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幼馴染という関係①

『私、小学生の頃からずっと......』

     君が好き。なんだよ。

あの告白の少し前。生徒会室で雑務をしていた吉田和希は、自分の幼馴染である男女が2人で校舎を出ていくのを見ていた。

壱龍、どうしたんだろ。

最近よく壱龍のテンションがおかしくなるというか情緒不安定なところがあり心配していたところだったので、珍しいイベントの発生に私はさらに不安になっていた。壱龍は繊細な子だってよく知っている。彼はいつも1人で生きていけるかのように強がっているが本当はいつも辛く思っているような子だ。私が目を離して仕舞えば、誰も見てくれなくなるのかもしれない。私は確かに他に友達はいるけれど、彼を見放すわけにはいかないのだ。大切な人だから。

そこで2人を尾行しようと思って勢いよく校舎を飛び出した。

やっぱり、乃亜ちゃんだ。

壱龍の横にいる女子が確かに乃亜ちゃんであることを理解し、ふとため息をつく。昔も2人一時期すごく仲が良くて怪しい感じだったもんな。ついにくっついたのかな。

私は好奇心に駆られ、ばれないようにばれないようにとこっそりついていく。そうすると彼らは地下へと降りていった。地下鉄か。

地下鉄は尾行する側にとってはバレやすいので少々緊張しながらも同じ車両に乗り込んだ。

『うわー。乃亜ちゃん壱龍の髪いじってる。すごい壱龍照れてるじゃん。』

さっきまで2人は無言で重い雰囲気だったはずなのに急に公共の場でいちゃいちゃしだした。バレる心配が少なくなるから他のことに意識を向けてくれてることは良いことなんだけど、何だか複雑な気持ちだった。

2人は何のためにこんなことしてるんだろう。本当に付き合ってるのかな。湧き上がった疑問をひとつひとつ2人にぶつけたくて仕方がなかった。

そのまま彼らが降りた先でも尾行を続けると、彼らは服屋さんに入っていった。

そっか、服を買いに来たのか。やっぱデートみたいな感じなのかな。もやもやする心を不思議に思いながらもその様子を見ていると、壱龍が不意に立ち止まった。なんだかぼーっとしている。どうしたんだろう。

乃亜ちゃんは男物の服を選んでいる、そっか、乃亜ちゃんに服を選んでもらってるのか。

今まで彼らがそんな仲になっていることは知らなかったので乃亜ちゃんは紫陽が好きなものだと勝手に思っていたのだが、違うんだ。

その様子を見ながら、もやもやしながら、彼らを羨ましく思ってしまった。

彼らは私の知らない青春を知っている。そのことが、それも一番近くにいる壱龍が今、私と違う景色を見ている事が悔しかった。彼はいっつも人間関係に悩まされる私にとって大切な居場所だった。でも、彼にとって私は都合の良い男友達だったんだ。確かにただの幼馴染、男友達だけど、私は充分それで幸せだった。でも彼は違かったんだな。

こんなのは私の自己中心な考え方が悪いとしか言えない。いつまでも我が儘言ってたら壱龍だってそりゃ嫌になっちゃうよね。すごく悔しかったけれどそのことにあまり恨みは持たなかった。自分が悪いものだとは分かっていたから。でも......急に大きな声を上げた壱龍に乃亜ちゃんが掛けた声が聞こえてしまった。

『私、小学生の頃からずっと......』

     君が好き。なんだよ。

なにそれ。

それは何だか許せなかった。

小学生の頃から好き?壱龍は私の大切な幼馴染なんだよ?なんで取ろうとするの?

私はこれから自分が何をしてしまうのか怖くなったので急いで場を離れた。もしかしたら2人を悲しませてしまうかもしれない。彼らが思い合っているのなら私が口を出すのはおかしい事だ。私はその時はまだ冷静さを保てていたので、お店を出て、地下鉄に乗った。家に帰ってやっと、もやっとした思いが一気に解き放たれた。

「なんだ。なんなんだよ乃亜ちゃんは。あんな可愛い顔しちゃってさ、壱龍を照れさせてさ、やだ、私は女子だって隠して男友達として接してんのに、奪われなきゃいけないの?」

