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なにかしら  作者: コーレア
上 忙しい旅の章
15/58

02-4 襲撃と過去

 12月24日午後1時過ぎ。

 1日前なら、大陸で女帝陛下の姉と会っていた時。

 2日前なら、明日の祝日に行われる『大嘘つき』が捕らえられた事を祝う祭の準備に明け暮れていた時。

 行く事は無いとどこかで決めつけていた近くとも遠い島国で、俺はこの国の戦車を初めて見た。AMX-30という未知の戦車を。

 砲弾は、列車が通るのを待ち受けていた列車の先頭を狙い放たれる。1秒もない内に、音速以上で放たれたそれは、機関車の薄い壁に当たる。

 直後、薄い壁に当たった衝撃で覚醒したそれは、砲弾を内側から突き破る。

 覚醒したそれは火薬と言われる物で、内側から突き破る現象は爆発と言われる物で。それは、機関車を消滅させ、先頭の車両を猛火で包み込み、全ての車両を傾かせるにはお釣りが来るほどのエネルギーだった。


「ッ!」


 その直前・・にたまたま起きていた俺は、窓に押し付けられ、金属とは思えないほど軽いフィーガナを抱え込んでいた。

 他の人を心配する暇は無かった。直後に襲いかかった、列車の側面が地面に叩きつけられる衝撃で、今度は強制的に眠りに就かされたからだ。


◇ ◇ ◇ 





 例えば。






 例えば、あなたが普通の速度で車を運転していると想像してください。

 草原のど真ん中を突っ切る一本道。丈の高い草が左右に生えている意外は何もない道です。

 あなたは、車の窓を開けて、心地よい風を浴びながら走る。あなたにとっては至福の一時でした。

 けれど。

 急に災厄は訪れました。猫でも犬でも鳩でもドラゴンでも何でも良いです。動物が、急にあなたの目の前に飛び出してきたのです。

 心が真っ暗でない限り、あなたは全力でブレーキを踏むか、避けようと左右のどちらかにハンドルを切るでしょう

 結果は3通りあります。1つはその動物を結果的に踏んでしまう場合。1つは動物を避ける事が出来て、あなたも無事に止まるか草原に突っ込んでも大丈夫な場合。そして、動物を踏んでしまって、あなたも事故を起こしてしまう場合の3つです。

 私達サイボーグは、3つ目の時に備えて、身体硬化システムを取り入れて、主を守る事が出来るようなっています。

 だから、私は守るべきだったのです。

 私の主を。

 クリョーン・フラクレアという愛しい少年を。


『……この少年を見守ってくれ』


 私が生を受けたその日。

 博士のお父様が崩御され、ある事情から博士がその前年に殺されたとされていたため博士のご子息であるサークラが女帝陛下に就かれる少し前の日。

 私は、真剣な顔つきをした博士から、ある少年の写真を渡されました。濡れた礼服らしき服と綺麗な紅い髪に覆われていても、この大陸の人とは何がが違うと思えたその少年の名は、クリョーン・フラクレアだという事は、後で知りました。


『この少年が私の主ですか?』

『ああ、そうだ。……個体ナンバー6666。認証名称フィーガナ。私は君の父親として、この少年を護衛する事を命ずる。期間はこの少年が亡くなるまでだ』

『……了解しました』


 そして、帝国軍の情報部附属という身分の下、クリョーンの隣の家に住み込み、クリョーンを監視する日々が始まりました。

 今は勇退され穏便に暮らしている情報部長官は、ヌーラア前皇帝陛下とタクーラ博士を殺す事を皇室に提案された方でしたから、いわば長官の庇護ひごの下、監視を続ける事が出来ました。

 状況が変わったのは、“あの事件”で長官が勇退なさった今から3年前の事です。次の現在の長官は、地方からの出世者で、7年前の“暗黒の1週間”の真実を知りません。ですから、サイボーグの身である私が、言っては悪いですが国境沿いの田舎にいる事、そもそも博士が死んだ日にサイボーグは全て活動停止した筈なのに稼働中だという事を知られれば、悪い方に状況が転がります。

 ですから、サークラ女帝陛下と相談した博士は、宰相の協力を得て、クリョーンが教育を習っている学校の生徒になりました。

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