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正義のヒーローは魔法幼女と共に異世界転生を目指して悪事を働く  作者: へるきち


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006. 正義のヒーローという呪縛からの解放

「ひよこは飛ばないだろ?」


 幼女達の言うフェニックスは、ひよこだった。

 スマホで写真を見せて貰ったが、どう見てもニワトリにしかなりそうもない。

 もしかして、フェニックスの幼体なんだろうか。

 いや、昔縁日で売ってたヤツじゃんこれ。

 

「そういえばそうか。じゃあ、丸焼きになっちゃったかあ」

「私達で、おいしくいただくはずだったのに」


 使い魔じゃなかったのか? 俺のカメみたいな。

 食べちゃダメだろ。

 今後の魔法幼女の活動に支障をきたすんじゃないの?


「フェニックスは非常食だよ」


 聞いてみれば、フェニックスという名のニワトリだったようだ。

 集合住宅でニワトリは飼っちゃダメだろ。


「じゃあ使い魔はどこなんだ?」

「この世界に実体を持ってたら危険でしょ? 実際、あんたのカメは、爆死しちゃったじゃないの」

「実体がないから、フェニックスを使い魔に見立ててたんだよ」


 なるほど?

 異世界へ引っ越しする権利を付与できるくらいだし、この世界の存在ではないって事か?

 俺のカメと幼女達の使い魔が、同じ世界の存在とは限らんが。


「使い魔との連絡は、チャットでやってるの。そこは、あんたのカメと同じね? あんたも、チャットグループに入れてあげるわよ」


 そう言って、黒いのがスマホを操作すると、早速俺のスマホにメッセージが届いた。


「ようこそ! 新しい眷属! 君もジャスティス・ポイントを集める仲間なんだね! よろしく!」


 フェニックスという名のアカウントからだ。

 軽いなあ? 魔法幼女の使い魔。

 適当にお辞儀してるスタンプを返しておく。


 カメが死んで、正義のヒーローという呪縛から解放されたかと思ったんだが。

 うっかりあっさりと、新しい悪魔の契約を交わしてしまったな?

 だがしかしだ。

 ジャスティス・ポイントを貯めれば、異世界へ引っ越せるんだから、前向きに考えて見ようか?


 そう言えば? 展開が衝撃的に過ぎて、重要な事を失念していたぞ。


「お前らの親はどうなったんだ?」


 こいつらは、魔女だけど、幼女だ。同居していた保護者が居るだろう。

 ボロアパートの中で、爆死しちゃったか?


「あー、今頃、多摩川で鮎の餌になってんじゃないの?」

「一昨日から見てないもんね」


 プリンの賞味期限切れてるかもー、それなら私が食べたよー、くらいのノリで言ってんな?

 鮎って肉食だっけ? いや、問題はそこじゃないな?


「あんたも関係してるわよ。トイレで回収して捨てたモノがあったでしょ?」

「ああ、アレが何なのか知ってるのか?」

「いや、中身は知らないけど。うちの親はアレを回収して運ぶ仕事をしてたのよ」


 ろくでもないブツなんだろうなあ。

 闇の仕事なんだろう。ブツが消失しちゃったから、運び屋も消されちゃったってところか。


「そんなワケだから、あんたの秘匿してた4500万円を盗みに入ったワケ。使い魔の指示してきたミッションでもあったんだけどね」


 そんなワケって、どんなワケ?

 親が居なくなったから、生活費を自分達で稼ぐって事?

 プリンがなければ、ババロアを食べればいいじゃない、みたいな事言ってんな。


「しかし、金だけあっても、子供だけじゃ施設送りじゃないかな? 引き取ってくれる親戚でもいるのか?」

「クズ親に頼れる親戚なんか居るわけないでしょ? だから、あんたを仲間にしたんじゃないの」


 なんか面倒な事を言い出したな。

 突然娘が湧いてこないものかと妄想したものだが、いざ現実になるといろいろと面倒だぞ?

 昭和のテレビドラマじゃないんだから。


「面倒な話は一旦置いといて、今日からのねぐらを探しに行こうぜ?」


 まずは拠点を定めないと、今後の生活が立ち行かない。

 偶然にも一週間の休みをとっておいて、良かったぜ。

 一週間あれば、なんとかなるだろう。


「この後で、クライアントと会う約束があるから、まとめて相談しましょ」

「クライアント?」


 魔法幼女達のミッションには、この世界のクライアントが存在するのだそうだ。

 今回のミッションの場合、4500万円とファイルを回収すれば、報酬は900万円なんだと。

 その方式だと、正義の執行もちゃんと個人事業として成立するじゃないか。確定申告を青色で出せるかどうかは知らんが。

 えー、何それー? こいつらの使い魔優秀過ぎない? いや、うちのカメが無能だったのだろうか。


「そのクライアントって、不動産屋なの?」

「弁護士よ。相談相手としては最強でしょ?」

 

 ライバルを潰したい同業者ってところなんだろうな。

 そいつも、正義を執行すべき対象な気がするんだけどなあ?

 

「弁護士の相談料は、30分で1万円とかかかるだろ」

「それで済むなら安いでしょ? 親権の書き換えとか、どうやるのか見当もつかないでしょ?」


 いや、そういう事なら行政書士でも出来るだろうし、弁護士よりも安く済むんじゃないろうか。

 しかし、これからも正義の執行のために悪事を働くワケだし、弁護士を味方につけておくのも手か?

 正義の執行のための悪事、何を言ってるのかって話だが … 。この呪縛からは、もう逃れられないのだろう。だったら、前向きに取り組むべきだ。


「何よりも、クライアントの弱みを握ってるから、言いなりよ?」


 なんと心強い幼女なのか。

 そういば、こいつらが親分で、俺が子分なんだったな。その序列でいいよもう。


「なあ、いっそ4500万円持ち逃げするって手もあるぞ?」

「あんたもなかなかの悪ね? 正義の執行のためだし、それでいきましょうか」


 正義とは一体?

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