自分で言って自分の言葉に震えた。

壱龍が奪われる。そんなことがあったら私はもう耐えられないかもしれない。というか自分が女子として壱龍を見ているということに気づいた。そうか、私は壱龍が取られたくないんだ。だから男子として接してはいるけど壱龍に近づく女子を遠ざけて、自分の立ち位置を無意識に確立していたんだ。

「うわあああああああああ!!!!!」

ともかく私は無性に苛立ったので大きな声を上げた。こんなんじゃだめだ。また私は自分のために誰かを傷つけようとしている。

やっぱり壱龍にとっては、私なんてどうでもいいんだろうな。

ネガティブなことしか考えられなくなって嫌な気になってきたので抱き枕をぎゅーっと強く、強く抱いた。


「壱龍おはよ。」

幼馴染の冷たい態度に僕は唖然としていた。

今日の和希はスカートを履き、スマホをいじりながら僕に挨拶をし、足を止めてくれなかった。

「どうしたんだ?何で先に行くんだよ。」

「なんか、むかついたから。」

和希は頬を膨らます。

「俺に心当たりはないけどさ、悪いことしたなら弁明させて欲しい。」

こんなことで彼女との友情がなくなるなんてそんなことは嫌だ。彼女との関係は、切りたくない。この気楽な関係で。

昨日、新たな発見があった。

僕は和希が好き、それは僕が勝手に作った幻想だったということ、昨日乃亜と一緒にいてどくどくした胸の鼓動は、和希が好きならばありえないと思う。

僕はすぐ近くにいる手の届く存在に、ただ簡単だと思って手を伸ばしてただけなんだ。心底残念に思ったと共に、今日新たな気持ちで臨もうと思えるようになった。

だから、遠慮はしないんだ。

「おい和希!」

前を行く和希の肩に手をおく。

和希の体はぴくっと震えて、和希はゆっくりと後ろを振り返った。

「何?私になんか用なの?」

「何で今日はそんなに冷たいんだよ。一緒に学校行かないのか?」

和希は顔を赤くしてバツが悪そうにもごもごと

「だって......せっかくスカート履いてきたのに。」

とか言うもんだからどきっとしてしまった。

幾ら幼馴染と言っても男女は男女。そう思ってしまうのは仕方がないことだと割り切って、僕らは足並みを揃えて学校へ向かった。


「おはよ壱龍!あと和希も、やっぱ可愛いねー。」

学校に行くと、昨日の可愛い乃亜はいなくて、いつも通り友達な乃亜が話しかけてきた。やっぱいつもは女とは思えない、明るい親友みたいな感じなんだよな。

すると和希は不服そうな顔をする。

「なんで皆そんなに驚かないんだろ。」

小さい声で和希が呟く。乃亜はあーっ。と納得したように口を開ける。忘れてたよな、和希は男だと思われてるって思ってること。もう気づいてるかと思ってた。

「良いじゃんスカート。皆おはよ。」

紫陽が来るとついに和希が機嫌悪そうに紫陽を睨んだ。紫陽からすればそんなことになるとは思わなかっただろう、彼は申し訳なさそうな顔をした。

「ごめんごめん、何で怒ってるか分からないけどさ、珍しいなと思ってさ。」

「別に怒ってない。」

僕と乃亜と紫陽は3人で顔を見合わせて苦笑した。


昼、4人で昼食を食べることになった。

紫陽と和希は購買に買いに行っているので、乃亜と共にテラスで場所を取る。昨日と今日で気まずい中、乃亜が口を開いた。

「あの、さ。昨日のことは忘れてくれないかな。」

珍しく口籠る乃亜、僕は特に返す言葉は思いつかなかった。

「私変な気持ちになってたみたい、そんな、あれは一瞬の気の迷いだから。」

彼女の顔はよく見えない、でも悔いているように見えた。そっか、僕が勝手に盛り上がってしまっただけなんだろうな。乃亜には多分多少僕を好きな気持ちがあるとは思う。でも決してあそこまでするほどの好きではないと言うことなのだろう。僕は乃亜が何を拒絶しているのかよく分からなくて、本当に返す言葉もなかった。

