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正義のヒーローは魔法幼女と共に異世界転生を目指して悪事を働く  作者: へるきち


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27. 正義のキャピタルゲイン

「私達の事を資産とか。他人が聞いたら、鬼畜ロリコンだと思われるわよ? 言いたい事は分かるけどね」


 とんかつ屋で、少し遅い昼食、あるいはもの凄く遅い朝食をいただく。

 俺の資産はお前たちだ、なんていったら、ミーから的確な指摘を食らった。

 これがドキュメントレビューなら、ご指摘の通りなので表記を修正しました、としか返せないな。


「タマちゃんは、私達からインカムゲインを得たいの? まさかのキャピタルゲイン?」

「幼女を転売して利益を得るとか、鬼畜どころか奴隷商人なのじゃー! 師匠のエッチ」


 インカムゲインってのは利子とか配当とか、キャピタルゲインってのは買値よりも高値で売って利益を得る事だ、とフェニロボに教えてやる。


「キャピタルゲイン … ? そうか、あのビル売れるんじゃない?」

「そういえばそうね? 非合法なくらい破格で買ったものね」


 爆破テロの影響で地下が暴落した背景に加えて、黒い資産だった事もあり、俺達のビルは超破格だった。

 今なら、復興バブルで10倍くらいの価値になってるんじゃあ?


「売ってもいいけど、住む場所どうすんのよ?」

「転売先から賃貸で借りたらいいよ。今も、帳簿上は賃貸契約だ。俺が、ビルの所有会社から借りてる事になってる。借主の方が法的に強いから、簡単には追い出せないぞ」

「さすがは正義のヒーローね。悪どいわー」


 そうと決まれば、早速実行だ! 即断即決即実行くらいしか、俺の取り柄は無い。


「まいどー! 社長ちゃんおるー? 太っい客連れて来たったでー」

「やあ、チエちゃん。今は、大佐なんだっけ?」


 駅前の不動産屋にやって来た。大佐の母親が顧問弁護士をしているところだ。


「なるほど? 自分達の賃貸契約を残したまま、あのビルを売るんだね? ちょうどいいわ、あのビルを買ってくれそうな会社に心当たりがあるよ。ははっ! 仲介手数料がえぐいなこりゃ! わはは!」


 正直だなー、この人。俺達が、最初に多摩区のマンションの内覧に立ち会ったのもこの人だ。ここの社長ちゃん。人の好さそうな女子事務員って感じなんだけどなー。たくましいわー。


「えーっとね、神聖カワサキ帝国の王女様ってのが、この辺でビルを探してんのよ」

「誰だそりゃ … 、そんな国あった?」

「国家じゃないよ。法人名だよ。王女ってのは役職名なんだろうね? 名刺にそう書いてあった」

「そんなのにかかわって大丈夫なの?」

「心配なら、ビルの住人を巻き込んだら? 士業13使徒だっけ? いろいろ居るでしょ」


 ビルは20億円で売れるだろうって事だ。

 入って来る利益を考えたら、コストを惜しんでる場合じゃないな。

 もっとも、俺の取り分はローンの返済で消えそうだけど。


「この件が、うまくいったら、タマちゃんにはジャスティス・ポイントをあげるよ」

 

 と、フェニロボからご褒美の提示があり、ミーとハーからも愉快な提案があった。


「仕方ないから、当面は私達は、あんたを養ってもいいわよ」

「タマちゃんから、キャピタルゲインを得る」


 そこは、インカムゲインにしといてくれよ!?

 よし、脱法弁護士のところへ行こう。13使徒のまとめ役だからな。


「よく来たねニャア大佐。元気にやってるかい?」

「はあ? 誰それ。ワシ、チエなんじゃけど」

「あ、そう … 、元気ならそれでいいよ」


 実の母親に対してだけ、かたくなに真名を明かそうとしない大佐。

 いろいろとこじれてんなあ … この、母娘。


「ビルの転売か。税金対策も必要だろうね。まあ、任せておいてよ。ところでさ、フリースクールから何か持ち帰ってない?」

「え? ああ、何すんの?」


 フリースクールの件は、火災事故で処理しておいた。

 現場に転がっていた校長と講師が、容疑者として捕まったそうだ。

 うっかり、上の階も延焼させてしまったのだが。詐欺集団のアジトである事が、火災の調査に入った警察によって偶然判明。詐欺集団のボスも校長である事が判明したのだとか。

 どこまでが、フェニックスのシナリオ通りなのか、よく分からんが、まあそういう事になっている。


 で、フリースクールに通っていた生徒の保護者達が、訴訟を起こす事にしたのだとか。

 何かあやしいな、と思っていたのが真っ黒だったワケだからね。


「で、隠し資産でもないかと思ってね。無いものは毟れないからさ。私も原告に加わるか、弁護士としてやるか、それで変わってるのさ」


 自分が原告となる場合は、自分で弁護をしないのが一般的だ。やって出来ないワケじゃないそうだけど。

 ただし、その場合は、相手に毟れるものがないと、何も実入りが無い。

 一方で、自分で弁護した場合は、原告から費用をとれる。

 被害者である娘の前で、何を言ってんだって話なんだが。大佐には、オープンにしておいた方が、いいのかもね。


「さすがは母上なのじゃ。ワシは、どうでもええんじゃけど」

「大人には、落とし前ってもんが必要なのさ。あんたを食わせるためにもね」


 で、あいつらの隠し資産か。

 それが分かりそうなものは、持ってはいるんだが … 。


「パソコンからサルベージしたデータならあるが」

「ほう? やっぱあるんじゃん。表には出せないから、証拠品にはならないだろうけどね。盗撮画像でも入ってたかい? あそこの校長、小学校の運動会に侵入して通報されたりしてたんだよ」

「画像データは無かった。帳簿らしいのはあったけど」

「じゃあ、そのデータ売ってちょうだい」

「パソコン本体つけて渡すよ。ゴミだけど」

「ゴミ処理を押し付けるんじゃないよ。名目上はパソコンの買取で、対価を支払えるからいいか」


 ボロ過ぎてフリマアプリでも売れそうにないからなあ。パソコンは、捨てるの金かかるしね。

 でも、他にも何か、金策しないとなあ。

 別に、娘たちに扶養してもらうでもいいけどね。俺も、昭和の頃なら、そろそろ定年のトシだからなあ。

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