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赤いきつねのアニメCMを見た感想

作者: 辛口カレー

近頃、ネット界隈で「赤いきつね」のアニメCMが話題になっているらしい。

僕も気になって見てみたのだが、さすがに話題になっているだけあって、なかなかキモいCMに仕上がっている。


これを見て黙っていられるほど僕は寛容ではないので、さっそく忌憚なく暴言を吐かせて頂くことにしよう。


実は、僕は少し前に「どん兵衛」のテレビCMに物申すエッセイを投稿したのだが、ひと月も経たないうちに、今度は「赤いきつね」のアニメCMに物申すことになろうとは、思いもよらなかった。


ともかく、このCMについて書かれた日刊ゲンダイDIGITALの記事を見つけたので、その一部を見て頂こう。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/181e306ad665690e5d7b7626a2718cff491b7709)


「……16日ごろになってX上で、《性的でキモい》、《何だよ、この頬を赤らめた女がクネクネするCMは》と批判が起きた。一方で、《エロ要素なくない?》、《これがどこの性的なのか》と反論も巻き起こり、炎上は大きくなった。」


批判する人もいれば、擁護する人もいる。

いろんな意見が出ていて面白い。


僕はもちろん、批判する側の人間だ。

だってキモいんだもん、このCM。


まずは、ここに上がっていたそれぞれの意見について、僕からコメントを付け加えることにする。



1.《性的でキモい》


言いたいことは分かる。

性的という表現はちょっと違うと思うが、キモいというのは全く同感だ。

ちなみに、僕が初めてこのCMを見た感想は「わざとらしくてキモい」だ。

見ていて胸がゾワゾワする。

思わず、首すじの辺りを()きむしりたくなる。



2.《何だよ、この頬を赤らめた女がクネクネするCMは》


「クネクネする」というのは、なかなか面白い表現だと思う。

この意味は、おそらく「ムダに身体を動かしている」ということであろう。

とにかく、こちらの神経を逆撫でするような食べ方が気に入らない。

「普通に食えよ」と言いたい。


また、食べ方もそうだが、その見せ方(カットの撮り方)も気に入らない。

これを僕に言わせると、シンプルに「演出過剰」となる。



3.《エロ要素なくない?》


正直、僕はこれを見てもエロさは全く感じない。

その証拠に、僕の股間はピクリとも反応しなかった。

年齢(とし)のせいかも知れないが。


エロさは感じないけれど、カップ麺を食べる女のワンカットワンカットがいちいちアップで映されるのがウザく、画面がうるさい。


これら一つ一つのカットが、無駄に女性であることを強調しているのは明らかだ。

こうした意図に敏感な一部のフェミニストたちが、このCMに噛みつきたくなる気持ちは分からなくもない。


例えば誰かが、長髪の男が「赤いきつね」を食べるというアニメのCMを作ったとしよう。

その時、果たしてそのCMの制作者は、涙を浮かべた男の顔、少し赤らんだ頬、合わせた手、髪をかき上げた耳元、お揚げを咥えた口元、etc…といったカットを、いちいちアップで撮るだろうか。


もちろん、そんな事はしないはずだ。


ではなぜ、このCMではそれらがいちいちアップで映されているのか。

答えは簡単、登場人物が女性だからである。


だが、いくら登場人物が可愛い女性だからといっても、これはやり過ぎだろう。


CMという短い時間の中でアップを撮るなら、せいぜい3カット程度までに留めておくべきだ。

明らかにアップが多すぎる。

この下手くそめ。


もしも最初から最後までこのCMが引きで撮られていたなら、ここまで不快感を持たれることは無かったに違いない。

だから言ってるだろ、「演出過剰」だって。


あとは、さっきも書いたけど「普通に食えよ」と言いたくなるような、無駄な動きの多い女の食べ方。


ちょっと首を傾げて食べるのは何故なのか。

もしかして、それが可愛い食べ方だと思ってる?


でも状況は、たった一人テレビの前でカップ麺を食べているだけだ。

目の前に友達や彼氏がいるわけではない。


女って、いつもこんな食べ方をしているのだろうか。

もしも、「あ、アタシと同じ食べ方してる」と共感できる女性がいたとしたら、すぐに食べ方を直した方がいい。


そんなキミに、僕からのアドバイスだ。

「普通に食え」



4.《これがどこの性的なのか》(原文ママ)