「お待たせしたな。一応壱龍の分も奢りで買ってきたぞ。」

「うん。乃亜ちゃんにも一応。」

和希と紫陽が合流し、4人でご飯を広げて食べる。和希は調子を取り戻してきていたので、紫陽も共に、僕らの間に流れている気まずい雰囲気をどうにかしたいと思ったのだろう。いつも最初に口を開くのは乃亜だが、今日は珍しく紫陽と和希が話を始めた。

「今日のスカート、皆驚いてたね。」

「あー、確かに。もっと驚かれると思ってたんだけど、意外と驚かれなかったなって思ったんだけどね。」

2人の話を聞きながら横目に乃亜を見る。

彼女は黙々と箸を動かし続ける。やっぱ、分かんないな。乃亜は感情を一切前に出さないタイプだ。普段顔を見るだけじゃ何もわからない。

僕のこと好きなのかな......。

いやいや、なにを考えてるんだ。こんな、気にしてばっかじゃダメじゃないか。相手は乃亜、乃亜なんだぞ。好きって言われても......言われても。

やっぱり気になってたまらない。こんなだから気まずい雰囲気になるんだよ。

ふと僕は和希を見る。にこにこと笑う和希、その服は今までとは違うふんわりとした服。和希は、どうしたんだろう。やっばり皆そう言う時期なんだなって、少し寂しく思う。僕ら4人でずっと一緒にいるなんてそれは難しくて、僕らの関係にいずれか一歩ずつ、名前をつけなきゃいけないんだなって。

僕はみんなの会話につられて笑いながら、そんなことを思った。


放課後、生徒会があると言うことで僕らは生徒会室に向かう。

いつも通りの乃亜はやっぱいいやつだし、和希は調子を直してくれたし、なんだか平穏が戻ってきたような感じがする。

乃亜のそのピンク色の髪を見て、昔のことを考えてしまう。黒髪だった頃はずっと部屋の隅で本を読んでるタイプで、僕が見てあげなければすぐに消えてしまいそうで、でもそんな儚さは僕にとっては魅力的だった。彼女の美しい笑顔は今でもまだ僕の心を蝕んでいる。初恋ってのは、ずっと続く。それが当たり前な、衝撃的なことなのだろう。

「壱龍最近ぼーっとするよね。大丈夫?ちゃんと寝てる?」

「乃亜は心配しすぎだよ。どうせ徹夜しただけだって。」

風が空いた窓から入り、寒い空気がすっと肌を撫でる。秋の深まった街の木は、少しずつ葉が落ち、冬の始まりを告げているようなそんな感じがする。

ちょっと、季節の分かれ目ってのもあってこんなこと考えちゃうのかな。

「なーにぼーっとしてんの。本当、これから生徒会なんだから気合い入れるんだぞ?」

「壱龍。しっかりしてよね。」

「ううん、何でもないよ。」

2人の顔を見ると何だかそんな事も忘れられる。僕の周りにはいつでも大事な友達がいてくれる。

「おお、仲良し組、こんにちは。」

そこで誰かに声をかけられたので恐る恐ると後ろを見て上を見上げる。

そうすると彼女は苦笑いした。

「そんな怖がんなくて良いって、別にちょっと声をかけただけじゃないか。」

そこにいたのは生徒会長の八代雫やつしろしずく先輩。

面倒見が良くて優しい先輩なのだが、特徴として背が180あるので何だか近づかれると恐怖心があるのだ。

「あ、こんにちは雫先輩!」

僕達幼馴染の中で一番なコミュ強はもちろん乃亜である。中学の頃から性格は全然インキャではなかった。

犬を散歩している人がいたら話しかける。道に迷ってる外国人がいれば拙い英語で話しかける。

その勇気が、僕にもちょっとあればな。

なんだかそう、羨ましく思ってしまうのだ。

「今日はどんな活動をやるんですかね。」

「そうだな。ちょっと1つ案件が来ててな、そのことについてみんなで話し合いたいと思っている。」

「もしかして、心愛先輩も来るんですか??」

「そうだな、珍しく心愛も来るぞ。」

勢いよく喋る彼女達を後ろから見る和希と僕。別棟にある生徒会室までは、なかなか長い道のりがある。僕はにこにこしながら、心愛って誰?って思いながら、ゆっくりと歩いていくのだった。


