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妄想16 助ける?

助かった。


魔物からは助かった。


だがアサミさんからの素敵すぎる攻撃で俺の精神は崩壊寸前だ。


いつまで抱きしめてるんでしょうか。


ずっと二の腕で胸の柔らかさは堪能していたが、背中に感じるとまたすごい⋯


なんなんだこの柔らかさは。


邪念を振り払え、鎮まれ俺の愛しの息子よ!



「良かった、倒せたな。見てくれアサミさん。この光る石の大きさ⋯」


「え?なになに?わぁ、本当だ。すっごいおっきい⋯⋯」



大丈夫だ、俺のは大きくなってない。


なんで相変わらず端折るんだ。


くぅぅ、アサミさんのどんな発言もソッチ方面で脳内変換されてしまう。


ああ、話題を変えたはずなのに、変えた結果方向は同じとこに行くとかありかよ⋯



「この石ってなんなんだろうか。よく言う魔石とか言うやつか?」


「ゲームとか漫画でこういうのあるよね。大きさとか輝きとかで魔物の強さとか魔石の価値とか決まったりしてたような⋯」


「そう考えると相当強かったのかな⋯」


今まで拾ってきた魔石は五円玉くらいの直径の石だった。


この魔石は人の俺の拳より2回りくらい大きい。


何倍の大きさなのだろうか。


俺はそれを拾い上げ、マジックバッグへと収納した。



「タロウくん、あの傷ついてた子、あそこにまだ倒れてるよ」


「ちょっと見てくる」



アサミさんに言われて思い出した。


ピクリとも動かないが生きているのだろうか。


コイツは魔物なのだろうか。


それとも野生動物か?



「まだ生きてそうだな⋯」



近くで様子を伺うと、微かに呼吸をしているのがわかる。



「その子生きてるんだ⋯助けられないのかな」


「魔物だったら襲われる可能性もあるんだ。可哀想だが放っておくしか⋯」



俺はしゃがんで確認していた。


立ち上がって振り向くと、アサミさんはすぐ側に来ていた。



「可哀想だよ⋯なんとか助けてあげたい⋯⋯⋯ダメ、かな⋯」



なんでだろうか。


ただ優しいからなだけなのか。


それともアサミさんにしか分からない何かがあるのか。


だとしてもどうやって助ければいいんだ。



「助けるとしても、助け方が分からないな⋯」


「そんな⋯タロウくんの魔法ならなんとかならないの?」



ウルウルした瞳で上目遣いなんてやめてくれませんか?


そんな顔をされたら陰キャ童貞の俺は逆らえるわけないじゃないか。



「やるだけやってみるよ」


「ありがとうタロウくんっ」



はぁぁぁ、なんて眩しい笑顔なんだ。


この笑顔のためなら頑張れちゃうんだなぁ。


でもどうするか。


やれるか分からないが、治癒魔法か回復魔法を使えないと治せないだろう。


果たしてそんなことができるの分からない。


俺は医学の心得も看護の心得もない。


人体の仕組みだって高校までの授業でやったくらいだ。


こういう時にインターネットに繋がっていればすぐなんだが、さすがにそれは無理だろう。



「タロウくん⋯⋯⋯⋯」



俺が無言で頭を悩ませていると、不安げに声を掛けられた。



「今考えてる、どうやったら助けられるかなって」



女神を不安にさせるんじゃない。


この子に似合うのは笑顔なんだ。


この子を、この子の笑顔を守るんだ。


直接言うなんて陰キャの俺には無理だ。


だけど思うくらいはいいだろう。



「まずは綺麗にしてあげるか」



俺は水魔法を使い、汚れた身体を綺麗に洗い流す。


水は便利だな。


攻撃にも使えるし日常使いもできる。



「これ以上血を失うとまずいよな。早くしないと⋯⋯⋯」


「タロウくん⋯お願い。助けてあげて。頑張ってタロウくん⋯⋯」



祈りを捧げるように手を組んでいるアサミさん。


その姿がなんと可愛らしいこと⋯


どんな場面でもこんなことを考えるなんて俺は余裕だな。


でもこれはアサミさんが可愛すぎるのがいけないと思う。


しっかりとお祈りしているアサミさんの姿を焼き付ける。


もちろん脳内変換でシスター服に萌え変換済だ。


ふう、ネタが増えすぎて困るぜ。


ここまでで向こう3年はイケるな。


っと、今は妄想は後だ。


この魔物に回復魔法を使ってみないとな。


改めて俺は魔物に向き直り、治るように念じる。


魔物に手を翳し、念じた物を放出するように魔法を使う。


今までは魔法と言うより思ったものを無我夢中で出してる感覚だった。


先の戦いで、魔法を使うってのがどんな感じなのか掴めたような気がする。


そして一度使ったものは強く念じなくても使えるのだ。


魔法を行使する。


その感覚で俺は回復魔法を使った。



「ヒール」



傷ついた魔物が薄く淡い緑色の光に包まれた。


みるみるうちに傷が塞がっていく。



「た、タロウくんっ!」



アサミさんが驚きの声をあげている。



俺はそれに答えることなく、集中し魔法を使い続ける。


あと少しか⋯


さらに出力を上げ、傷を治していく。



「ふう⋯⋯⋯、これで大丈夫だと思う」


「やっぱりタロウくんはすごいっこの子の顔を見て。顔色も良くなってきたし、表情も辛そうにしてないよっ」


「ああ、そうだな。良かった」



俺は疲れたのかその場に尻もちをついた。


この魔物のこともあるし、しばらくここで休もう。


もう今日はここで野営でもいいか。


アサミさんも笑顔になったし、助けて良かったとしておこう。



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特に星評価をもらえると最高に喜びます。

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