↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は異世界でラーメン屋台を始めることにした  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
【第一部】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/203

第六十七話:お嬢様……(涙)

 クルスが持っているヨットに乗せてもらう。


 ピアはそれが楽しみでならないという表情をしている。

 そんなピアを見て「ダメよ、よく知らない人なのに」とは言えない。

 言えないし、よく知らない人ではあるが、クルスが悪人に見えるかと言うと……。見えなかった。


 チラッとエルを見ると「困った」という表情をしている。

 きっと私と同じなのだろう。

 ここは私がクルスに尋ねることにした。


「ヨットをお持ちなんですね。この町へ来たばかりなのに、どうしてヨットを?」


「ヨットでこの町へ来たんだ」


「! なるほど。そのヨットにはピアだけではなく、エルや私も乗せていただくことはできるんですか?」


「勿論。そのつもりで声を掛けたんだ。この後、片付けがあるんだろう? それが終わった頃に、声を掛けるよ。サンセットをみんなで楽しみ、食事でもどうかな」


 これには「なるほど!」だった。

 確かにピアは自身と二人きりでヨットに乗ろうと誘われたとは言っていない。

 クルスはみんなで水平線に沈む夕陽を楽しみ、晩御飯を食べることを提案してくれただけだった。

 ならば答えは一択。


「ありがとうございます。ぜひそうしましょう!」


「本当は片づけ、手伝いところだけど、僕も身支度を整えないとね」


 フルーツを切ったり、配ったりしているのだ。

 上半身裸なのは、筋肉自慢というわけではなく、単純に果汁で服が汚れるからだと理解した。そして実際、クルスの上半身は甘い香りに包まれている。


 その肌に口づけたら、甘酸っぱくジューシーな香りがするのかしら……と考えてしまうが。

 やばい、これは脳内セクハラ……と反省することになる。


「どうしましたか?」

「い、いえ。なんでも。では後ほど」


 こうして一旦、クルスとは分かれ、後片付けとなった。

 ピアにはこの時間を使い、読み書き計算をやるよう伝え、エルと私で後片付けをする。


 その後付けをしていると、エルがこんなことをぼやく。


「お嬢様はあのクルスの上半身をものすご~くじっと見ていませんでしたか?」


「! そ、そんなことはないわよ!」


「そうでしょうか……」


 エルが上目遣いで恨めしそうに見るので、ここはたじたじになってしまう。

 何とか誤魔化し、片づけを終え、ピアの勉強の成果を確認。

 その間にエルは手早く売り上げ計算をしてくれる。

 やはりエルはとても器用で、こういった計算もなんなくできる優秀な護衛騎士だった。


「ねえ、フェリスお姉さん、全部満点だったでしょう。これから夕陽見に行くの、おしゃれしたい!」


「いいわよ。じゃあ髪をアップにして、ブーゲンビリアの花を飾りましょうか」


「わあ、いいと思う。そうして~!」


 こうしておしゃれをせがむピアを見ると、クルスのことをかなり気に入っている様子が伝わってくる。でもピアの気持ちはよく分かってしまう。クルスは本当にイケメン映画俳優のようでカッコいいのだ。しかも人懐っこく、笑顔も爽やか。サンセットを見ようと観光客の令嬢に声を掛ければ、いくらでもついてくるだろうに。ナンパはしない。モテるだろうに性格は真面目に思える。


「できたわよ。鏡、見る?」

「うん。見たい!」


 ロングスカートにいれていた手鏡を渡すと、ピアは髪型を確認し「わ~可愛い」と喜んでいる。


「エル、一旦撤収して、戻って来ましょう」


 振り返ってエルを見て、「おや?」と思う。

 ホワイトブロンドの髪を無造作にかきあげた直後だからなのか。

 なんだか髪の様子が少しワイルドになっている。

 さらによく見ると、着ているシャツのボタンが二つほど外されており……。


 綺麗な鎖骨のラインが見え、きちんと鍛えられた胸筋も見えていた。


 クルスに負けず劣らずで、エルも素敵な筋肉の持ち主である。

 でも不思議なのはクルスの上半身裸はとてもセクシーに見えた。

 異性であると、男性であることを感じたのだ。

 だがエルは……。

 この感覚はどう表現すればいいのだろう。

 これはまるで……。


「エル」

「は、はいっ、お嬢様」


 何だか照れた様子でエルが私を見た。

 一方のエルに近づいた私は、シャツの身ごろをつかみ、そのままボタンを留める。


「シャツのボタンが外れているわ。緩くなっているのかしら? そんなことないわよね? 買ったばかりなのに」


「お嬢様……」


 エルが眉を八の字にして、困ったような顔をしている。

 まったく。

 どこか抜けた弟みたいで、憎めないのよね。愛(う)い!


「大丈夫よ、エル。ちゃんと留めたから」


 一番上のボタンまでしっかり留めたので、これでもう大丈夫だろう。


「お嬢様、これですと暑いですし、首もきついので、一番上のボタンは外してもいいですか(涙)!?」


「仕方ないわね。でもこれからクルスさんのヨットに乗せてもらうのだから、ボタンが外れていないか注意するのよ。身だしなみはきちんとしないと」


「はい……」


 何はともあれ、一旦撤収し、幌馬車に調理道具をしまう。

 それが終わると身軽な状態で広場へと戻る。


 するとそこには、濃紺のシャツに白のズボン姿のクルスが女性たちに囲まれ、待っていた。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は12時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。