当然これは、「これのどこが性的なのか」の間違いであろう。


さっき書いたとおり、「性的」がエロさを意味するのであれば、僕はそうとは思わない。

「性的」が女性を過剰に強調しているという意味ならば、僕はこれに同意する。


だが女性とか男性とかいう以前に、そもそもこのCMではアップの映像を撮りすぎている。

素人か。


もしもアップを多用する映画監督がいたとすれば、間違いなくその監督は三流以下である。

CMもまた然り。

ここでも言えることは、このCMが「演出過剰」だということだ。



さて、それぞれの意見について、ひととおりコメントを書いてみた。

ついでに僕の感想も付け加えておこう。


まずこのCMに、声優の市ノ瀬加那を起用するのはやめて欲しかった。

この人の透明感のある声が、こんなカップ麺ごときのCMに使われるなんて、正直もったいない。


ていうか、CMとしてこんなふうにアップがしつこい映像を流すのであれば、麺を(すす)る音や「おいしい」というセリフ、「ふー」とか「はー」といった細かい息遣(いきづか)いなどはまったく不要である。


声が可愛いだけに、余計あざとく聞こえてしまう。

それでなくても、映像があざといのだ。

これ以上あざとくしてどうする。


もしも僕がこのCMの映像に市ノ瀬加那の声を付けるとしたら、最初から最後の一秒前まではBGMしか流さない。

その間のセリフや音声は一切なくしてしまって、余計なことは言わせない。


そしてCMの最後に「だしがうまいとホッとする」というセリフだけを市ノ瀬加那に(ささ)いてもらう。


試しに、このCMを最初から最後まで無音にして見て欲しい。

さほどキモいとは感じずに見ることが出来るはずだ。

途中のセリフや効果音など、まったく不要であることが分かってもらえるかと思う。


また、セリフについて言うなら、最後の「ダシがうまいとホッとする」というのも唐突さを感じる。


CMの女の()は赤いきつねを食べて「おいしい」と(つぶや)いているのに、同じ声で「うまい」というナレーションを入れるのはミスマッチである。


仮に僕がこのCMの女の娘にセリフを入れるとしたら、「おいしい」ではなく、「うまい」という表現に統一するだろう。

その上で、ダシのうまさをPRするのであれば、たった一言「ダシ、うま」とだけ、(つぶや)くように言わせたい。

そうする事で、最後のナレーションである「ダシがうまいとホッとする」がすんなりと耳に入ってくるようになるはずだ。


だが実際のところ、カップ麺を食ってる途中でしみじみと「おいしい」とか「ウマい」なんて(つぶや)く女がいるとは思えないので、わざとらしさは(ぬぐ)いようがない。

「ふだん何食ってんだ、お前」とツッコミたくなる。


むしろセリフは無くして、最後に「ダシがおいしいとホッとする」とした方がマシだと思う。

リズムが気になるなら、「おいしいダシにホッとする」とすればいい。


僕は昔の人間なので、できれば女の()には、「うまい」とか言って欲しくない。

可愛い()なら、なおさらだ。


初めてのデートで食事に行って、彼女が「うまい」という言葉を連発してたら、僕は「ガサツな()だなぁ」と思って幻滅するであろう。

男が言うなら構わないが、女の()が「ダシがうまいとホッとする」って言うのは、やっぱり引っかかる。


そこは「うまい」じゃなくて、「おいしい」って言うんだよ、お嬢さん。

そのうち、フワちゃんみたいになっちゃうよ?


反対に、もしも「このCMの音声は全て流したい」というのであれば、アニメの映像は淡々と引きで撮り、アップにするのは「赤いきつね」のフタを開けるところと、つゆを飲むところだけにすればいい。



……とまぁ、僕からはざっとこんな感じだろうか。


一つ一つは些細なことかも知れないが、積み重なるとそれは違和感となり、最終的は見る者に不快感を与えることに繋がっていく。


もしもこのCMの製作者が、炎上商法もマーケティング手法の一つと考えているなら、それは間違いだ。

お金を掛けた上に悪目立ちするCMを作って好感度を下げるなんて、短期的にはバズっても、長い目で見れば損以外の何物でもない。


おそらくこのCMの製作者は、意図して炎上させるつもりは無かっただろうと思うが、有名な企業の有名な商品なんだから、アニメCMだからといって奇を(てら)ったりせず、シンプルに見ていて「ホッとする」ようなCMを作れば良かったのにと思う。


「ダシがうまいとホッとする」と言う割には、CMの出来がマズくてホッとできない。


すべては、過剰な演出のなせる(わざ)である。

もしもまた何かのアニメCMを作る機会があるとしたら、その際は、あまり演出に頑張り過ぎないことをお勧めしたい。


最後に、不快感を感じないアニメCMの例として、冬のカナダをPRしたCMを挙げておく。

(https://www.youtube.com/watch?v=a822uufNGlw)


アニメCMの理想形と言っていいほどの見事な仕上がりだと思う。

カップ麺のCMを、これと比較するのは酷な気もするが。

読んで頂き、ありがとうございました。

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