表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/48

妄想46 舞います

予想外とはこのことだ。


夜のチート能力は魔物との戦闘でも大活躍だった。


俺は自分の全身に回復魔法をかけて朝の準備を整えた。



「おはようアサミさん」


「おはようタロウくん」


『ガウッ』



アサミさんはとてもスッキリしているな。


俺は残念ながら気絶⋯いや寝落ちしていたんだろう。


その後に何が起こってたのかは分からない。


起きた時にはベッドだった。


何があったかは聞きたくない。



「今日もダンジョンに行こうか」


「分かった!でも私の初戦闘だから、1回層からでいい?」



アサミさんの提案で、今日は肩慣らしの日となる。


なるはずだった。







「タロウくん、鞭って強いねっ!師匠の作ってくれた鞭だからかなぁ」



ダンジョンに着いてしばらくすると、いつも笑顔で陽キャのゴブリンと遭遇する。


いつものように魔法でスパッと行こうとすると、アサミさんに制止される。



「今日は私がっ!」



その言葉で今日は鞭を試す日だと思い出し、その場をアサミさんに譲る。


譲った瞬間だった。


もうゴブリンの首は落ちていた。


ヒュッと風切り音の様なものが聞こえたと思ったら首なしゴブリンの完成だ。



「すごいすごいっ!私にも出来たよっ!」


「⋯⋯⋯ああ、本当にすごいな」



あんな危険な物で俺は吊り上げられていたのか。


もう俺はあの子に逆らえない。


今までも逆らったことはないが、これからも絶対にないだろう。


そう心に刻んだ瞬間だ。


そのまま2体、3体と倒していくアサミさん。



「タロウくん、もっと上に行きたいなっ!」



手応えを感じたのだろう、それと物足りなさも。


俺と同じで接敵即殺だ。


アサシンか。


ダンジョンは言った場所にはすぐに行けるように入口横に魔法陣が設置されている。


1度入口に戻り、アサミさんの希望で11階層へと向かう。


このフロアもまだ洞窟だが、ゴブリン以外にも魔物が出てくる。


ゴーレム種で最弱のサンドゴーレムが出てくる。


その他にコウモリのような魔物もいた。


いきなり頭上から襲ってくるのでなかなか怖い。



「ここからは色んな魔物が混ざってくるからな。援護は俺に任せてくれ」


「ありがとうタロウくんっ!でも大丈夫!できる気がするのっ」



昨日今日でG級からE級の実力なんて身につくだろうか。


ついているんだろうなぁ。


なんせ伝説の鞭縄使いのS級冒険者になるんだ。


2つ名とかつきそうだよな。


夜の女王、ピッタリすぎるな。


俺にしか分からない2つ名とか意味無いけどな。



そんな思考に囚われていると、サンドゴーレムの核を鞭で抜き取っていた。


サンドとは言え、剣でも斧でも弱い冒険者ならサンドゴーレムの身体に傷を付けるのは難しいはずなんだがな。


ゴーレムは物理耐性を備えてるらしい。


ゴーレムのランクが上がれば上がるほどその耐性が強くなる。


そのゴーレムの核を一瞬で抜き取ったのだ。


なんだあの鞭は。



「うーん、でもこんなんじゃ縄の出番がないなぁ」



うちの女王様が何やら悩んでおいでです。



「縄を使う必要がないくらい魔物が弱いのと、鞭が強すぎるのと、アサミさんが凄いんだと思うぞ」


「えへへ、タロウくんに褒められちゃったっ」



そんな調子で15階層のボスをサクッと倒してしまった。


俺とクゥちゃんは後ろで震えている。


15階層のボスはサンドゴーレムの大きいやつで、普通のやつより物理耐性が高い。


たかが昨日から鞭を振り回し始めた女の子に勝てる相手ではない。



「やっぱり師匠の鞭はすごいっ」



アサミさんの手が動いたと思ったら、その手元にはゴーレムの核があった。


ゴーレムの核は脆い。


床に落としてしまえば割れるのだ。


その脆い核を壊さないように巻き取る鞭。


その前に物理耐性のある防御を難なく突破する鞭。


その防御を突破するほどの威力なのに、核を破壊しないように包み込むその繊細な技術。


この子⋯誰?


アサミさんなのは間違いないんだ。


でも⋯⋯誰?


昨日初めて鞭を持ったんだよな?


本当にになんでなのだろう。


ネレイスさんの武器は自分の能力を高める付与魔法みたいなのがあるのか?


それならば俺も欲しい。


だがそんなことは言えない。


言ったら昨日の二の舞だからだ。


言わなくても何かしらの理由を付けて二の舞、三の舞、四の舞、何回舞えばいいのだろう。


俺は夜の蝶か。


俺も異世界で夜王になれるチート能力欲しかった。


なんでただの魔法なんだろうか。


アサミさんはぐんぐんズンズン進み、1日で20階層に到達し、ボスを撃破した。



「タロウくんに追いつけたっ」


「すごいなアサミさん、たくさん頑張ったな」


「やったやったぁ」



無邪気にぴょんぴょん跳ねて喜ぶ姿、目に焼き付けます。


ギャンかわアサミさん頂きました。


とりあえず俺に追いついたということで、一旦ダンジョンを出る。


ネレイスさんの武器屋はすぐそこなので、今日の報告をしに行く。


どうしてもアサミさんは鞭の感想を伝えたかったようだ。


俺は惨劇回避の為に武器屋の外でクゥちゃんと戯れながら待っている。


たくさん話して満足したんだろう、アサミさんが戻ってきた。


俺の腕に自分の腕を絡ませこう告げる。



「今日はたくさんタロウくんに癒して貰わないとっ」



二の舞、舞います!



面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