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妄想陰キャの異世界無双〜清楚系JDと共に〜  作者: 音無響一


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妄想2 握られて挟まれて

2話だけ書きました。

どれだけ思いついて書けるか⋯

追放勇者書いた方がいいのは分かるけども!笑

なんだこれは⋯ここは魔法が使える世界なのか?


俺は今起こった出来事に動揺している。


そして高揚もしていた。


横からとんでもない衝撃が来る。



「ぐはぁっ!」


「やったやったやった!ありがとう!今の何?なになに?なんで燃えちゃったの?すごいすごいすごーい!」



あの子が俺に抱きついて喜んでいる。


あまりのことに状況が理解できない。



「お、落ち着こう!一旦!な?それに⋯近いって、こんな近いのむりいいいい!」


「え、あ、私、え?むり?なんで無理なのよ!酷くない!?」


「いや、違う、恥ずかしい!君みたいな綺麗な子に抱きつかれたら恥ずかしくて無理!」


「はあああ?き、綺麗?な、何言ってるのよ!」


「綺麗なんだから綺麗って言ったんだ!自分の容姿を見た事あるだろ?君は美人!俺はブサイク!100人が見たら100人がそう言うよ!」



なんか言ってて悲しい⋯


そして何を普通に綺麗とか美人とか言っているんだ俺は!



「ななな、また言った!綺麗とか美人とか男の人に言われたことないもん!わかんないよ!」


「は?本気で言ってるのか?君は美人だ!超絶美人だ!」


「なななな、なんでまだ言うのよ!恥ずかしいじゃない!」



なんで2人で恥ずかしがってるんだ⋯



「と、とりあえず、離れようか⋯」


「あ、うん、ごめん⋯」



一旦離れ落ち着く。


お互い着衣が乱れている箇所を探し直した。



「改めて⋯俺はタロウ、鴨川タロウだ。よろしくな」



俺は右手を差し出した。



「私は、海野アサミよ、助けてくれてありがとう」



アサミと名乗った朝の女神。


名乗ると同時に俺の右手を握った。



「ねえ、タロウくん、ここがどこだか分かる?一緒に駐輪場から来たのよね?」



やはり海野さんも分からないのか。


しかしいきなりファーストネームで⋯


レベルが高すぎて俺には無理だ。


でもアサミって呼んでと言われたら喜んでそう呼ぼう。



「俺も分からないんだ。海野さんが目の前で消えたから、助けないとって思って俺もここに来たんだ。そしたら悲鳴が聞こえたから⋯」


「アサミって呼んで欲しいな」



ん?なんと?



「私のことも名前で、アサミって呼んで?」



聞き間違いではなったな。



「⋯⋯わ、分かった。あ、ああ、ふぅ⋯アサミさん。そう呼ばしてもらうよ」


「ふふ、ありがとう。」



可愛すぎるんじゃないか?


こんなどこかも分からない場所だが、アサミさんとなら⋯



「私のこと助けるために来てくれたんだ⋯タロウくんは吸い込まれたんじゃないの?」


「吸い込まれたのはアサミさんだけだよ。俺は後ろにいたから大丈夫だったんだ」


「え?それなのに私を助ける為に来てくれたの?」


「ま、まぁ、そうなるな。ごめんなこんなキモオタな男が助けに来て」



悲しい⋯本当に悲しい。


自分で言ってて虚しくなるな。


だが事実だ。


助けられるにしてもイケメンが良かったに決まっている。


でも⋯アサミさんが俺が助けに来てくれて嬉しいって言ってくれたら⋯



「タロウくんが助けに来てくれて嬉しいよ⋯ありがとうタロウくん。それにタロウくんはキモくなんてないよ⋯その⋯かっこいいよ?」


「え?なんて?」



最後の方がごにょごにょ言ってて聞こえなかったんだが⋯



「なんでもない!とにかくありがとうタロウくん!」



でも良かった、キモイと思われてなくて。


こんなとこで悠長に話してる場合じゃないよな。


元の世界に戻れるかも分からないんだ。


最悪本当に一生この魔物のような物が出る世界に居ないといけないんだ。


まずは生き残るためにできることをしないとな。


アサミさんと一緒に⋯


手を繋いでくれないかなぁ。


タロウくん、心細いから⋯とか言ってくれたらなぁ。



「タロウくん、やっぱり知らない場所だと⋯なんか心細いよね⋯タロウくんがいるけど⋯だけど、その⋯」


「え?」



握られた⋯しかもこれは伝説の恋人繋ぎでは?


