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正義のヒーローは魔法幼女と共に異世界転生を目指して悪事を働く  作者: へるきち


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33/33

33. お前も正義のヒーローにしてやろうか!

 川崎駅を中心とした、半径1キロメートルが消失した。


 ネットでは、某国のミサイル攻撃だとか、テロだとか、ガッズィーラだとか言っているけども。

 報道では、隕石の落下となっている。

 ガッズィーラとか居るわけないじゃん、と言いたいところだけど、つい最近巨大カメが多摩区に出現したばかりだからなあ。川崎は、怪獣王国だとか言われている。

 事実、怪獣みたいなのは居る。それも2体も。幼女の姿をしているけど。


「危なかったわね。あのドロンボーを尾行してたら巻き込まれてたわよ。タグが川崎区まで行って消えた」

 ミーが、持っていないはずのあいほんを操作している。

「神聖カワサキ帝国のビル辺りか? ところで、そのあいほんどうした」

「フリースクールに転がってたわよ。ドロンボーに縫い付けたタグとペアリングされてた」

 なるほど。タグもあいほんも、フリースクールの職員のものなのだろう。あるいは、生徒の忘れ物か。

 スッポコスッポコと、あいほんの着信音が鳴り、ミーが俺に手渡してくる。

 俺に、窃盗罪押し付けんなよ…。

 これが忘れ物だったなら、持ち主がかけているのかも知れない。俺は、あいほんを受け取ると、通話ボタンをタップした。

「はい」

「あれ!? かけておいいてなんだけど、誰が出たの? タマちゃん?」

 かけた来たのはフリースクールの経営者でもある、近衛騎士隊長だ。

「ああ、フリースクールにあったケータイを、間違って持って来ちゃった」

「そういう事か。ニュース観た? そっちは何ともないの?」

「ああ、多摩区は何ともないぞ。それよりも、そっちのビルは跡形も無いんじゃないのか?」

「今、札幌に社員旅行に来てるからね」

「それは、何よりだって言っていいのか」

 無事ではあるが、彼女達の資産は大半が消し飛んだ。いいのか悪いのか。

「まあ、最悪の事態でもないよ。うちの王女は寝込んでるけども。そのケータイはー、そうだな預かっておいてよ。それ、フリースクールの備品だからさ。かかってきた電話は、適当に応対しておいて。しばらく、そっちに戻れそうもないから、フリースクールの事は任せるよ」

 任されてしまった。

 社員旅行って事は、フリースクールの職員も札幌なんじゃないの?

 どうしたもんか?

 まあいいか。幼女カフェだと思えば。


「フリースクールの子供達に経済を教えろって? ふーん、興味深いね。無報酬でもいいくらいだ。いや、報酬はきっちり貰うけどね」

 臨時休校でもいいかなと思ったけど、授業をやる事にした。

 せっかくの幼女カフェに合法的に入り浸るチャンスを逃すのはもったいない。

 俺が、教えられるのは、IPネットワークの事とか、リナックスのコマンドくらいだが、子供は興味無いだろうしな。

 教師を、このビルの住人である士業13使徒達に、依頼する事にした。

 まずは、会計士に経済の授業を依頼しに来た。

「経済の事は確実に将来役に立つからな。弁護士にも法律の授業を頼むつもりだよ」

「全くその通り。借金は悪だとか、投資は虚業だとか、おかしな常識がまかり通ってるからね、この国は。税金や社会保障の授業もした方がいいと思うよ」

「そうだな。それは、税理士かな。俺が受けたいくらいだな、その授業」

「専門分野は重なってるから、合同でやってもいいかも。というか、ひとりで子供達を相手にしき自信ないわー」

「そこも考慮しておくよ。明後日からだから、予定空けといて。急ぎの仕事が入ったら、そっち優先でいいから」

「あいよー」

 教師役は集められるだけ、集めておこう。本業優先で、キャンセルが入るかも知れないし、合同でやってもいいしな。

 美容師にだって、何かしら授業は出来るだろう。


「みなさんには殺しあいをしてもらいます」

「きゃーっ!」

 土日の間に準備をして、明けて月曜日。こうなる気はしていた。

 美容院は、月曜か火曜に休業しているのが多いからね。

 教師として参加出来たのは、美容師だけだった。

 開口一番、ろくでもない事を言い出したよ。子供達は、わけも分からず喜んではいるけども。

「あれ? そういう反応? えーっと、まず自己紹介をしてもらおうかな。私は、今日が始めてだからね。私は、チンチンポテト666世だよ。10万27歳だよ。今週、一週間よろしくね」

「きゃーっ! ちんちんー!!」

 きゃー以外に反応は無いのだろうか。

 そして、俺は一切突っ込まないぞ。どう突っ込んでいいやらも分からんし。666世って、何千万年続く名家の設定なんだろうか。666代目が、10万27歳とか言ってるけど。

 美容師は、月曜日が休業日というだけでなく、今週一杯偶然にも遅い夏季休暇なんだそうだ。

 何故か、やる気満々でフルに授業をやってくれる。暇なのかも知れない。

 他に教師が出来るのは、俺とミーハー姉妹にニャア大佐。大佐は生徒じゃないのかよ。

 俺達も、それぞれに自己紹介をしておく。

「俺は、多摩珠緒だ。専門は、ITインフラの構築かな。ITインフラって言っても分からんかも知れんが、そこを学んでもらえたらいいかな」

「きゃーっ! たまたまー!!」

 さっきと反応が変わらない。まあ、いいけどさ。

 幼女に、ちんちんとかたまたまとか言わせて、保護者からクレーム来ないかな。

「ワシは、暁の堕天使、ニャア大佐じゃ。貴様達に、この世の真理を授けよう。くくくっ」

「…」

 大佐の自己紹介には、無反応、というか明らかにかわいそうなものを見る目だ。

 幼女の方が、中二女児よりも大人ってどういう事だろうか。まあ、そういうものかも知れないな。

 冷え切った教室に、果敢に挑んでいくのはミーだ。

「私は、ミーだ! 私と会話する時は、語尾にぶひぃとつけるように! 以上だ!」

「ぶひぃーっ!」

 それは、受け入れるんだ。

「私は、ハー。時を旅する女…。お前もネジにしてやろうか!」

「めーてるーっ!」

 なんで、メーテル知ってんだよ。昭和の作品だぞ? リバイバルしてたのも、こいつらが生まれる前じゃないか?


 続いて、生徒達の自己紹介。

 フリースクールでも、生徒っていうんだろうか? 幼女でいいな。

「この中に、バンパイヤ、正義のヒーロー、魔法少女、自律行動するロボットが居たら私のところへ来なさい!」

 なんでハルヒを知っているんだ。生まれる前じゃないか? 親がアニメ観せたりしたのかな?

 そして、居ないはずのそれらが全部、この中に揃ってるっていうね。バンパイヤだけは、自称だけど。この幼女、まさか分かってて言ってないよな?

 ちなみに自律行動するロボット、に見える、フェニックスはスマートスピーカーのフリをして教室前方の机の上に座っている。

 幼女がいじらないように、大佐が守っているが、簡単に抜かれそうだな。

 というか、もう抜かれた。まあ、アレが本体ってワケじゃないし、いいか。首もがれて股間に装着されたりしてるけど。子供は残酷な遊びが好きだなあ。

 

 他の子の自己紹介は割愛。

 自己紹介大喜利のネタが尽きたからだ。

今回のネタは、以前書いた短編の使いまわしです。

「自己紹介という名の大喜利」

https://ncode.syosetu.com/n0511kh/

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