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妄想21 どうする?

危険な状態だった。


あと一歩のとこで童貞のまま、普通を知らぬまま深淵の世界に逝ってしまうとこだった。


タイミングよく魔物が出てきてくれたから助かった。


初めて見る魔物だった。


狼のような魔物で5匹程の群れだ。


ハイドロスラッシュでスパッと切れたけどな。


この魔法は強い。


周辺の木まですっぱり切っていたからな。


魔石を拾いまた歩いている。


そんなとこだ。



「ねえタロウくん、あっちから来るのって、人じゃない?」


「ん?アサミさんは目がいいな。見えるようで見えないが⋯」


『ガウガウッ』


「クゥちゃんも見えるのか?すごいな」



そう言って撫でてやる。



「クゥちゃんばっかりずるいな~私も見えたんだけどな~」



くっっ、これは撫でるしかないやつ⋯


俺はクゥちゃんを肩の上に乗せ、空いた手でアサミさんの頭をぎこちなさの抜けない手で撫でる。



「やったぁ、私もちゃんと見えたから褒めてもらわないとねっ」


「ははは、そ、そうだな」



お、俺にもうっすら見えてきたな。


あれはなんだ?


馬車⋯か?



「馬車かなんかだろう、話しかけて見た方がいいよな?」


「う、うん、緊張⋯するね」



しばらく歩くと馬車が目の前に来た。


俺達が話しかけようとドキドキしていると、馬車の方が止まり声を掛けてきた。



「そこの者達、少し話をしてもいいか?」


「は、はい!」



向こうから話しかけてくれた。


こんなとこを徒歩でいたら気になるか。


言葉が通じるな⋯どういうことだ?


でも気にしてもしょうがないからな、ラッキーだと思っておこう。



「この先に危険な魔物が住み着いていると報告があってな。討伐依頼が出ているんだ。その魔物のせいでこの辺は通行禁止になっていたんだが⋯君達はどこから来たんだ?」


「え、えっと⋯」



ここは素直に話すべきなのか?


言ったとしても伝わるわけない。


どうしたらいい⋯



「服装も珍しいな。見たことの無い服と靴だな⋯」



これは絶対に怪しまれてるやつ⋯


どうしよう、どうしよう、どうすればいい⋯



「僕達は迷ったんです。気付いたらここにいて⋯自分とこの女の子とこの犬の2人と1匹で森に迷い込んだんです。だから人里を探して森の中をさまよっていたんです」



嘘は言ってない。


これでダメならもう⋯やるしかない。



「俄には信じられないな。嘘を言ってるようにも見えん。俺達は冒険者でな。その魔物を討伐するために来ている」


「う、嘘は言ってません!もう何日もこの森でさまよってて⋯何日こうしていたか分からないくらいには⋯」


「よく無事だった、討伐対象の魔物に殺されなかった」


「そ、それは運が良かっただけじゃないかと⋯」


「では討伐対象の魔物には遭遇してないのか。していたら君達は生きていないだろうし⋯それで、行く宛てはあるのか?」


「い、いえ、この国がどこなのかも分かってなくて⋯後どのくらいで森を抜けるのかも分からなくて途方に暮れ始めてました」


「ふーむ、自分たちのいた国はなんて言うんだ?」



どうしよう⋯


ここまで話してしまったし、もう全部話そう。



「僕たちは極東の島国、ニホンという国に住んでました」


「ニホン⋯そんな国は聞いた事がないな。この大陸は東は森に覆われていて未開発でな。それより向こう側は何があるか分かっていないんだ」



なんだって⋯


じゃあ偽りを言い放題ってわけにはならないだろうけど、少しは融通が効くかもしれないな。



「そうなんですね⋯自国には帰れない可能性の方が高いのか⋯なんでこんなことに⋯くっっっ」


「ここから街に行くにも馬車で2日はかかる。歩いていくともっとかかるだろう」


「ま、まだそんなに⋯」


「俺達は討伐するのは出来たらなだけで、メインは調査なんだ。来る途中で森の雰囲気が変わってな、もしかしたら別の場所に行ったのかもしれない。魔物の調査が終わってからでいいなら街まで送ろう」



ここは素直に提案に乗った方がいいのか⋯


俺達だけで街に入れる保証はないだろうし。


アサミさんと相談するのも怪しいだろう。



「君達は何かがあって迷い込んだのだろう?ここで会ったのも何かの縁だ。見知らぬ土地では不都合も多いだろう、全てを助けられるわけじゃないが、安全なところに行くまで我々が保護しよう」



いい提案なんだが⋯


チラリとアサミさんを見る。


不安なのか震えているのが腕を通して伝わってくる。


クゥちゃんは何故か敵意を剥き出しにしている。



「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はB級冒険者のガイナムだ。馬車の中に仲間がいる。紹介しよう」



ガイナムという冒険者が声を掛けると、馬車の中から2名出てくる。


どちらも男性だ。



「俺はB級のヤットだ」


「B級のジュレイル」


「俺達3人で、B級パーティのキルバードだ」



3人とも何故か胡散臭そうな雰囲気がする。


軽鎧に武器を持っている。


ガイナムが剣、ヤットが斧、ジュレイルが弓だ。


これがこの世界の普通なのだろうか。


全員男となると、女性が一人のアサミさんに危険が及ぶ可能性がある。


ここは断る方がいいのか悩むな。


だがもう見られている。


後をつけてくる可能性だってある。


どうする⋯




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特に星評価をもらえると最高に喜びます。

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