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妄想陰キャの異世界無双〜清楚系JDと共に〜  作者: 音無響一


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妄想20 さようなら、そしてこんにちは

「そろそろ森を抜けたりしないかなあ。魚も無限にある訳じゃないし、食料が心許ないな」


「もうそんなに少ないの?」


「そういう訳じゃないんだ。ここをどのくらいで抜けられるか分からないしな」


『ガウガウッ』


「クゥちゃんが道とか分かってればなぁ。さすがにどこに住んでたとか分からないだろうし⋯」


『クゥーーン⋯』


「クゥーーン⋯」



そのWクゥーーンはやめてくれないだろうか。



「クゥちゃんとアサミさんが悪いわけじゃないから安心してくれよな。それにあと少ししたら森を抜けるかもしれないじゃないか」


「そうだよねっ明るく行こっ」



クゥちゃんを保護?ペットにしてから一日が経過している。


森の中の街道らしきものをひたすら道なりに歩いていた。



「アサミさん、クゥちゃんを歩かせてみるか?ずっと抱っこしてるのも疲れないか?」


「ふふ、心配してくれてありがとう。クゥちゃんも運動しないとだもんね。少し歩く?」


『ガウッ』



一吠えしてからアサミさんの腕から飛び降りた。


俺の横に並んで歩く。


もうすっかり怪我からは回復してそうだ。



「しっかり歩けてるな。だけどそんなに無理するなよ」


『ガウガウッ』


「ふふ、そんなに心配しなくていいよ~って言ってそうだねっ」


「それならいいな」


「じゃあ私は⋯⋯えいっ」


「あ、アサミさんっ?」


「クゥちゃんと一緒も嬉しかったけど、やっぱりここが1番落ち着くねっ」



なんて心臓に悪いんだ。


しばらく柔らかい感触がなくて悲しくもあったが、精神的には安定してたのに。


いや、女神とペットの戯れる姿を見ているだけで逝きかけてはいたが⋯


だとしても反則だぜ女神様。


ここが1番落ち着くって、俺と腕組んで歩きたいってこと?


いやいや、都合のいい解釈をしたら負けだ。


陰キャ童貞の俺はそんな甘い考えなんてしたらダメなんだ。


俺はただのガーディアンなんだ。


女神を守るガーディアンなんだ。


さながらあの闘士のようにな。


これも親が漫画を持ってたから知っている。


鎧みたいなのをまとって、拳で戦うあの闘士だ。


その拳は空を裂き、その蹴りは大地を割る、そんな闘士だ。


蹴りを使った技なんてほとんど初期で終わってたような⋯


あ、たまにやってたな、主人公の師匠の仮面被った女性が。


俺もあの鎧欲しいな⋯


この世界に星座なんてあるか分からないし、モチーフは星座にはならないだろうが、カッコイイの作りたいもんだ。


それを纏ってアサミさんを守る。


最高じゃないか。



「タロウ⋯⋯⋯くん?」



おっとまたトリップしてたぜ。


しかし余計なことを考えたおかげで煩悩は消しされたな。


俺はあの闘士のように一度喰らった技は二度と喰らうことはない、なんてチート技能は有してない。


アサミさんの肉体的、精神的攻撃は二度目以降もガンガンにクリティカルヒットだ。



「そうだな、こうしてると安心するよな」



もうこの状況を当たり前の状況にして耐えるんだ。


無だ、無の境地に至れ。


そこにいるのが当たり前。


そう思うんだタロウ、やればできる。



「じゃあ安心してもらうようにずっとこうしててあげるねっ」



はい無理、死んだ。


タロウの心は女神の精神攻撃には一生耐えられません。


俺は一体あと何回逝けばいいんでしょうか。


これが俗に言う、命がいくらあっても足りないって状況だろう。



「あ、あはは、ありがとうアサミさん」



気の利いたセリフなんて言えません。


こう言うのが精一杯です。


お父さんお母さん、俺を陽キャのイケメンに産んでくれなかったこと、恨んでます。


でも産んでくれて育ててくれてありがとう。


今の俺は異世界で死ぬような幸せな思いが出来てるのです。


矛盾してるようですがとっても幸せです。



『ガウッ』


「どうした?」



俺のズボンの裾を噛み噛みしてどうした?


一張羅だから破れたら困るからやめてくれないか?



「あ、わかった!クゥちゃんもタロウくんに抱っこして欲しいんじゃない?」


「な、なんで?」


『ガウガウッガウッ』


「ふふ、私に嫉妬してるんだ~やっぱりクゥちゃんもタロウくん大好きなんだねっ」



ズボンをガリガリしないでくれないか?


汚れが⋯


魔法で綺麗になるからいいけども。


クゥちゃんもって言わなかったか?


ダメダメ、さっき思ったばっかりだろう。


勘違いするなタロウ。


聞き間違いじゃないとしても聞き間違いなんだ。


俺は鈍感系でも勘違い系でもない。


調子に乗ったら負けだぞタロウ!



「そんなに抱っこして欲しいのか?歩き始めたばかりなのになぁ」


『ガウガウッ』


「いいでしょクゥちゃん~私はこうしてもらってるんだもんね~」



煽りはやめなさい。


煽りにもならんだろ俺なんか。


そんでもってしてもらってるんじゃない、してきたんだアサミさんが。


クゥちゃんはズボンをガリガリするのはやめて頂きたい。


俺は仕方なくクゥちゃんを右手で抱える。



『クゥーーン』



甘えた声で泣きながらスリスリと顔を擦り付けてきた。


こうしてほしかったのか。



「ふふ、良かったねクゥちゃんっ、私も負けないぞ~っ」



⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯

⋯⋯


それはスリスリじゃなくてパフパフではなかろうか。


胸で腕をパフパフ⋯パフパフ⋯


くっ、亀のじっちゃんの気持ちがわかるぜ!


これはしてもらいたくなるやつ!


顔でパフパフしなくても、腕にされてこの破壊力。


顔なんかでされたら⋯


ああ、妄想だけで逝ってしまう。


さようならノーマルなタロウ。


こんにちはアブノーマルな世界。


今行くよっっっ




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