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妄想陰キャの異世界無双〜清楚系JDと共に〜  作者: 音無響一


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妄想8 魚を食べよう

「できるか分からないけどやってみるよアサミさん!」


「何か思いついたんだ!やっぱりタロウくんはすごい!」



アサミさんの笑顔を守るためなら俺はなんだってやってやる!


俺は枝を持ち、半分に折った。



「ウォームウィンド!」



そして自分を乾かした時よりも強い温風を折れた断面に流し込む。



「私もわかった!そうやってタロウくんの魔法で乾かしちゃうんだね!タロウくん天才!」



よ、よせやい、3流大学の俺が天才なわけないだろう。


でもアサミさんに褒められたらなんだって出来る気がしてきちゃうから不思議だ。


俺はこの子の為に頑張るんだ!


そのまま集めた枝を折っては乾かしていく。



「ふう、こんなもんでいいんじゃないか」



折れた枝を1箇所にまとめる。


それに先程のフレイムシードで火を着ける。


頼む!着いてくれ!



「やった!成功したよ!アサミさん!」


「着いたねタロウくん!」



アサミさんが勢いで抱きついてくる。



「あ、あああ、アサミさん?」


「えへへ、すごいなぁタロウくん、私も料理でタロウくんに褒めてもらわないとだね」



くっっっ、か、かわいいよおおおおおおお!


落ち着け、落ち着くんだ。


火は熾しても、俺のは起こすんじゃない。



「魚も準備出来たよっ」


「ありがとう、じゃそれを焚き火の周りに刺していこう」


「うんっ、まかせてっ」



木の枝に刺した魚を焼いていく。


なかなかいい感じに焼けてきたな。



「ふふ、なんだか楽しいね!」


「本当にキャンプしてる気分になるな」



不謹慎かもしれないが、本当に楽しい。


アサミさんと一緒だからなんだろうか。



「ありがとう、タロウくん。タロウくんが来てくれなかったら、私あそこで死んでたかもだから⋯」


「い、いや、俺は無我夢中で⋯今日の朝に行けば、アサミさんに駐輪場で会えるのわかってて⋯前からアサミさんのこと、友達でも知り合いでもないけど、一緒の駐輪場仲間だって勝手に思ってて⋯」


「えっ?タロウくんも私のこと⋯?」


「ごめん、迷惑だよな。こんな陰キャにそんな風に思われてたら気持ち悪い⋯」


「そんなことない!嬉しいっ!私もだもん、私もタロウくんと会えるの朝の楽しみのひとつだったの」


「え?アサミ⋯さんも?」


「ご、ごめん、私こそこんなこと思ってて⋯迷惑⋯だったよね⋯」


「う、嬉しいよ、アサミさんも俺のこと認識してくれてるだけで、それだけで嬉しいな」


「良かった⋯ほっとしたよぉ」


「こちらこそありがとう。それより、魚!魚焼けたんじゃないかな!」



この雰囲気に耐えられなくなり話題を変えてみた。



「う、うん、焼けたかなぁ、お魚さんのお味はどんなだろ~」


「美味しいといいな」


「いい感じ!食べよタロウくんっ」



アサミさんが魚をひとつ俺に手渡してくれる。


ありがとうとお礼を言い、冷ますように息を吹きかける。



「熱いからやけど注意だね!」


「ふーふーっ、そうだな、こんな小さな怪我で何が起こるか分からないから慎重になろう」


「包丁はさすがに持ってなかったけど、カッターがあったから、タロウくんのお水で洗ってから使ったの!だから少しは下処理できたと思うっ」



料理って訳じゃないけど、魚の処理と焼くのは全部アサミさん任せだ。


手料理と呼ぶ程のものじゃないだろう。


でも俺にとっては初めての女子の手作り料理だ。


周りの誰がなんと言おうとそうなんだ。



「いただきます!」



日が暮れる中、俺は初の女子の手作り料理にかぶりついた。



「はふはふっ、お、おいしい!」


「ほんと?やったやった!」


「味付けなんてないはずなのに美味しいよ!アサミさんも食べてみて!」


「うんっ!いただきますっ」



アサミさんも息を吹きかけ、少し冷ました後にかぶりついた。



「はふはふっ、ほんとだ、おいし〜いっ」


「うん、本当に美味しい」







2人であっという間に魚を食べ終える。


お互いの容器に魔法で水を足しておく。


食後に焚き火を前に座り、どちらも喋ることはなく過ごしている。


もちろん腕を組み、身体を俺に預けるように寄り添っている。


意識したら全てあっち方面に持っていきそうになる。


俺は今後のことを考えることにした。




これで食事と水分は何とかなりそうだ。


あとは寝床だな。


今日はもう疲れてるだろうし、夜の移動は控えた方がいいだろう。


俺たちはどうなってしまうのか⋯



「なぁ、アサミさん」


「うん?どうしたの?」


「この後なんだけど⋯」


「⋯⋯⋯う、うん」


「今日は家に帰れないだろうし、移動も難しいと思うんだ。夜の森は危険かもしれないから」


「そう⋯⋯⋯だね」


「川べりで過ごしてる間に魔物みたいなやつらが襲って来ないことを考えると、今日はここで野宿するしかないと思うんだ」


「う、うん⋯」


「寝床の用意もできてないけど、交代で寝るしかないと思うんだ」


「え⋯⋯⋯⋯」


「もし何かあった時にすぐに対応しないと、最悪2人揃って⋯⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯」


「先にアサミさん寝ていいからね、疲れてるだろうし」


「⋯⋯⋯⋯」



なんで途中から相槌もなく黙っているんだろうか⋯


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