黄泉おくり
これは友人から聞いた話だ。
「お母さんから聞いたんだけどね…」
ここからは友人の母をAさんと呼ぶことにしよう。
Aさんのお腹に友人がいたときの話だ。
「じゃあ、ゆっくり休めよ」
「うん。ありがとう」
Aさんはゆっくり微笑んだ。
Aさんは四十度の高熱をだし、寝込んでいた。
「はぁ…お腹の子、大丈夫かなぁ。お腹の子もだるいのかなぁ」
そんなことを思いながら寝ていた。
そのうち、だんだん体調が悪くなってきて、気づけばハァハァ言っていた。
「このままじゃやばいかも。でも薬のんだばっかだから、のめないし……」
そんなうちにAさんは深い眠りについていた。
目が覚めると、そこは家の近くにあるバス停。
どうして? そう思っているとバスが目の前に止まった。
「乗らなきゃ…」
Aさんは知らないうちにバスへ乗っていた。
一番後ろの席に座る。
ふとAさんは気づいた。
バスの中は今にも死んでしまいそうなおじいさんやおばあさんだけ。
みんなうつむいて、暗い感じだった。
「なにこのバス……」
Aさんは不審に思った。
「すいません」
バスの運転手のところまで行って、降ろしてください、と言うはずだった。しかし、
「ひっ」
運転手も今にも死んでしまいそうなおじいさんで、暗い表情だった。
「降ろしてください! はやく! 降ろして!」
しかし、運転手は止まる気配もない。
「どうすればいいのよ……」
すると、バスのスピードが少し落ちた。
「え?」
次の乗客が来たのだ。
Aさんは今しかない、と思い、乗客を押しのけてバスをでた。
「……ん、……ん!Aさん!」
その声でAさんは目が覚めた。
Aさんの名前を読んだのは旦那さんだった。
「Aさんに連絡したら繋がらなくて。早退して急いで帰ってきたんだ」
その後、熱も下がり体調も良くなり、無事元気な子供を産んだ。
「もしあの時バスを降りてなかったら、と思うと寒気がするわ、ってお母さん言ってた」
私はその話をきいて寒気がした。なぜなら、私も今日、同じ夢をみたから……
ホラーほどではないですが(^^;;
ちょい怖、ということで(笑