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正義のヒーローは魔法幼女と共に異世界転生を目指して悪事を働く  作者: へるきち


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28. 正義の賃貸契約

「あんたと結婚しようかな?」


 脱法弁護士が、愉快な事を言い出した。合法ロリか、嫌いじゃないがー。


「母上、タマちゃんと結婚すんの? ええんじゃないの? タマちゃんがワシのパパかー」


 娘の反応は軽い。ペット増やす感覚で言ってない? 父ちゃんは、ペットじゃないよ。


「おい、仕事があるっていうから来たのに、何言い出してんだ?」


 受け入れるつもりはないので、そう言う。それは娘たちも同じだったようで、追撃をかける。


「そうよ。うちのタマちゃんの妻になるなら、弁護士風情じゃダメよ」

「最低でも、女神か魔王じゃないと」


 ストレートにダメ出ししてる。その条件だと、俺結婚出来ないな?


「あんたとくっつけば、うちのチエが少しは懐くかと思ったんだけど。考えてみれば、コイツもうすぐ成人で、うちを出てくだろうし、どうでもいいか」

「ワシ、引き籠りのニートになる気満々じゃけど」


 一種の政略結婚? やだよ。あ、でも、節税にはなるか?

 大佐のヒキニート宣言については、先送りでスルーだ。

 それよりも、仕事の話は?


「あんたの探偵業の届けを出しておいたから。どうせ違法な捜査しかしないんだろうけど、無いよりはマシだよ」


 そういうの勝手に出せるものなの? なんて、並の感想は、もはや出て来ない俺だ。へえ、便利じゃん。

 

「形だけでも法人化しておくといいよ。個人事業だと賃貸契約とか難しくなるからね。法人ならすでにあったっけ?」


 法人ならすでにあるから、事業の多角化って事でいいだろう。

 不動産経営と探偵業。どんな会社だ?

 不動産経営の方は、売り飛ばすから、これからは探偵業が専門になるのか?

 他にも、子供預かったりしてんな。何屋なんだろ、俺。

 もしかして、託児所の届けも勝手に出されちゃってるのかな。


「本題なんだけど、うちのWi-Fiが壊れちゃったから、直してくんない?」

「探偵関係ねぇな … 。俺の本業は、むしろそっちだからいいんだが」


 壊れたWi-Fiとやらは、ルータを交換して修理完了かな。

 Wi-Fiが壊れたって何? Wi-Fiアライアンスが解散でもしたの? などと正論を言ってはいけない。

 久々に、ネットワークエンジニアの仕事だぜ。

 適当なルータを家電量販店で買って来て交換した。

 法人向けルータを発注しておいて、届いたら再度交換する予定だ。

 家庭向けのはアタリハズレが大きいからな。


「保守契約もしてくれないかな。24時間365日とは言わないけど、IT機器でなんかあったらすぐ来てよ。今も、パソコンの画面から、金払えってバナーが消えないんだけど」

「仕事中に何見てたの? まあ、最近は悪どいのがそこら中にあるけどさ」


 詐欺バナーは、プロセスを強制終了して止めた。自動起動の中に潜り込んでたりは無かったので、これで十分だろう。金とる程でもない。とるけど。

 脱法弁護士から話を聞いた美容師たちも、うちのWi-Fiもー、と言ってきて、ちょっとした小遣い稼ぎになったよ。IT機器の保守も事業内容に追加だな。ほんと、何屋さんなの、俺?

 みんな結構な額を支払ってくれたけど、後で飲み代とかで毟られるんだ。もしかして俺、マネーロンダリングに利用されてない?


 何屋さんであれ、ちゃんと法人として売り上げが立っているというのは、社会では立派な事なのである。例え、マネーロンダリングに利用されていようともだ。

 弁護士もさっき言ってたけど、賃貸契約の審査に通るかどうかが大きく変わる。


「わらわは、神聖カワサキ帝国の王女である。くるしゅうないぞ。楽にしてたもれ」


 王女だわー。王女が来たわー。うちのビルを買いたいという連中との契約の場に、王女は現れた。

 近衛騎士隊長とかいうイケメンの女が背後に控えて居る。

 彼女たちが、これからのうちの大家だ。この世は、多様性に富んでいるな。

 

「屋上のペントハウスは、多摩さんが借りておられると」

「そのまま住みたいんだが。あー、猫とかニワトリとか、あと幼女も居るんだけど。いいかな?」

「部屋を貸したくない属性てんこ盛りですね? 別にいいですよ。うちも似たようなもんだし」

「わらわは、幼女ではないぞ?」


 近衛騎士隊長も、俺と同じ、元は派遣のシステムエンジニアなんだそうだ。

 そして、王女はどう見ても幼女。なんて似た境遇なんだろうか。


「問題は、屋上のペントハウスが、違法建築って事でしょうかね? 」


 ぐう。やはりそうだったのか。だろうな、とは思ってたよ。


「まあ、でも。その辺も、どうとでもなりますよ。うちには有能なスタッフが揃ってるんで。ぎり脱法くらいの範囲で何とかします」


 神聖カワサキ帝国にも、各種士業が勢揃いで、美容師まで居るそうだ。ほんと、似てんなー。


「すでに住人が居るというのは、都合がいいですよ。賃借人は強いんで、せいぜいごねて居座って下さい。最悪の場合は、他のフロアの空き物件に移ってもらいますけどね」

「それで充分だよ」


 大家に居座りを要求されるなんて、珍しい体験だろうなあ?


「今後は、協業出来る事もあるかと思うので、引き続きよろしくお願いしますね」


 実に素晴らしい大家だといえよう。うちに都合がいいという点でね。 

 人生がうまくいくかどうかは、出会いとタイミング。

 王女と近衛騎士が、俺と縁が出来るとは思わなかったけどな。

神聖カワサキ帝国の物語は、カクヨムにあります。

「神聖カワサキ帝国の王女様と近衛騎士」

https://kakuyomu.jp/works/16818622175275927355

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