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悲しみ

ハナが池に落ちた後のジュンやソラたちは?



「ハナさん、ハナさん」

「ハナ!ハナ!」

ジュンやソラたちが、心配そうにハナの身体をゆすっている。


池から抱き上げられたハナの意識がない。

「早く!救急車を呼んで!」

ジュンが叫んだ。


庭がざわついていることに気が付いたユミ社長とお客様たちが慌てて庭に出てきた。

たまたまパーティーに来ていたユミ社長の友人の医者がハナの心肺蘇生をした。


ハナは救急車に乗せられて病院へ向かった。

救急車にはソラが心配そうにそばについていた。

ジュンとユミ社長は後から車で追いかけた。


「ハナさんはどうして、池に落ちたの?」

ユミ社長がジュンに問いかけた。

「クルムが飛びついちゃったんだよ。それでハナさんがバランスを崩して・・・」

「それは、大変なことになったわ。もう意識戻ったかしら。」


病院へ着いて救急で検査を受けることになった。

ソラは携帯でハナの両親に電話をかけた。


「もしもし、ソラです」


「ああ、ソラちゃん。今日はハナと一緒のはずでしょ?どうしたの?」

ハナの母親が夕食の支度をしながら、電話をとった。


「それが・・・落ち着いて聞いてくださいね。ハナが池に落ちて、今意識が戻らないんです。」

ソラは震えながら話した。


「え、ハナが池に!?それで、今どこにいるの?」

母親の隣で、父親も聞いていた。動揺している二人。


「テヤン病院の救急にいます」

「わかった、直ぐに行くからそれまでそこにいてくれる?」

「はい、待ってます。気を付けて来てください」



慌てて車に乗って病院へ駆けつける両親。


受け付けで尋ねると病室へ移ったとの事だった。


病室のドアを開けるとそこには、意識のないハナがベッドに横たわっていた。

口には酸素のマスクが付けられている。



「どうしてこんなことに・・・」

泣いている母親の肩を支えながら父親が言った。


「うちの庭の池に落ちてしまい申し訳ございません」

ユミ社長とジュンが深々と頭を下げた。

「貴方がたは?」

母親が尋ねた。


「ハナさんの会社の社長イ・ユミと申します。この子は弟のジュンです」

「まぁ。社長さんでしたか。いつもハナがお世話になっております。ハナから社長さんの事はよく聞いていました」


「本当に申し訳ございません。ハナさんの意識が戻るまで責任をもって看護させていただきます」

ユミ社長が両親の手を取って言った。


「今日のところはお帰りください。私たちが見ていますので」

ハナの両親がハナの手を握り締めた。


ユミ社長、ジュン、ソラが病室から出て行った。


「ハナ、どうしてこんなことに・・・早く起きて!」

心配そうに両親が見つめていた。



「ソラさん、送っていきます。」

ジュンが車を運転してソラを家まで送っていった。


「明日、また病院へ行ってみます」

ソラはハナの事が心配でたまらない様子で車の外を眺めていた。

「僕も一緒に行きます」

ジュンが言った。


「ハナさんが池に落ちるとき、スカートからスマホが落ちたみたいだったんだ」

ジュンが言うと、

「そういえば、病院でもスマホはなかったみたい」

「明日、明るくなったら池を探してみますね」

「お願いします」

ソラの家に着いた。

「じゃ、また明日お迎えにきます」



家に着いたジュンは窓から庭を眺めた。

「まさか、こんなことになるなんて・・・

明日、池の周りを探してみよう。」



次の日の朝、ジュンは昨日ハナが落ちた辺りをスマホがないか探してみた。


すると、池の中にスマホが落ちているのが見えた。

家から長い棒を持って来て、スマホをすくい上げた。


水没したスマホは電源が入らなかった。

「修理に出して、電源が入るようにしてあげよう」

ジュンはハナのスマホをタオルでくるんで持って行った。


ハナのスマホに付いていた青いトンボ玉の根付はまだ池の底にあったがジュンは気が付かなかった。



スマホを修理に出した後、ソラを乗せて病院へ行った。


病室のドアを開けるとそこにはベッドに横たわっているハナとハナの両親、それとユミ社長と二人の両親と祖父が立っていた。


ジュンの家は、韓国でも有数の財閥で父親は会社を経営する社長で、祖父はそのグループの会長をしている。このテヤン病院もジュンの母親が院長をしていた。


「この度は私共の家でこんなことになってしまい、本当に申し訳ございませんでした。ハナさんが元気になられるまで万全のサポートをいたします」

ジュンの母親が言った。


ハナはVIP病室へ移動することになった。


VIP病室は広々していて、リビングのような場所もあった。

傍らにはアップライトピアノも置いてあった。


「ハナさん、早く元気になって」ジュンはハナの手をにぎった。

「ジュン君、ハナにピアノを聴かせてあげてくれない?聞こえるかもしれないから」

ソラがジュンに言った。


ジュンはそっとピアノの蓋を開けてポロンポロンとピアノを弾き始めた。


優しい感じもするが、悲しい感じもする曲だった。


「ハナさん、僕のピアノ聴こえてる?早く起きて・・・」

ジュンの魂のこもった演奏だった。













ハナの意識は戻らないまま。

ジュンが病室で弾くピアノの音はハナに届いたのか?

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