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【1】

冷たい雨が降っている。その中を傘もささずに、赤子を抱えた女が立っていた。

「優…!! 美明ちゃん!!」

葉凛は必死で叫ぶが、赤子を抱えた女ー高優はきつい眼差しを向けてくる。

「あんた、あたし達を裏切ったわね」

「裏切ったって…そんな」

凛の体が冷たくなっていく。しかしこれだけは言いたかった。

「そんなことはない!! 助けようとしたのよ!! 本当よ!!」

雨で髪が顔にはりつく中、凛は誤解だと告げようとした。しかし優は責めるのを辞めようとしない。

「嘘つき」

「嘘つきって…。待って!! 待って!!」

優と美明の体が骸骨の姿へと変化していく。凛は「ひ」って小さく叫び、一瞬躊躇する。しかしどうしても分かって欲しかった。

「私は裏切ってないし、嘘もついていない。本当よ!!」

真剣に手を伸ばしたところで、2人の姿が目の前から消えた。なぜ、と疑問に思い、叫ぶ。

「優!! 美明ちゃん!!」

大声で叫んだところで、目が覚めた。がばりと体を起こすと、暗闇の中、目をこらす。どうやら自室のようだった。

ー悪夢か…。

大きく息を吐き出すと、額から汗がこぼれていく。秋で涼しいはずなのに、真夏のような暑さを感じていた。しかも体は重く、涙が溢れてくる。

ー嫌な夢…。…どうしたら良かったのよ。

先の事件を振り返り、凛は首を横に振る。どうしようもない結末だった。誰のせいでもないのに、勝手に自分を責める。

ー私に救う力があれば…。そうすれば2人は助かったの…?

誰も答えをくれない。暗闇の中、額に手を置き、そのまじっと動かないのだった。



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