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妄想7 火熾し

温風、ウォームウィンドで身体とパンツを乾かし、見られはしたが何とかなったと思おう。


⋯⋯見られた⋯のか。


焦ってたから定かじゃないけど、凄いとか言ってなかったか?


気のせいだと思おう。



「アサミさん、次はこの魚が食べれるか確認しないとだ」


「それはどうやって?」


「魔物は消えてしまうけど、魔物じゃなければ消えないかもだろ?この世界の人、居たらだけど、その人達が食べるものが絶対にあるはずだからさ」


「そっか!そうだよね!」


「雷魔法で痺れているだけかもしれないから、まずは魚を⋯⋯」


俺は集めた魚のひとつを地面に置き、ウィンドカッターでエラの当たりから頭を切り落とした。


切った瞬間に魚から血が流れ出る。



「やった!血が出たし消えない!これは毒がなければ食べれるってことだ!」


「うんうん!でもどうやって可食か調べるの?」


「問題はそこだよな。どうしよう⋯」


「それに調味料とか何も無いから、そのまま食べるってことだよね⋯」


「魔法があるから焼くことはできるだろうけど、塩もなく食べないとだな⋯」



ここに来てまた問題が発生だ。


くそっ、何もかも上手くいかない。


いきなりなんの装備もなくサバイバルなんて出来るわけないんだ。



「どうすることも出来ないよな。焼いただけで我慢するしか⋯だけど食べれるかどうかどうすれば調べられるんだ⋯」


「ごめん、やっぱり私はなんにも役に立たないよね⋯せっかく助けに来てくれたのに⋯うっっ⋯」



いかん!


ひもじい思いだけじゃない、泣かせてどうするんだ!


考えろ、考えるんだタロウ!


食べれるかどうか調べる⋯⋯⋯


鑑定だ、魔法で鑑定をできるようにすればいいじゃないか!


やってみるしかない。


できる、俺ならできるんだ!



「サーチアイ!」


「え?タロウ⋯くん?」



見える見えるよアサミさん。


成功だ!



《カワマッスー:可食、綺麗な川に生息するポピュラーな川魚》



「アサミさん、鑑定魔法でこれが食べれるか調べてみた!これは可食って書いてある、毒なんかないって!」


「ほ、ほんと?やった!じゃあ食べれるんだね!タロウくんなんでもできちゃう!」


「調味料はないけど、これで何とか水と食べ物は確保できたな」


「うんうん!良かったぁ」


「よし、じゃあ魚を焼くために枯れ木とか探してこよう」


「任せて!それなら私も役に立てるかも!」



拳を握って気合を入れるアサミさん。


うん、かわいい。


君を見てるだけで俺は頑張れる。






2人で森の中で落ちている枝や葉を集める。



「なるべく俺から離れないで探すんだ」


「う、うん。私、タロウくんから絶対離れない!」



くそっ、絶対そういう意味じゃないけど、ラブラブカップルの会話へと変換妄想してしまう。


こんなにも非常事態なのに俺の脳内は余裕だな⋯



「こんなもんか。あんまり乾いてそうなのはなかったけど、一旦戻ろう。日が暮れた森の中は危険かもしれないからな」


「わかった、タロウくんの言うこと全部聞くね」



ぐはっっっっ!


そんなこと言ったらダメなんだ。


全部だと?本当に全部?


ダメダメ!ダメなんだ。


すぐにそっち方面で考えるな。


落ち着け俺のリビドー。





「よし、この辺りでいいか。魚もまだ残ってる。ここに集めた枝を置いてと⋯」


「タロウくんってこういうの得意なの?」


「まさか、俺は生粋のインドア派でキャンプとか小学校以来やったことないよ」


「え、そう⋯なの?得意そうに見える。でもインドア派なんだ。私と一緒だね!」


「2人して苦手じゃこの先も大変だけど、なんとか頑張るよ」


「タロウくん任せでごめんね⋯私も出来ることは頑張る!こう見えて料理は多少できるよ!」


「そうなんだ、それじゃあ料理に関してはアサミさんにおまかせでもいい?」


「任せて!ガッチリ胃袋掴んじゃうんだから!」



いやだから言い方!


それじゃまるで俺を惚れさすみたいになるやつ!


そんなことより火を熾さないとだ。


最初の焼き尽くすような炎じゃだめだ。


種火のような火を魔法でやるんだ。



「フレイムシード!」



俺の手から小さい火が零れ落ちる。


それが集めた枝の上に落ちた。


激しく燃え上がるようなことはなく、イメージ通りの火が発生した。



「なかなか炎にならないな⋯やっぱり完全に乾いてないとダメなんだ⋯」


「煙がすごいね⋯こんな風になるんだ⋯」


「1回消そう!」



俺は魔法で水を出し、それを消し去る。


火を熾すだけでこんなに苦労するもんなのか⋯



「もう一度森の中で枝を集めてみよう」


「うん、それしかないもんね」



再度集めた枝は、先程と変わらないようなものしかなかった。



「これじゃあまともに火も熾すことが出来ないな⋯」


「生でお魚を食べるのも勇気いるよね⋯」



なんとかしろ!


俺が何とかするしかないんだ!


乾いてる枝がないならどうする⋯


枝に水分が多いから乾いてないんだ。


なら水分を取ればいい。


乾かす⋯乾かす⋯


さっき自分にやったじゃないか!


枝を乾燥させてしまえばいいんだ。






面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

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