「皆さんお久しぶり、そして、初めまして!2年3組37番吉澤心愛です。」

生徒会のみんなで部屋の真ん中のテーブルを囲むと最初に自己紹介があった。

「ということで、心愛が久しぶりに来てくれた。よろしく頼むよ。」

黒い短髪で背が高く男らしい会長と茶髪でふわふわとしている心愛先輩が並ぶとまるで美男美女カップルみたいだ。僕も美形に生まれたかったな、なんて。

「お久しぶりです心愛先輩!元気にしてたみたいでよかったです。」

「あ、乃亜ちゃん。お久しぶりだね〜。」

やっぱ乃亜凄いな。先輩に物怖じなんてしないんだな。ちなみに執行部の構成は2年が会長、心愛先輩、あとは無口な男子の壮助先輩と明るい女子の日向先輩だ。そして1年は僕、和希、乃亜、悠華。合計8人と言うわけだ。しかし実際いつも話しているのは会長と乃亜と日向先輩と言う訳であまり仲が良いわけではない。1年はみんな結構付き合いがあるんだけどな。ちょっと先輩の前だと気まずいんだよな。優しい先輩なのは分かっているのだが乃亜が1年に話をおろしてくれるから統率には問題ないし別に良いかなと思ってしまう。楽しく部活したいとは思っているのだが......。

「少し無駄話をしてしまったな。ではこれより執行部会議を始める。ここからは真面目にやろう。」

先ほどまでのほんわかした空気は消え部屋に緊張が走る。普段はあまり感じないけれどこう言う時は僕らが生徒会のトップであることを実感する。

「では壮助。今回の議題を。」

「はい。今回の執行部会議、議題は食堂の値上げについてです。つい先日私たちは会議で過半数の賛成を得て値上げに踏み切りましたがどうも反対の意見が生徒から多く上がっているようです。」

「まあ我々の独断で決めたからね。苦情が来たら真摯に向き合わないといけないね。ということでみんなで意見を出そうか。」

生徒会室が静まり返る。そりゃこれはあまりに無茶振りすぎないか?食堂で働く方の給料だとか材料費だとか色々なことを考えての仕方のない判断だったのだ。そんなことを言われてもって言うのが皆本音だと思う。

「壱龍くんは何か言いたいことがありそうだね。」

壮助先輩が珍しく口を開いた。なにその無茶振り、ちょっと、やめてくださいよ。

「あー、うーん。その、今回は何とか退けたら良いんじゃないかなって。僕達も必死に悩んだ結果ですし。」

和希や日向先輩もうんうんと頷いてくれて少しホッとしたところ、会長はとても納得した様子ではなかった。

「壱龍くん。それは確かに皆思ってるかもしれないし、そう言うことをバッサリ言えるところは君の良いところだと思う。でもね、どれだけ必死で考えたってそれは私たちの独断であることに変わりはないの。だから私たちはみんなに感謝し、リスペクトした上で、執行部の活動に臨まなければないし、生徒会の体制を変えていかなければならないの。だからね、いついかなる時も自分の主観をあたかも全体の意見かのように扱ってはいけないの。」

確かに...その通りだ。反論の余地はなかった。

僕たちが生徒会の体制を変えると言うのは側から見れば彼らが彼らの間で多数決をしてその上で決めた決定をただ自分達におろしてきているだけなんだ。それはただの僕らの自己満。生徒会はみんなで作るものなのにそれでは約束と違うことになってしまう。

「そうですね。会長の言う通りだと思います。すいません。」

僕は素直に謝りたくなって頭を下げる。

「いやいや、謝ることじゃないよ。その思考を変えることが大事ってことだよ。」

確かに。僕はなにに対して謝ればいっかって考えたら会長に謝るとかじゃないよな。自分が失礼を働いてしまった相手は生徒会の皆さんだ。そんな不特定多数に謝るわけにもいかないし態度を改めるべきだよな。

