第十五話:ラーメンとは切っても切れない関係
翌日。
朝食を終えると、デイドレスから料理人の白の調理服に着替え、ピアと二人、厨房へ向かう。
同じく白の調理服姿のエルは、先に厨房へ到着しており、作業台に麺作りに必要な道具を用意してくれていた。
「ではこれからチャーシュー作りと麺作りを行います!」
チャーシュー作りは私が担当し、エルとピアで麺作りを行う。
朝食の片づけを終えた料理人は、私達が調理する様子を昨日と同様で見学しているが、昨日とは違う点。それは私のお手製の圧力鍋に興味津々で、活発に質問された。
「なるほど。圧力を活用し、中の肉を柔らかくしているのですね!」
「しかも通常の工程より時短になるのか」
「この鍋、どこで売っているのですか?」
火力の調整も当初より慣れ、みんなの質問や感想に応じながら、調理を進める。チラリとエルとピアの方を見ると……。
「カンスイ。初めて聞いたよ。そんなものが使われているなんて、なんだか実験みたいだ!」
「しかもそのカンスイでメンが黄金色になっていたのか!」
「材料はシンプルだけど、いろいろ工夫がされているんだね」
ピアは鼻の頭に小麦粉……強力粉をつけながらも「そうなんだよ! メンはすごいんだから!」とご機嫌。
こうして一時間ほどかけ、チャーシューは煮込みが終わり、減圧タイム。麺も切り分けが終わったので、寝かせることになる。
今日はダイニングルームでの食事に、このラーメンを出すことになっていた。料理人のみんなには、まかない代わりでラーメンを食べてもらう。
そこで思ったことは一つ。
ラーメン……と言ったら、餃子ですよね、と。
ラーメンとは切っても切れない関係の餃子。ラーメン部で活動していた時も、ラーメンを一人一品頼みつつ、餃子を二皿頼む。ラーメン到着を待つ間に、餃子をみんなでシェアして味わう……これが定番だった。
餃子を……食べたい。
一時間も待機時間があるのだから、餃子は作れる気がした。
そこで調理人に確認すると、豚肉・玉ねぎ・にんにく・きのこ・タイムなど、餃子の餡にできるものは、バッチリある。さらに餃子の皮を手作りしたことはなかったが……。
ラーメンの麺作りと、要領は同じ気がする。
ただかん水だけは、ラーメンの麺ならでは。
かん水を入れずに小麦、水、塩で、餃子の皮は出来てしまうのでは……?
「お嬢様、どうされたのですか!?」
私が調理人に尋ねながら、餃子の材料を作業台へと置いていくと、エルが不思議そうな顔で尋ねる。
「実はね、ラーメンに合う、極上の料理があるのよ」
「ラーメンに合う極上の料理!?」
「何、何、フェリスお姉さん、それ、気になる~!」
気になるのはエルとピアだけではない。
料理人のみんなも興味津々。
そこで私は餃子について説明する。
「なるほど。小麦で作った生地に、肉や野菜などを混ざ合わせた物を包み、焼くのですね、お嬢様!」
「そうなの。これを醤油……はないから、塩や胡椒、ビネガーをつけて食べると、ラーメンに合うはずなのよ」
「フェリスお姉さんが今作業台に置いているのは、その材料だよね!? 作ろうよ、ギョーザ!」
エルとピアが声を上げると、料理人のみんなも「手が空いているので手伝います!」と言ってくれる。この声は有難く受け入れ、餃子作りがスタートする。
生地をエルとピアに任せ、料理人には野菜を切ってもらい、私が混ぜながら味付け。
生地を三十分程寝かせている間に、餃子の焼き方についてレクチャー。片栗粉があれば羽付き餃子を焼けるが、残念ながらないので、普通に焼くことになる。
同時にラーメンのスープを火に掛け、温め始める。
休ませた生地で、丸い餃子の皮を皆で手分けして作ると、餡を包む。
チャーシューはエルに任せ、ピアは餃子を焼くのにチャレンジだ!
「そこで水を回すようにしてフライパンにいれて、すぐに蓋を閉めるの!」
「分かった!」
フライパンに水が入るとジューと音がして、湯気も出るので、料理人のみんなもなんだかワクワクしている。しばらくは蒸し焼きになるので、その間にトッピングで使うスキャリオンを刻んだり、煮卵をカットしたり、チャーシューを切り分けたり。
餃子はいい感じで焼くことが出来た。
続けて温まったスープの味見をして「昨日よりこくが出ている!」「より深い味わいになっている!」と料理人のみんなから絶賛され、鍋を火に掛け、麺を茹でる準備を整える。
ピアは一度で餃子の焼き方を覚え、次々と餃子を焼いてくれた。そこでメイドが早速、ダイニングルームで待つ両親のところへ餃子を運んでくれる。
メイドには、塩や胡椒、ビネガーをつけて餃子を食べる方法を、両親に伝えてもらうことにしていた。
こうして両親とエル、ピアと私の分のラーメンと餃子も完成。
メイドに運んでもらうことにして、ピアと私は手早くワンピースに着替えてダイニングルームへ向かう。
「おお、フェリス! ギョーザをいただいたが、絶品だったぞ! 底のこんがり焼けた歯応え、中の肉類の味わい。ついビールを用意するよう命じてしまった!」
父親は天才!
餃子と言えば、ビールとの相性が最高だった!
そのことに自然と気が付けるなんて……!
両親はビールと餃子ですっかりほろ酔いとなり、その二人のそばで既に晩御飯を終えたルナは、用意された椅子のふかふかクッションでご満悦で寝そべっている。
そしていよいよみんなで、ラーメンを食べることになった。
お読みいただきありがとうございます!
本日もよろしくお願いいたします☆彡
餃子……ラーメンばかり食べて最近餃子を食べていない……!
お店で食べる餃子ってパリッとして美味しいですよね。
あ~、餃子食べたい~
次話は18時頃公開予定です~























