恋人⋯それはキモオタには一生縁のない物。


その恋人同士が織り成すストーリーに付き物の手を繋ぐ行為。


その伝説の繋ぎ方をされている!


奇跡なのか?一生に一回の奇跡が今起きたのか?



「こうしてると安心するね⋯」


「そ、そそそ、そうだね!」



ああ、どもりすぎだ!


落ち着くんだ、素数を数えろ!


1234⋯


⋯⋯⋯えっと素数ってなんだっけ⋯⋯⋯


落ち着け、落ち着くんだ。



「アサミさん、とにかくここは危険かもしれない。人里を探そう。ここは日本、そして地球では無い可能性が高い」


「え?なんでそんなことわかるの?」


「さっきのうねうねした気持ち悪いの見たろ?あれは地球には居ないと思う。それに、俺から出た炎が何よりの証拠だ⋯」


「そ、そうなんだ⋯あれは何か道具を使ったのかと思ってたのに⋯もしかして魔法ってやつ?」



なんで魔法って答えに辿り着けるんだ?


もしや⋯アサミさんもファンタジーを好きだったりするのか?



「よく分かったね。俺もあれは魔法だと思う。俺が念じたんだ、魔物を燃やす尽くす魔法を打てって。そしたら⋯魔物が燃えていた」


「すごいねタロウくん!いきなり魔法使えちゃうんだ!かっこいい!」



か、かかか、かかかかかか、かっこいい?


生まれて初めて言われた⋯


それを言ってくれたのが女神だなんて嬉しすぎる。


ああ、もう女神じゃない、アサミさんだ。



「で、でも次に使えるかどうかも分からないんだ。まだ確定した訳じゃないよ」


「そんなのいいじゃん!次も変なのが出たら、タロウくんがやっつけちゃうんだもんね!」



そんなに簡単に行くかなぁ⋯


でも女神の前で格好つけたい。


またかっこいいとこ見たいって言ってくれたら頑張れちゃうかもなぁ。



「またタロウくんのかっこいいとこ見たい!だから頑張ってね!」


「お、お?う、うん。頑張る⋯よ?」



なんだこの違和感は⋯何か見落としている?


釈然としないがとにかく進むしかないな。



「アサミさん、方角すら分からないんだ。適当に進むしかないと思う。運が良ければ道があるかもしれないしな」


「そうだよね⋯頼りになるタロウくんが居れば大丈夫!」



頼りになる⋯か。


なれるかなぁ。







俺達は森の中の道なき道を慎重に進む。


もちろん恋人繋ぎをしたままだ。


はっきり言って警戒なんて無理だ。


俺の全神経は繋いだ左手に注がれている。


早くこの手でアレをしたい⋯


何回出せるかな⋯記録更新しそうだ。


アホなことを考えていると目の前の草が音を立てて動いた。


さすがに目の前で何かが起これば気づける。



「タロウくん、目の前⋯」


「うん、何かがいるかもしれない。離れないでくれよ」


「うん⋯」



待ってくれアサミさん⋯


その感触は⋯その柔らかい感触は⋯


MUNE!


や、柔らかすぎる⋯俺の二の腕に当たってる!


しかも片方じゃない。


間に挟まれている!


これはもうダメだ。


目の前のものが魔物だろうが化け物だろうがどうでもいい。


このまま逝ってしまう。


生きててよかった⋯


アサミさんを助けに来てよかった⋯



「な、なんだあれは⋯」


「う、うさぎ?でもなんか⋯」


「ああ、不気味だな⋯」



白のうさぎなんだが、角が生えている。


そして目が異様に黒い。


こっちをじっと見ている。


どうしたらいい?


あの角で攻撃されたらかなり危険だ。


それにアサミさんが張り付いているせいで避けるのも困難だ。


先制攻撃か?


だがまだ敵と決まったわけではないが⋯


どうしたらいいんだ。


さっきは咄嗟に火の魔法を使ったが、火災になる可能性もあるから気をつけなければならない。


あのうさぎの足元が凍らせる魔法を使えれば⋯


さっきみたいに念じてみよう。


俺はまた妄想する。


うさぎの足元を凍らせるんだ、あそこに氷を張れ⋯


アイスフロア!



『ぎゃっ!ぎゃぎゃ!』



え?本当に凍った⋯


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