景が現れました。


 白く優しそうな光がゴールピを包み、それが空気にゆっ くりと溶け終わった後には、白い肌・白い髪・黒い目に白いワンピースを着て、右足からは血が出ている少女が立っている、という光景が 。


 いかなる文書や伝承でも載っていない『ゴールピが人間の姿に変わる』という事を、私とローザは目撃したのです。

2013年12月31日改稿

寺子屋→高校に

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