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妄想38 善行しても報われないけどこれはご褒美

案内された孤児院は子供たちが楽しそうに遊んでいる中庭だった。



「なかなか来てくれる冒険者の方がいないので助かります」


「そうなんですね。自分達は昨日冒険者になったので、こういうことからコツコツやろうと思いまして」


「ふふ、そうだったんですね。ではたくさん来て頂けると助かります」



シスターはニッコリ微笑みながらお話してくれている。


俺1人なら見惚れるほどの可愛らしい笑顔なんだろう。


実際に可愛い。


身長は小さいがスタイルも抜群だ。


胸は慎ましいが、太すぎず細すぎず、男性ならば絶対に好きであろうスタイルだ。


だが今はアサミさんがいる。


鼻の下を伸ばしていたら俺の俺はまた切れる。


だから無だ、無になるんだ。



「本日は草むしりをしてもらってもよろしいですか?中庭の手入れも出来なくて」


「分かりました。2人で協力してやっておきます」



来た時間も昼過ぎったからだろう、中庭全体でなく、限られた範囲でいいと言われた。



「では、私は教会の方に戻ります。終わりましたらお知らせ下さい」



そう言ってシスターは戻って行った。



「じゃあチャチャッと済ましちゃうか」


「ふーーーん」



⋯⋯⋯⋯出ました。


やはり今日も4回は確定事項のようだ。



「ど、どうした?」


「綺麗な人だからそんなにやる気になってるのかな~って」



なぜそうなるのだろうか。


ヤキモチ妬きたいだけなのか?


普通の会話すら俺には許されないのだろうか。


弁明したい。


だが付き合ってもいないのに弁明するのはおかしいんじゃなかろうか。


そう考えると付き合ってもいないのにヤキモチ妬くのもどうかと思うが、それは言いっこなしだ。


アサミさんがそうしたいのなら甘んじて受け入れよう。


これが惚れた弱みってやつなのか。


違うような気もするが、モテない陰キャの俺の意見などあってないようなものなのだ。


そんな無駄なことを考えながら、指定されたところの草むしりに勤しむ。



「素手だと大変だな」


「うん、手が痛くなるよね」


「思ったんだ」


「なーに?」


「魔法でスパッとやってもいいかな?」


「え⋯⋯⋯⋯」


「え、な、なに?」


「それだと私やったことにならないよ?」


「あー、たしかに」


「なんかズルしてるみたいだし」


「そう⋯だな」



真面目!


そこがアサミさんの素敵なところだと思おう。


風魔法でスパッとやるか、土魔法で掘り返すか、なんて考えててごめんなさい。


そこから1時間ほど無心になって2人で草むしりを頑張った。



「ふう、こんなもんでいいんじゃないか?」


「うんうん、綺麗になったね!」


「お兄ちゃんお姉ちゃん、お仕事終わったー?」



俺達が達成感に浸っていると、子供たちに声をかけられた。



「終わったぞ。シスターに報告に行かないとだな」


「じゃあ遊ぼう!」

「お兄ちゃんお姉ちゃん遊んで~」

「お兄ちゃんは俺達と冒険者ごっこしよ!」

「お姉ちゃんは私たちと遊ぼっ」



わちゃわちゃ一気に話しかけてくる子供たち。


俺とアサミさんは顔を見合せて、2人とも笑顔になった。



「よし、まだ日が暮れる前だし遊ぶか?」


「お姉ちゃんと何して遊ぶ?」



こう見えても年の離れた弟が居たから子供と遊ぶことは多少はできる⋯はずだ。


アサミさんも子供が好きなのかもしれない。


女の子たちを引き連れて遊んでいた。



「お兄ちゃん冒険者なんだろ!強い?」


「俺はなったばかりだから強くないかもなぁ、持ってるのは木刀だろ?剣を教えてくれたら嬉しいな」


「お兄ちゃん冒険者なのに剣もできないのかよ!そんなんじゃ強い冒険者になれないぞ!俺達が教えてやるよ!」



実際木刀なんて振らない人生だったからな。


渡された木刀を持ち、子供たちに教わる。


子供たちも習ってるわけじゃないだろうから適当だ。



「こうやってこうやるとかっこいいんだぞ!」

「違うよ!こう持ってこうやって動くと強そうだろ!」

「もっと強く振って!そうそう!」



こんな感じで言われたまま、子供たちに合わせて木刀を振っていく。



「師匠、剣は難しいですね!」


「当たり前だろ!強くなるのに近道なんてないんだ!毎日やるんだぞ!」



一丁前に指導者みたいなことを言ってるのが可愛いな。



「こらこら、お兄さん達はお仕事で来てるんですよ!ダメでしょみんな!」



しばらく遊んでいるとシスターが来て怒られてしまった。



「草むしりが終わったので、少し遊んでしまったんです。この子達は悪くないので叱らないで貰えたら嬉しいのですが」


「ふふ、優しいお方なのですね。みんなもちゃんとお礼を言いましょうね」


「「「「お兄ちゃんお姉ちゃんありがとう!」」」」



日も暮れかけて来たので俺達も帰ることに。


また来ることを約束した。


異世界でも子供たちは可愛いな。



「楽しかったねっ」


「アサミさんは子供と遊ぶの好きなんだな」


「タロウくんもでしょ?」


「そうだな。楽しかった」


「シスターも可愛い人だったもんね。優しさアピールしちゃってたしねっ」



これは追加案件なんでしょうか。


回避できないのでしょうか。


教会で善行したはずなのにおかしい。


神はいなかった⋯⋯⋯⋯


いや、俺の隣の女神様に直接懺悔することを許されているんだ。


甘んじて受け入れよう。


これは報われないんじゃなく、むしろご褒美。


そう思い込むんだ。










精力増強の魔法は本格的に考えよう、そうしよう。


面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

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