乃亜は僕の方をちらっと見て話し始めた。

「話を戻しましょう。食堂のことですよね。私は素直に価格を戻して良いかと思います。」

初めてちゃんと意見が出て、みんなの視線が乃亜に集まる。みんな自分の立場を悩んでいるから自分の意見をしっかり話すためにも他の人の意見を参考にしたいのだ。

「それは何故だい?我々は要望をもらったから実践したんだ、いずれにしろ悲しむ人は出てきてしまうだろう?」

「それはそうですけど批判する人の言いたい事もよく分かるなって思ったんです。確かに値上げして人が来なくなったら元も子もないじゃないですか。」

みんなの肩から力が抜けるのを感じた。みんな失礼にも『そんな理由で良いのか〜』って思っているだろう。実のところ僕もそうだったから。

「それなら私もそう考えてるよ〜。私も食堂よく使ってるけどさ、高くなってどうしようかなって悩むことが増えたからね。」

みんな価格そのままがいいと思っていたようです意見がまとまった。でも......

「現状維持ってなると、難しいんじゃないか?」

食堂は美味しいし価格は安い。しかし、実際のところ使っている人は少ないもんだからそれが問題になったんだよな。

皆頭を懸命に動かしたが思いつかないと言うことで今日はお開きになった。


「宿題だってよ。ちょっと困っちゃったよね。」

前を歩く乃亜がそんなことを言う。普段は帰りがまちまちだが執行部の日はわざわざ別に帰ることもないので乃亜と和希と3人で帰る。

「そうだな、なにも思いつかなかった。もっとたくさんの人に来てもらえれば全部問題が解決するんだけどな。」

和希の方を見ると和希も困った顔をしていた。確かに難問だよな。

「次の地下鉄すぐ来そうだよ。急ご!」

階段をたったったっと駆け下る乃亜を追いかけて、でも意外と余裕だったから何なんだと思いながらも地下鉄に乗った。

「あ!悠華ちゃんいるじゃん。」

乃亜が指差した先、そこには確かに悠華がいた。

「悠華って帰りこっちだっけ?」

「いや違うはずじゃない?」

そうだよな。確か真反対だったはず。

「皆今日暇でしょ?一緒に降りてみない?」

乃亜はたまにいたずらっ子になるのだがそれは今日のようだ。

「そんなことしたら嫌がられるだろ、悠華に嫌われるのはちょっと嫌じゃないか?」

何か何でもしてきそうな怖さがあるんだよ。あいつ。

「悠華ちゃん私普通に仲良いしちょっとプライベートについても知ってみたいんだよ。Lets Go!」

腕を引っ張る乃亜に流されるままに地下鉄を降りた。


「悠華ちゃんこんにちは!」

駅のベンチに座ってカバンを整理していた悠華に声をかけると彼女はゆっくりと顔を上げて、下げた。

「無視しなくてもいいじゃん悠華。たまたま見かけたからちょっと嬉しくなって着いてきただけなんだよ。」

いや乃亜。それは正当な理由じゃないと思うぞ。

「カップルさんのデートに、付きまとう奴が1人、か。」

悠華がぽつっそんなことをいった。場は一気に凍りつく。僕も気が気じゃなかった。

「あ、のさ。悠華ちゃん。何の話をしてるの?」

「いや、お邪魔なやつが1人いるなって。」

「私達は幼馴染として帰ってるの!別にこの中の誰もカップルなんかじゃないよ。」

乃亜が少し悲しそうにそんなことを言う。僕は理解ができず呆然としていた。

何の話だ。カップル、カップル。俺と乃亜のデートが見られたのか、それとも和希と僕のことなのか。

誰と誰をカップルと勘違いしてるかさえわからない。

「ねえ、和希分かっているんでしょ?」

あ、前者だったようだ。

和希は悠華を睨みつける。これが修羅場ってやつなのか?ちょっと違う気もするけど。

「あ、悠華。遅くなってごめん。」

急に後ろから声がかかった。僕らはそっと振り返って絶句した。

「「「紫陽???」」」




今回はドキドキするシーンが描けませんでした。僕は気分で書くタイプなのでラブコメをしっかり見た後とかじゃないと上手く書けないんですよね。本当に不定期にゆっくりと投稿していきたいと思っているのでどうか温かい目で見守ってください。

今回は和希視点でスタートしました。展開というか和希がなにをしたいのか特にはっきりしていないとこだと思うんですけど今回はみんなの生活がどのようかを描きたかったのでストーリー自体はあまり進みませんでした。とりあえず遅くなりすぎたので投稿したいと思います。

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