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妄想47 告白

毎日この時間がやってくる。


当たり前だ。


人間に平等なのは、死と時間だけだ。


等しく訪れる物はその2つしかない。


俺も日々学習しているんだ。


アサミさんが日々チート能力を発現させるように、俺にもある。


それは覚悟だ。


今日も耐える、今日も生きる、眩しい朝日を君と拝む。


こうやって精神を強くしないと俺の精神も俺の俺も破綻してしまう。


鋼の心を得る為に、目を閉じ瞑想する。


ふう、今日も作り上げたぜ。


もういいんだ。


連日連夜行われるのは確定事項なんだ。


だから俺は精神を鍛えることにした。


精力剤?防護魔法?


馬鹿いっちゃいけない。


甘えるな!男ならテメーの気持ちでなんとかしろ!安易なものに頼るんじゃない!


もう1人俺がそう囁いた。


ような気がする。


決して魔法を開発出来なかったからな訳では無い。


陰キャの俺も強くなったもんだ。


日本にいた頃じゃ考えられない。


あの頃の俺なら逃げていただろう。


俺も成長しているんだ。


お父さんお母さん、俺、こっちでもちゃんと生きてるよ。



「タロウくんっ、今日もお疲れ様!」


「ああ、今日はお疲れ様だ。1日頑張ったもんな」


「うんっ!これでタロウくんと一緒に戦えるかもっ」


「戦えると思うぞ、クゥちゃんも戦えるしな。これでお互いが守れるようになったな」



おかしいな。


標準装備の手枷を持っていないじゃないか。


今日は何も使わない日か?



「私頑張った?」


「ああ、アサミさんはとっても頑張ったぞ」


「えへへ、じゃあ⋯⋯⋯今日は私のこと⋯⋯癒して欲しいな」



何だこの生き物は。


可愛い、可愛いすぎる。


雷が落ちた。


ズガンと俺の脳内に雷が鳴り響いた。


ここか、今だ、このタイミングだ。


俺とアサミさんはベッドに横並びで座っている。


俺はベッドから立ち上がり、アサミさんの前に立つ。


そしてゆっくりと片膝を着く。



「アサミさん」


「ど、どうした⋯⋯の?」



今までの陰キャの俺ならこんなこと絶対に言えないだろう。


だが今なら言える気がするんだ。



「アサミさん、聞いてくれるか?」


「う、うん⋯ちゃんと聞くね」



アサミさんも俺の様子の違いに気付いたのだろう。


居住まいを正して俺と向き合う。



「今日まで支えてくれてありがとう」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「アサミさんとたくさんこの世界で過ごしてきたな」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「最初は可愛いなって、日本では思ってたんだ」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「こっちに来て、可愛いだけじゃなくて、優しくて、思いやりがあって」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



ひとつ言葉を紡ぐと、これまでの俺の想いが溢れてくる。



「いつも俺の応援してくれて、それだけでも俺は助かってるのに」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「今日なんか戦うことまでできるようになって」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



俺はアサミさんの瞳を見つめながら話していく。



「アサミさんってすごいなって、頑張り屋さんだなって」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



アサミさんも俺から視線を逸らさず見つめてくれている。



「アサミさんと過ごして行くうちに、アサミさんのこと大切に思うようになっていったんだ」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



アサミさんの瞳が潤んでいる。


アサミさんの想いも瞳に浮かんで来ているのだろう。


俺も溢れそうだ。



「ずっと前から思ってたんだ、言おうって。でも生活が安定して、ちゃんとここで生活できるようになったらって思ってたんだ」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「タイミングって難しいよな」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



言う、言うぞ、言え!


男になれタロウ!



「アサミさん、大好きです。俺と付き合ってください」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



なんで黙っているのだろうか⋯


まさか、拒否?


きつい、これはきついぞ、死のう、振られたら自害しよう。


俺が錯乱しそうになった時、アサミさんの瞳から一筋の涙が零れ落ちた。



「ありがとうタロウくん⋯⋯⋯」


「うん、こちらこそ聞いてくれてありがとう⋯⋯⋯⋯」



返事は、返事はまだですか?


まさかの少し待ってとかないよね?



「私も⋯⋯⋯⋯私も、私も大好き!タロウくんのことが大好きだよっ」



そう言って俺を抱きしめた。



「アサミさん⋯⋯ありがとう」


「タロウくん⋯⋯ありがとう」



俺も抱きしめ返す。



「でも少し遅いよ?」


「うっ、そ、それはごめん⋯」



俺から少し体を離し、イタズラそうに笑うアサミさん。


とても可愛らしかった。



「ふふ、いいよっ、今日から恋人って思っていいの?」


「ああ、俺の彼女になって欲しい」


「うんっ」



俺とアサミさんは潤んだ瞳で見つめ合う。


ゆっくりと二人の距離が近づく。


ゼロ距離になった時、2人の唇が重なった。


ほんの数秒だった。


俺たちのファーストキス。


唇を離し、お互いに見つめ合う。


止まらなかった。


可愛いかった。


俺の彼女は可愛いんだ。


2回、3回、何度も何度も唇を重ねる。


ずっとしたかったんだ。


数回程度で止まるわけなかった。


ずっと妄想していた。


アサミさんの唇の柔らかさを。


貪るようにキスを交わす。


アサミさんも同じ気持ちだったのかもしれない。


何度もしては見つめ合い。


見つめ合ってはキスをする。



「アサミさん⋯⋯⋯」


「タロウくん⋯⋯⋯」



お互いにお互いの名前を呼び頷き合う。













そして俺達は結ばれた。



面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

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