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2030年、ディスク版の販売は終了しました!

作者: 溶ける男
掲載日:2026/07/06

2030年:ハイパーソニック5はゲームソフトのディスク版の販売を終了しダウンロード版への完全移行を行った。

2050年:ストア閉鎖に伴い新規の購入が行えなくなり、移植予定の無いゲームの多くがデジタルの海へと消えた。


2064年 某所


「おい、聞いたか?

例のゲームのアカウント、売り出されるらしいぞ。」

「ソースは?」

「このサイトだ。ほら、このオークションのサイト。ここにアカウントの出品がある。」

教えられたオークションのサイトを確認すると、確かにアカウントの出品が告知されていた。

予想落札価格に目を通すと

「くそ。上がってやがる。」


ディスク販売終了後に発売された「葛葉ディスタンス」は、その後のリメイクや移植も無く、2050年のストア閉鎖と共に新規購入が出来なくなったことでかえって話題となった伝説のゲームであり、購入履歴のあるアカウントはオークションで高額取引されていた。


「こうなったらあのアカウントを手放すしかないか」

手放すアカウントに含まれるゲームの進行状況を確認する。

せっかく手に入れたアカウント内のゲームを未クリアのまま手放すわけにはいかない。

クリアにかかる時間は?

オークションまでに現金化となるとギリギリか?

メインイベントとサブイベントまでで、トロコンは諦めるしかないか。


それから2週間、寝る間を惜しんでゲームを遊びどうにかクリアし、オークションでアカウントの現金化を済ませる。

なんとか間に合った。予想落札価格の2倍を用意しオークションに臨む。


会場に入り、目的のアカウントの時間までロビーで時間を潰す。

下手に中に入れば目移りしてしまうかも知れない。


端末のアラームが、次が目的の商品だと知らせる。

席へと戻り、アカウントの説明が終わり競りが始まる。

異様な熱気に当てられめまいがする。


300!

320!

330!


すでにヒートアップした数名が競り合って予想落札価格を超えていた。

どんどんと釣り上がる値段に覚悟を決めて端末を操作する。


500!


跳ね上がった金額に一瞬鎮まる会場。


「さぁ無いか!」


550!


先ほどのうちの一人が、必死の形相でさらに値を上げる。


これでどうだ!


600!


ドクン!ドクン!


心臓がうるさいくらい鳴っている。


「さぁ無いか?」


こっちもあと少ししか余裕がないが、それを悟られないように余裕の笑みで相手を見据える。


最後まで競り合っていた男が失意の顔で下を向く。


「無いようですね…600で落札!」

ダン!


木槌を台へと打ち付けられ落札が確定する。


ふう、なんとか手に入れた。


受け取りのために支払いを済ませて、ステージ裏の端末を使いパスワードの切り替えとセキュリティ端末の切り替えを行い、完全にアカウントを自分の物にする。


ようやくだ。

ゲームの存在を知って5年、資金調達も何とか間に合い、ようやく手に入れることが出来た。


足早に会場を後にして自宅へと急ぐ。


逸る気持ちをなだめつつ、自宅の本体にアカウントを設定する。

間違えないようにパスワードを入れ、二段階認証を受け取りログインする。


ストアの履歴から葛葉ディスタンスをダウンロードし、その間に夕食を済ませ仮眠を取る。


端末にダウンロード完了の通知が来て目が覚める。


さぁ始めるぞ!


起動画面がディスプレイに映りゲームをスタートする。

当時としては最先端の美麗な映像表現と、壮大なBGMのオープニングが流れ、ゲームへの期待感が高まる。


そんなオープニングとはちぐはぐな稚拙なUIが画面を汚し、小さな段差を超えられないポンコツなAIが仲間を置き去りにしゲームの進行を阻害する。


メニュー画面を開くのに数秒かかり、それをごまかす為にマスコットキャラクターが中央で踊り狂う。

それを無くせば読込の時間が早くなるだろうという突っ込みが思わず口からこぼれる。


うん…クソゲーだ。

コレはリメイクされないわ。


オレはクソゲーハンター!

世にあるクソゲーは全てプレイしてやる!

お読みいただき、ありがとうございました。


今回は、先日発表された「PlayStation®コンソール向け新作ゲームのディスク版生産を2028年1月に終了する」というニュースをきっかけに思い付いた、「もしも」の未来を書いてみました。


作中ではアカウント売買など現実には利用規約に反する表現を含んでいますが、あくまでフィクションです。


ディスクという形がなくなり、ストアも閉鎖され、移植もされなかったゲームが誰にも遊ばれなくなる――。そんな未来が本当に訪れたら、どうしてもそのゲームを遊びたいと思う人は現れるのではないか。そんな発想からこの物語は生まれました。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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