第8話 「鉱山と陰謀の影」
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▼呪印 ▼
《雷喰ノ呪》
現在の魂雷充電量:32%
維持燃費:1% / 時間
解放スキル:
┗ 雷脚(瞬間加速)
警告:充電量が0%になると即座に【心停止】します。
充電残量が5%以下のときに身体異常・疼き・幻覚・心拍異常が発症
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王都ヴァル=アルテの喧騒から離れた場所に、暗く重苦しい空気が漂う鉱山地区があった。
ここは魔石が自然生成される数少ない場所の一つであり、その価値は王都の貴族たちにとって計り知れないほど高い。
しかし、魔石を掘り出す労働者たちは過酷な環境で日々の重労働に耐え、苛酷な支配構造の下に置かれていた。
犬養遥は、長らく影の中で彼らを観察していた。
「魔石……この場所なら充電源として充分すぎる」
だが、それと同時に、鉱山を巡る陰謀の匂いも嗅ぎ取っていた。
貴族たちは単なる資源として魔石を独占し、労働者の命を軽んじている。
掘り出された魔石は軍事物資として王家や貴族の手中に渡り、庶民にはほとんど恩恵が及ばない。
犬養はこの腐敗に苛立ちを隠せなかった。
「ここを制する者が王都を制する……だが、そのためには、まず俺が生き延びなければならない」
彼は慎重に鉱山周辺の警備ルート、守衛の数、魔石の保管場所を把握し始めた。
すべては呪印の充電源を確保し、《雷喰ノ呪》の呪いに抗うためだ。
「盗みだけじゃ足りない。情報も、準備も必要だ」
彼の瞳にはこれまでにない決意の光が宿っていた。
鉱山の深部から聞こえる重機の音。遠くで働く労働者の疲れた声。
そこには確かに、奪われるだけの者たちの現実があった。
「俺は影だ。影のままで、世界の裏を掴む」
義賊としての戦いは、静かに、しかし着実に動き出していた。