妄想18 美女×ペット=?
「私も撫でたい!」
俺も撫でて欲しい。
いや、そうじゃない。
撫でて欲しいがそうじゃない。
「そうだ、ご飯をあげたら喜ぶかもしれない。アサミさん、これを」
俺はマジックバッグから昨日の夜に焼いて残った魚を取り出し、アサミさんに手渡す。
「いきなりじゃ怒るかもだもんねっ!さすがタロウくん、ナイスアイデアっ!」
俺は撫でられて気持ちよさそうにしている魔物を両手で優しく包み抱き上げた。
ゴワゴワしておらず滑らかな手触りだな。
もふもふってやつだ。
前方向を向かせるように抱き、アサミさんと向き合わせる。
吠えるようなことは無いので大丈夫かもしれない。
「アサミさん、その子に魚を見せてあげて」
「わかった!ほら、ご飯だよ~美味しい魚だよ~食べる~?」
アサミさんは地面に置かず、手に持って魔物に見せている。
俺が食べたい。
いや、そうじゃない。
食べさせてほしいけどそうじゃない。
なんて優しい顔をして見ているのだろうか。
その顔が眩しすぎる。
一緒に動物園とか行きたいな。
こんな反応を園内でずっとしているんだろう。
間違いなく鼻血は出るな。
もしくは見てるだけでイけるかもしれん。
新たな境地を今にも開きそうだ。
「タロウ⋯くん?」
おっと、またアッチの世界に逝き過ぎてたな。
危ない危ない。
帰ってこれなくなりそうだった。
「食べてもいいんだぞ」
俺は魔物にそう声を掛け、ゆっくりと地面に置いた。
アサミさんは口に魚を近づけてみる。
魔物はチラッと俺を振り返って見てきた。
「ほら、食べていいからな」
再度促すと、魚に鼻を近づけクンクンと嗅ぎ始めた。
美味しそうと思ったのか、一気にかぶりつく。
ほう、これが噂のガッツ食いか。
アサミさんもびっくりして手を離している。
あっという間に平らげてしまったな。
そのままアサミさんの方へ行き、手をぺろぺろと舐めはじめた。
「あはは、くすぐったいよ~」
「アサミさん、まだ欲しいのかもしれない。これをあげてくれ」
俺はもう1匹取り出してアサミさんに渡す。
「お腹すいてたんだねっ、まだまだあるからたくさん食べてね!」
はいっと言って差し出すと、すぐにまたかぶりついて食べ始める。
「ふふ、元気になって良かった」
愛おしそうな目で見つめるアサミさん。
屈みながら、手をグーにし顎の下に持っていく体勢だ。
はいギャンかわ。
小首を傾げてるのがさらにダメだ。
キュンポイント上限突破です。
キュンポイント⋯
なんそれ?
よし、忘れよう。
「よしよし、たくさん食べれてえらいねっいいこいいこっ」
はぁ、なんなんだろうこの時間は。
俺を殺しに来てる時間か?
美女と魔物だが可愛い獣が戯れる。
絵になるなぁ。
連写してえ。
連写して連射してぇよ。
本当に見てるだけでイケそうだ。
そんな優しい目で見られながら撫でられる。
もちろん頭じゃない。
そんなとこをそんな目で見て撫でられる。
イッてしまう。
いや、これが本当に逝くってことか。
なんでネットで逝くって言葉に変えて使うやつが居たのかわかった。
このことか。
逝ける、絶対に間違いなく100%逝ける。
そのまま昇天だ。
しかし今逝くのはダメだ。
気を抜いたら確実に俺のパンツは汚れるだろう。
下手したらズボンにまで染みてしまうやもしれん。
「タロウくん、この子のお名前付けようよ!」
「そうだな⋯って連れてくのか?」
食べ終わった魔物は俺の方へ歩いてくる。
俺も屈んでいる。
足の間に入ってきて股間をクンクンと嗅ぎ始めた。
「な、なにしてんだ?」
確認か?
俺がやらかしてないかの確認なのか?
出してない、絶対出てないんだ。
しばらく突然の事でフリーズしてしまったが、俺は魔物をを抱き上げる。
「なぁお前は魔物なのか?」
『クゥーーン?』
「疑問形なのかそれは⋯じゃあ野生動物なのかな?」
『クゥーーン?』
「それも違うのか?というか言葉が理解できるのか?」
『ガウッ』
「んー?まぁお前がどんな存在でもいいが、親はいないのか?」
『クゥン⋯』
「なんて悲しそうな声を出すんだ⋯もしかしてさっきの魔物と関係あるのだろうか。それなら俺達と一緒に行くか?」
『ガウガウッ』
害は無さそうだし、何より可愛い。
アサミさんとこの子が戯れてるのを見てるのは癒されるしな。
「やったぁ!じゃあ君も私達と家族だねっ」
ん?なんと?
聞き間違いか?
「それじゃあ名前を決めないとな。その前に自己紹介だ。俺はタロウ、よろしくな」
「私はアサミだよっ!君の名前は何がいいかなぁ」
『ガウガウッ』
「よろしくって言ってるのか?名前はアサミさんに決めてもらおうかな、いいかい?」
「もちろん!でもセンスなかったら一緒に考えてね?」
「アサミさんが気に入ってくれればなんでも大丈夫だと思うぞ」
「わかった!何がいいかなぁ」
「アサミさんがお前の名前を考えてくれるみたいだからな、歩きながら考えようか」
俺たちは準備を整え歩き始めた。
魔物もアサミさんに懐いたのか、アサミにも抱っこされ歩いている。
魔物を抱き抱え、あれこれ話しかけながら歩くアサミさん。
はぁ⋯癒しだ。
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