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【17】

すぐさま凛は行動に移し、金家の下働きとして入ることになった。もちろん表向きは、美加の店の手伝いをするからとしており、大雅達も何の疑いももたなかった。

ー何かあるはず。それさえ見つければ…。

廊下を雑巾がけしながら、左右に目を配る。今のところ、収穫はなしだった。、それというのも、和真が外出するか、何か別のことをしていなくならなければ、話にならないのだった。、

ー部屋に入るなって言われているし。

当たり前といえば当たり前だが、和真の部屋には何かあるような気がしてならなかった。、早くどここへいかないかと願っていると、天が味方してくれる。

「ー出かけてくる。皆。よろしく」

従業員一同が「はい」と喜ぶ。和真がいたほうが緊張が高いらしい。凛自体もこれで動きやすくなり、目を輝かせる。

ーとりあえず、掃除するふりをしつつ…。

目指すは和真の部屋だった。誰もいないことを確認し、素早く動く。扉が開くだろうかと心配だったが、その必要ななく、すぐに開いた。

ー…ここが、問題よね…。

部屋は広く、センスの良い家具が並ぶ。しかし多くあるわけではなく、無駄なものは何もなかった。

ー早く!! 早く!!

凛は焦る気持ちをおさえ、まずは机へ向かう。何かないだろうかと上の段から探っていく。几帳面なのか、手荒く探さなくても引き出しの中は見やすかった。

ーないな、ないな。

早くしないと誰か来そうだと、凛は焦る。すると鍵のかかった机の引き出しがあった。鍵はどこだろうと探していると、誰ががやって来る足音がし、とっさに机の下に隠れる。

ーた、誰?

心臓がばくばくいっており、息をひそめる。どうやら和真が戻ってきたらしく、凛は生きた心地がしなかった。

ーまずい…。殺されるかも!!

両手で口を押さえ、息を殺していると、和真が奥の部屋へ入っていく。耳をそばだたせていると、女性のうめき声が聞こえた。

「これを渡すのを忘れていた。お前の大好物だ」

何を言っているのか、分からなかったが、何かを差し出したらしい。和真は気に入ったのか、「くく」っと笑うと、戸を閉め、部屋から出て行った。

ー何? 何だったの?

足音が完全に聞こえなくなるまで待ち、凛は行動する。奥の戸は施錠されておらず、横に動かすと、縄で縛られた女性が現れた。

ー…え!! 何これ!!

女性は何か飢えるように唸っており、凛はびっくりする。口も封じられているので、何がそんなに必死なのか分からないが、とりあえず赤い紙が落ちているのに気づく。

ーん? 何? 粉?

中を開くと、白い粉が入っていた。それを見た途端、女性が激しく体を動かしてくる。どうやら、この粉が欲しいらしいとようやく分かり、凛は匂いを嗅いでみる。

ーうーん、何だろう、これ? 何かの薬?

とりあえず女性には悪いが、もらっておくことにした。和真が渡したものだったら、何かあるに違いない。女性は抗議するように唸ったが、ここから助け出してやるだけの余裕が今の凛にはなかった。

「申し訳ありません。でも必ず助けるので」

そう言うと、部屋の中を見る。どうやら植物を育てているらしく、橙色や赤色の花が咲きほこっていた。

ー秋桜…じゃなさそうね。…一応、1輪もらっておこうかな。

たくさんあるので、1輪くらい大丈夫だろうと採取し、懐に隠す。あとは気になるものはなかった。あるすれば女性だが、体は細く、まるで凛の店の前で亡くなった元妓女ーほたるのような体形だった。

ー貴重な証人になりそうだけど…。

雅巳がいれば人がいても連れて行くことが可能だったかもしれないが、今は無理だった。

「希望を捨てないでください」

そう告げると、後ろ髪引かれる思いで部屋を後にする。この際、鍵のかかった引き出しは無視することにした。

ー早く出よう。何か嫌な予感がする。

足音を殺し、和真の部屋から出、雑巾がけの途中と見せかける。思った通り、男の従業員がこちらにやって来、眉根を寄せる。

「おい、思え!!」

「は、はい。何でしょうか?」

ばれたのかと思ったが、そうではなく、

「隅の隅まで拭け。旦那様は綺麗好きなのだから」

「…。か、畏まりました!!」

上ずった声が出たが、何とかやり過ごすことができ、ほっとする。これ以上の詮索は危険と判断し、凛は懐を気にしながら掃除するふりをしたのだった。


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