01-10 知らない所
この話は短いです。本当は前の話と同時投稿しようとしたのですが、予約掲載の時間設定を間違えてしまいました。
今更ですが、感想やご指摘などどしどしお願いします。
茶色い瞳が見えた。
「 Ça va?」
そして、聞いたことの無い言語が、耳に入る。
聞いたことの無いのに意味を無意識に頭の中で考えながら、色んな感覚が復活していく。
まず嗅覚。
嗅いだことの無い匂いが、ふんわりと鼻をくすぐり、頭を柔らかくする。
次に聴覚。
最初に聞こえた少女の声の他にも、色んな声がたくさん聞こえる。最初に聞こえた少女の声以外のほとんどが、けわしい声が聞こえた。
そして視覚。
顔立ちは俺達に似ているが、瞳の色が茶色い少女が、俺の顔をじっと見ていた。
「 Je ne le comprends pas autre que moi. 」
聞こえてきたのは、サークラ女帝陛下の声だった。声からして、体調は大丈夫そうだ。
少し固い首を動かし、女帝陛下の方を見ると、壁に背中を預けながら、スープを飲んでいる。服装も、帝国空軍の戦闘服から、青色のワンピースになっている。
「大丈夫か? と、彼女は聞いたんだよ」
「ああ。大丈夫だ、と伝えておいてください」
「ん。敬語はダメだぞ?」
「わか……った」
「よし」
フィーガナは……赤いワンピースとエプロン姿で、茶色い瞳のおばさんに手振り身ぶり教わりながら、料理を作っている。
ユーリイは……頭に包帯を巻いて、俺の隣で寝ていた。寝顔は可愛い。
体を延ばしていると、やはり茶色い瞳の少年が、綺麗にたたまれた服を布団の横に置いてくれた。
「ありがとう」
これくらいは通じるかな、と思いながら礼を言うと、その少年は警戒していた表情からパアッと顔が明るくなって、頭を少し下げてから、別の部屋に向かって小走りに走っていった。
……さて、ユーリイが寝ている間に、着替え終わった俺は、ひとまず晩飯を作っているぽい女帝陛下とフィーガナの所へ行く。
「何か手伝う?」
「じゃあジャガイモを短冊に切ってください」
「何作るんだ?」
「ボルシチです。サークラが言うには、ここの住民の方々に、ジャピード帝国の伝統料理を振舞い、友好の印とする目的があるらしいです」
「へー。……ここってどこ?」
「サークラの話とこの村の住民の言語から考えて99.9999%の確率で、カールマニア王国北部と見られます」
「……天国ではなく?」
「ご冗談を」
◇ ◇ ◇
結果から言えば、大好評だった。
俺達が不時着したホクーポート村の村長、村議会の議員、それに俺達を最初に発見したアラクネという少女に、1ヶ月に1回は食べるボルシチを振る舞うと、最初は警戒しながら食べていた人も、最後にはバクバク食べていた。
女帝陛下と村民がしゃべって、俺達への質問は女帝陛下が通訳してくれた。皇室の方々に心の中で謝りながら女帝陛下に答えていた。
「さて、大体の事情はわかった」
村の小中高一貫校で大陸両語を教えている議会の議長に、カールマニア語の基本的な文法を教えてもらっていると、見た目60ほど、実年齢83歳の村長が切り口を開いた。
俺達3人はカールマニア語自体を理解出来ないので、自然と女帝陛下がこちら側の全権を握り、女帝陛下は村長の話を、俺達は議長の講義を聴く。
しかし、本格的な話が始まる事は無かった。
「村長! やぐらの者が山賊の輩を発見しやした!」
村の平穏を壊す事態が起きる。




