妄想6 見ちゃダメ!
『タロウくん、小さいタオルしか持ってないけど、良かったらこれで身体拭くね』
女の子ならハンドタオルとか持ってて、しかも渡すだけじゃなくて、アサミさんが拭いてくれたりしないもんか。
さすがに日も暮れそうだし少し寒い。
水深は腰まであったからパンツはびちゃびちゃだ。
とりあえずパンツを脱いで絞りたい。
脱いだついでにそのまま色々と妄想して出すもん出したいところではある。
「タロウくんっ、私タオルあるよ!」
お、本当に持ってるのか。
これは助かる。
自分の鞄の中を探しているアサミさん。
「あった、これしかなかったけど、今から拭くね!」
ん?なんて?
「ありがとうタロウくん、何でもかんでもタロウくん任せで⋯私に出来ることはこんなことくらいしかないから⋯」
へ?ちょ、え?
「い、いや、アサミさん、自分で拭くから!」
「気にしないで!私がしたいだけだから!」
いやいや、気にしちゃう!
気にしかならないから!
「遠慮しないでタロウくんっ!」
手を伸ばし、濡れている所を拭いていくアサミさん。
俺はもう何がなんだか分からなくなってフリーズしてしまう。
「すごい⋯タロウくんのお腹⋯うっすら割れてるし⋯見た目より筋肉質で⋯すごい⋯これが男の人の⋯」
何やらブツブツ言いながら吹いているけど、小さすぎて何を言ってるか分からない。
「あ、あああ、ありがとう⋯」
背後に周り背中も拭いてくれる。
「大きい背中⋯はぁ、すごい⋯足も細いのに筋肉質だし⋯、ぷよぷよの私とは全然違う⋯」
まだ何やらブツブツ言っているな⋯
「一通り拭けたけど、下着が濡れたままだね、脱いだ方がいいかな⋯タロウくん、下着も脱いで!」
待て待て待てええええええい!
「さ、さすがにそこは⋯」
「遠慮しないで!下ろすよ!」
待て待て待てええええええい!
なんでパンツに手をかけるんだ!
「ダメダメ!本当にそこは自分でやるから!待ってアサミさん!」
俺は必死に抵抗するも、アサミさんも下ろそうとしてくる。
「風邪ひいちゃうよ!こんなとこで病気になったらどうするの!誰も見てないから平気だよ!」
見てるぅぅううう!
あなたがいるぅぅうううう!
「さすがにそこは恥ずかしいから!自分でやらせて!」
「いいよ!遠慮しないで!やらせて!」
君が遠慮してくれええええ!
んでもってやらせてとか言わないのおおお!
なんでこの子は言葉を端折るの!
その後しばらく脱がす脱がさせない論争を繰り広げた。
何とか説得に成功し、後ろを向いてもらう事に。
お互いに背を向けてパンツを脱ぐ。
俺はパンツを膝まで下ろし、チラリと後ろを確認した。
⋯⋯⋯⋯
⋯⋯⋯
⋯⋯
⋯
見てた。
もう俺のプリティなおしりは丸出しだ。
時すでに遅し。
「ななな、なんで見てるんだよ!」
「見てない!私見てないから!」
いや見てたーーー!
ガッツリこっち振り向いてたーーー!
なんなの?なんなのこの子!
「アサミさんちゃんと後ろ向いてて!」
「大丈夫!さっきから後ろ向いてる!」
なんで嘘つくんだ。
いや、確かに後ろは向いていたな。
首を回して後ろは向いていることになる。
それは確かに後ろを向いたことになる。
嘘はついてないが、見てはいた。
くっ、詭弁か?
俺の言い方が悪かったのか?
やるな!
「アサミさんが後ろ向かないように、俺はアサミさんの方を向いて脱ぐからな!」
「わ、わかった!絶対見ないね!」
本当に分かったのか?
まぁいい。
この状態ならば見られ⋯
何だこの状況は⋯⋯⋯⋯
今俺は脱いでいる。
まさにフルティーンだ。
アサミさんの後ろ姿を見ながらフルのティーンだ。
くっっっ、これはまずい。
込み上げて来るものが抑えられない。
しかも今から俺はアサミさんのタオルで局部を拭くことになるんだ。
⋯⋯⋯はっ!しまった!
タオルは今、アサミさんが持っている。
渡してもらう時に見られてしまうのではないのだろうか⋯
さっきのことを考えると有り得なくない。
その状況を利用して振り向いてきそうだ。
どうする⋯
どうしたらいいんだ!
「タロウくん、拭くのは私がやる?」
な、なんてことを言い出すんだ!
見るだけじゃなくて拭く?
どこを拭くのかわかっているのか?
焦るな!焦るなタロウ!
まずは絞るんだパンツを!
⋯⋯⋯⋯ひ、閃いた!
「大丈夫!いい事思いついたから!」
「え?ほんと?なになに?」
⋯⋯⋯⋯
⋯⋯⋯
⋯⋯
⋯
なんでこっち向くんだよおおおお!
「みみみみみ、見ないでよアサミさん!」
「はわわ、み、見てない、見てないもん!手で顔隠してるもん!⋯⋯⋯アレがタロウくんの⋯しゅ、しゅごい⋯⋯⋯」
女子特有の顔を手がパーで隠すやつしてるぅぅううう!
見てる、ほぼ見てる、いや、ほぼじゃない、完全に見えてるやつ!
俺はいそいそとパンツを履き直した。
「え、なんで履いちゃうの?」
なんで落胆した声で言うのかな⋯
そんなに見たかったのか?
「こうするんだ、見ててくれアサミさん」
俺は温風を出す魔法を出してみる。
「ウォームウィンド!」
優しくも温かい風が俺を包んでくれる。
温かい、そして心地がいい。
「おお、あっという間に乾いた!」
「え、じゃあ今後濡れても私が拭けない⋯」
なんだかアサミさんがしょんぼりしてるけど、これで寒い時も対応できるな。
次は魚を何とかしないとだ。
あー、それにしても恥ずかしかった。
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