10.再婚と引越し
N男と離婚してからしばらくうつ病等で動けない期間がありました
その時私はとあるオンラインゲームにハマっています
具体的な名前は出せませんが、戦闘の他にもスキルが沢山あり、服や武器の制作、ペットの育成や料理、庭や家を飾ったり、着せ替えも楽しめるゲームでした
そのゲームの中で出会った方4人とその後お付き合いさせていただいたのですが、1ヶ月、半年、1年とそれぞれ別れ、3人目から4人目に行く頃には2年空いていました
最後の一人が私の今の旦那さんです
その旦那さんの名前を仮でSくんとしておきます
Sくんは最初私が出会った頃、仕事がきつくストレスを抱えていた事もあってネガティブな事を言っていたので苦手でした
自分がネガティブであるが故に、ポジティブにいられる人がいいと思っていたからです
その頃私は気晴らしに個人経営のサイトでしたが配信を行う時もありました
そこにSくんもいて、たまに話すようになります
私は前回付き合った人と別れた後、特に恋愛をすることは考えていませんでした
というよりまた傷つく事が怖かったというのもあります
前に付き合った人に対してもズルズルと引きずる気持ちが強く、未練があって前の人よりいい人なんていないのではないかと思っていたのです
なのでSくんと一緒に遊ぶようになっても、寂しいから一緒にいるというような感覚でした
ただその時間は私の心を埋めてくれる時間で、Sくんもわたしの生い立ちやネガティブな事を言っても気にしない雰囲気でした
もちろん全部がうまくいくなんていう都合のいいものではないので、途中で言い合いになったり、距離を取ることもありました
それでもやっぱり一緒にいてほしいと思い元に戻ったのです
友達として過ごして10ヶ月くらい経つ頃には、Sくんと話すのが楽しみになり、自分の中で存在が大きくなっていきました
そして自分がどうしたいのかをSくんから問われる時がありました
その質問は私がSくんに対してずっと不確定な関係であった事と、ずっと前の人を引きずって生きていた期間に終わりを告げるよう促す質問でした
Sくんは当時それを私に聞いた時、望まない答えが返ってくるようであれば、私との関係を終わりにしようと考えていたようです
『このままずっと前の人を引きずり続けていきていくのだろうか?今そばにこんなにも心を支えてくれる人がいるのに?それはダメ…、ちゃんと自分の気持ちにケリをつけて前に進まなくちゃ…。怖いなんて気持ちじゃない、私は…Sくんと一緒にいたい』
「Sくんの事が…好きです、彼女にしてください」
そこで私がようやく気持ちを切り替え、Sくんと正式なお付き合いをする事になりました
この頃にはもう仕事にも復帰しており、初めて会う時はS君が富山から関東まで車で来てくれて、私が仕事をした後会うことになっていました
その時の仕事は博物館の監視員だったので、お客様に話しかけられない限りは危険な場所に入ったりしないよう見守る役目の仕事でした
なので初めてSくんの姿を見たのは、仕事の真っ最中に働いていた場所に遊びに来て何も話さずに出て行った時です
お互いの姿を確認した途端なんとなくぎこちなくて心臓がバクバクいっていました
実はSくんは自分の出身県である富山から一人で外に出るのは初めてだったそうです
生きていく上で特に生活圏から外に行く必要もなく、そんな相手もいなかったからなのだとか
仕事が終わり初めて対面した時、会いに来てくれてありがとうとお礼を言いました
私も関東から来るまで四国まで行った事があるからこそ、自分一人で他県に行って人と会うという事に勇気がいると分かっていたからです
しかもSくんは仕事終わりにそのまま車を走らせて、時間を最大限に利用しようとしてくれました
自分のために時間を使ってくれる事がとても嬉しかった
そして車の中で今まで会えなかった時の寂しさを埋めるように抱き合い、キスをして二人で一夜を明かしました
その後何度かS君が来てくれたり、子どもを連れて会いに行ったりして10ヶ月くらいが経った頃、家族で地元の温泉旅館に泊まった時に
「ずっと、一緒にいてほしい」
そうSくんからプロポーズをされ、私はそれを受け入れました
結婚するとなってからお互いの両親に挨拶するというのもきちんとやりました
生い立ちをほとんど話していたので、私の両親に対しての反応がどうなるのかと少し不安になった事もありましたが、過去を知っていても毅然とした態度で両親と向き合い、結婚することを報告していたので感動したのを覚えています
私も私で富山に行きSくんのご両親と話をさせていただいて、これから富山で頑張りたいと告げました
子どもがいる事でもしかしたらSくんのご両親に反対されるのではないかと思っていました
現に前付き合った方は子持ちだった事が原因で別れているからです
が、Sくんの気持ちを尊重してくれたのかびっくりはしていましたが、私と子どもは受け入れてもらえる事になりました
2014年1月14日、旦那さんの誕生日であるその日に、私達はお互い住んでいる場所は離れていましたが婚姻届けを提出、正式に夫婦になることになりました
どうして離れていたかと言うと、その頃子どもの小学校が年度末になるまでに待とうという話があり、4月から暮らせるよう移動できるように仕事も含めて調節していたからです
3月の春休みになる時を利用して必要な物を持って引越し、手で運べる荷物は自分や車に積んで、SくんとS君のご両親が迎えに来てくれ、その時両親同士の初顔合わせも済ませて富山に引っ越す事になりました
引っ越す前、母が私に
「どうせお前みたいな出来損ないはすぐに捨てられる」
と言い放っていました
どこまでも私の事はそういう扱いなのだなと思いました
富山に引っ越してすぐ歓迎会で旦那さんのご両親が、高級焼き肉店に連れて行ってくれたのが今でも忘れられません
あの時食べた焼き肉は人生で最大で本当に美味しかったので、私がきちんとお金を稼げるようになったら、また行きたいと思います