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妄想陰キャの異世界無双〜清楚系JDと共に〜  作者: 音無響一


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妄想24 すっごい

「街までは馬車で2日って言ってたよな」


「うん、そう聞いたね」



日も暮れかけた時、俺達は早めの夕飯を取っていた。



「あれから2日は歩いてるから、あと2日くらい歩けば着くかもしれないな」


「ゴールがある程度分かると気の持ちようが違うよねっ」



アサミさんは明るいなぁ。


やっぱり彼氏とかいたことあるんだろうか。


俺には全く縁のない話だったから羨ましい。


バラ色の学校生活なんて夢見ただけで、中学高校と真逆の生活だったな。


大学も友達なんて作る気もなかったからずっとソロプレイだ。


アサミさんと日本にいた時の話はするが、男女のアレコレの話の核心に触れるような話はしていない。


聞いたら俺の精神がゲシュタルト崩壊しそうだ。


ゲシュタルト崩壊ってなんだっけ⋯


ついつい使ってみたくなるワードだな。


⋯⋯⋯ふう、現実逃避の時間はこのくらいでいいだろう。



「焚き火をしていた痕跡は消していかないとだな」


「居るのがわかっちゃうもんね」



少し歩いた先の森の中に入り、地下に土魔法でふたりの寝る空間を作る。



「よし、できた」


「入ろっ」



中に入り、入口を閉め空気口を確保しておく。


これで窒息することはないだろう。


魔法で酸素も作れたらいいのにな。


できるのかな?


火を作れるならできそうな気もするけど。


理科は得意じゃなかったから無理かな?


そんなことはいい。


問題は今日の夜だ。


寝るのか?


本当に寝るのか?


⋯⋯⋯⋯はっ!


これって初夜?


いかんいかん、落ち着けタロウ。


ソッチ方面に行くな。


お経を唱えるんだ。


鎮まれ俺の煩悩。


しまった、俺は無宗教だった、南無阿弥陀仏以降知らねぇ。



「なんか⋯⋯⋯ドキドキしちゃうね?」



落ち着け落ち着け落ち着けねええええ


上目遣いはやめてくれ。


小首を傾げるのもやめてくれ。


動画や静止画でしか見たことない行動はやめてくれ。


何度そんなシーンをリアルで見たいと思ったか。


見たらダメなのはとっても理解しました。


だからもうやめてください。



「どうやって寝るか悩んでしまうな」


「うーん、どうしよっか」



地下空間は光源が全くないので光魔法で少し明るくしている。


やってみたら出来た。


もうなんでもありだ魔法は。


薄明かりの密室で2人きり。


クゥちゃんはいるけどな。


ただあの子は隅っこが気に入ったのか、そこで丸くなって早々に寝入っている。



「あ、そうだタロウくん、あれ⋯して?」


「⋯⋯⋯⋯ん?」



アレ⋯とは?


違う、絶対にソッチのアレじゃない。


むしろソッチのアレって、どのアレなのか分からないが、そのアレじゃない。


こんな時も端折って話すのは本当にやめてほしい。


だが頭をフル回転させろ、アサミさんが求めている最適解を導き出すんだ。


今の俺はAIよりも早いんだ。


インテル入ってるぅぅううう



「⋯⋯⋯⋯分かった、クリーン!」


「ありがとうタロウくんっ!この魔法すごい便利だよねっ服まで綺麗になるんだもん、髪の毛までサラサラなのっ」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


「ほらほら、見てっ、こんなにサラツヤ~触ってみてタロウくんも、すっごいんだからっ」


「⋯⋯⋯⋯⋯」



すっごいのはわかりました。


心の中で荒い呼吸を繰り返すほど今のあなたはすっごいんです。


グイグイ来るので差し出した毛先を手で包み込み滑らす。


なんて滑からな手触りなのだろうか。


髪の毛を触るだけでこんなにも気持ちいいんだな。


ずっと触っていたくなる。


ボーっとしながら何度も髪の毛を掴んでは滑らしていた。



「たた、た、タロウくん⋯その、は、恥ずかしい⋯⋯⋯」


「ご、ごめんっ!つ、つい気持ちよくて⋯」



俺は慌てて手を離した。



「そう、なんだ、ありがとう⋯」



くそっ、ボーっとしすぎた。


なんだこの空気感は。


時間を巻き戻して欲しい。


そんな魔法使いたいぜ。



「俺にもしないとだな!」



俺はこの空気感に耐えられないので、自分にもクリーンをかけていく。



「うんっ、清潔な方がいいもんねっ」



なんとかこの変な空気感は脱せたと信じよう。



「じゃあ綺麗になったし、一緒に⋯⋯⋯寝る?」



⋯⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯

⋯⋯


時が止まった。


アサミさんは時を止める魔法を使えるらしい。


時間と共に俺の思考も停止していた。


何秒止まっていたかは分からない。


だが確実に時は止まっていた。



「タロウ⋯くん?大丈夫?」


「あ、ああ、大丈夫⋯」



声を掛けられるまで確実に止まっていた。


呼吸をしていたのかも、瞬きをしていたかも定かではない。



「ずっと一緒にいるのに、一緒に寝るのは初めてだねっ」


「そ、そうだな⋯」



なぜそんなに無邪気に話していられるのだろうか。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯はっ、そういうことか!


わかった!


俺は重大なことに気づいてなかった。


これまで寝る時に膝枕なんて破廉恥極まりないことをしていたから勘違いに勘違いを重ねて1人で暴走していたんだ。


アサミさんのせいじゃなかった。


全ては俺の勘違いだ。


何も隣合って寝ることなんてないんだ。


少し離れて別々に寝ればいい。


それにだ⋯これは最早最大のチャンスではなかろうか。


ピンチはチャンスの裏返し、そういうことだろ!




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