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悪役令嬢は異世界でラーメン屋台を始めることにした  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【第一部】

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第五十二話:あれを無料サービスにしよう!

 昨晩の中央広場の散策。


 私に腕を掴まれたエルは「も、申し訳ありません! ついぼーっとしてしまい……」と謝罪していたが。


 広場は想像以上に混雑している。

 その混雑状態でも「あ、そこの綺麗なお姉さん、一人?」「あっちに美味しいジェラートのお店があるから、一緒にどう?」と地元民と思われる男性が声をかけてくるのだ。一人でいる女性には気軽に声をかけてあげましょう……というスローガンが、どこかに飾られている!?と思わず見回したくなる。


「あれ、お嬢さん。もしかして道に迷った?」


 見回して目が合った見知らぬ男性から声を掛けられた瞬間、私はエルに告げる。


「混雑しているでしょう? それにエルは護衛として私の数歩後ろをついてきている。そうなると私は一人だと思われ、声を掛けられてしまうわ。エル、申し訳ないのだけど、腕を掴んでもいい? そして並んで歩いて欲しいのだけど……」


 これにはエルは「えっ!」と驚き、顔を真っ赤にしてしまう。

 やばい。

 遂にセクハラをしてしまった。


「ご、ごめんなさい。いくら私があるじとはいえ、過剰な要求だったわ。忘れ」


 そう言おうとしたら、エルが私の手をぎゅっと握った。つまりを手をつないだのだ。


「こ、この方が確実です。まず、はぐれることはなくなります。それにこれなら横並びになり、距離も、ち、縮まりますから……。ご迷惑でしたら離します……」


 最後は消え入りそうな声だったが、迷惑なわけがない。これなら絶対に声を掛けられないし、この人混みでも迷子にはならないだろう。


「ありがとう、エル。こうしてもらえると安心だわ」


「お嬢様……!」


 こうして日没前の大変美しい噴水を眺めることができた。


 噴水のテーマは世界樹らしく、大きな幹のあちこちに窪みがあり、なんとそこには炎がついたロウソクが置かれているのだ。いつも夕方になると、一度噴水が止められ、ロウソクに炎を灯すという。


 その結果、ライトアップされたかのように、噴水の水が淡く輝く。日没が二十一時近い、まだ夕陽の名残を感じる空の下、ロウソクの炎と共演する噴水はとても美しい。


「お嬢様、宿からここまでも歩いて来ましたよね。少し休憩しませんか。そこに丁度、テラス席のあるカフェもありますから」


「そうね。そうしましょうか」


 こうしてコーヒー一杯を飲みながら、エルとこれまでの旅を振り返るかのようにおしゃべりを楽しんだ。


 そこで改めて思うのは、エルがいてくれて本当に良かった……ということ。


 それを伝えるとエルは……。


「自分こそ、お嬢様から学ぶことはとても多く……。お嬢様と一緒は幸せです」


 なんて言ってくれるのだ。

 エルは本当に年下の可愛い弟。

 ()い!


 それはさておき明日の昼に利用予定の広場は想像以上に広く、人手も多く、屋台やスタンドショップも多いことが分かった。


 冷やし中華は、呼び水となるようなスープの香りはない。そうなるとジョーンズ教授のような一人目の客を掴むことが重要になる。


 味見をした結果。味には自信がある。あとはそれに同意を示し、「美味しい!」と声をあげてくれるお客さんがついてくれるかだが……。


 ごちゃごちゃ考えてもどうにもならない。


 ということでエルとの散策を終え、宿に戻るとすぐに湯浴びをして、休むことになった。


 ◇


 翌日は朝から晴天で、もう完全に夏、だ。


 早朝、剣術の練習をして、ピアに日傘を使った護身術を教えているエル。朝から汗だくになるようで、水浴びが欠かせない。朝食の席には少ししっとりした髪で登場するようになった。


「昨晩、エルと噴水のある中央広場を偵察したの。その結果、広場はかなり大きく、出店も沢山あることが分かったわ。でも今日発売する冷やし中華にスープはない。タレでは、スープの時のように、香りで集客は難しいわ。だから麦茶を無料サービスで出そうと思うの」


 夏の飲み物と言えば麦茶。そして私の前世記憶でも、冷やし中華を食べた時に、麦茶を飲んでいた。


「フェリスお姉さん、その飲み物はどんな飲み物なの?」


 レストランの朝食で出されたベーコンをモグモグ食べながら、ピアが尋ねる。


「市場でも手に入る大麦を、フライパンで炒るの。焦げないように、十五分くらいを目安にして。あとはお湯で煮出して作るだけ。十分くらいでできる。暖かい状態でも、冷めても美味しく飲めるわ」


「大麦を炒るということは……ナッツをローストしたり、パンを焼いたようないい香りがするのでは?」


「ええ、まさにその通りよ、エル! スープの代わりに麦茶の焙煎で、客の足を止めさせるの。さらに麦茶を無料で飲めるとなると、みんな飲んでみたくなると思うのよ。冷やし中華を頼んだ人に一杯無料サービス」


 この世界で飲み物は有料が基本。無料で飲めるサービスなんてない。しかも飲んだことはないが、香りがいい飲み物。飲んでみたいし、冷やし中華も気になる。ならば頼んでみようにつなげたいと考えたのだ!


「いいアイデアだと思います、お嬢様!」


「冷やし中華を注文したら、麦茶か無料でつくならお得だよ! フェリスお姉さん、私だったら間違いなく冷やし中華を注文して、麦茶をゲットしたいと思うよ!」


 二人の賛同を受け、私は麦茶の無料サービスを敢行することにした。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は12時頃公開予定です~

【お詫び】

昨日は18時頃の更新が、18時11分になりごめんなさい!

病院の後でぼーっとしており、気付いたらあの時間でした。

今後は気を付けます(><。

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