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妄想12 私の中に入れて

異世界に来て4日目の事だった。


橋があった。


川の広さ的に中流くらいだろうか。


そこに石造りのアーチ状の橋がかかっていた。



「アサミさん!橋がある!これは街道が近くにあるかもしれない!」


「うんうん、人が作らないと橋なんて出来ないもんね!」


「言葉が通じるといいんだけど、それが心配だな」


「そう⋯だよね。私英語苦手だったなぁ⋯」


「俺も苦手だ⋯大学の授業でドイツ語選択したけど、ドイツ語も難しかったなぁ」


「私はフランス語にしたけど、フランス語も難しいの!もう外国語はやりたくないよね!」


「そうだよな。俺もやりたくない!」







そんな話をしながら橋の前に辿り着く。



「これをどっちに進むかで悩むな」


「そうだね。空に太陽⋯なのかな?があるけど、地球と同じ方向感覚でいいのかな?あれを太陽と考えると、北はこっちだよ」



地球と同じ陽の昇り方とするなら、アサミさんの言う通り北はあっちか。



「この川は東から西に向かって流れてるんだな。北より南に向かおうと思うんだけど、どうかな?」


「なんで?」


「暖かい地域の方が作物も育ちそうだし、何より寒いと防寒着がない俺達には危険だからな」


「わかった!私もその方がいいと思う!」


「それじゃこの橋を渡ってみよう!」


「現地民?原住民?に会ったらどうしよう⋯ドキドキするね!」






俺達は橋を渡り、南に向かって歩き出した。


人口建築物があったんだ。


この世界に人がいることが確定したと言ってもいいだろう。


もし人型の生命体が絶滅してるとしたら、風化せずに橋が残るとは思えない。


また森の中を歩くことになるが、明らかに道のようなものがある。


車が2台ほど通れる道だ。


舗装はされてないが、均されている。


何度も人が通ることでこうなったのだろう。



「明らかに道だね。これを進めば何とかなるかもだ」


「うんうん、やったね!」


「でも森に入ったら食料問題があるよな」


「そっか⋯果物はあったけど、その他のが見つかってないもんね」


「それに魔物も出てくるから気をつけないと⋯1度川に戻ろう!少し考えてから進むでもいいと思うんだ」


「うん、ちゃんと準備した方がいいと思う!」





また川へと戻り、2人で頭を悩ませる。



「ここからどのくらいで森を抜けれるか分からないな」


「うん⋯」


「果物だってこの先にあるとは限らないもんな」


「この辺にはもうないもんね」



2人のカバンの中に入るだけのもの入れている。


それだって切り詰めて過ごしたとしても2日がいいところだろう。


それ以上経つと腐るかもしれない。


魚だって焼いたとしても持っていくことは出来ても腐るまでだ。


また3日以上歩くようなら森の中での食料確保が必須になる。


異世界と言えばアイテムボックスとかインベントリなんて便利なものがある。


⋯⋯⋯⋯そうか。


鑑定だって魔法で出来たんだ。


アイテムボックスだって魔法で作れるかもしれない。


俺は魔法でリュックサックをアイテムボックスに変えるように念じてみる。


異空間に物を収納できるようにするんだ。


付与魔法になるのか?


とにかくイメージだ!



「タロウくん?どうしたの?」


「いいことを思いついたんだ」


「また魔法?すごいすごい!今度はなんだろ、楽しみ!」


「今試すから待っててくれよな」



イメージはあの有名な、どら焼き大好きな未来から来たロボットのアレだ。


バックの中を4次元空間にするんだ。


大事なのは時間停止の機能を付けることだろう。


容量だけが大きくなっても仕方ないからな。


まずは中身を全て取り出す。


手をバックに翳し、それらをイメージして念じていく。


今まで魔法はこうすることで発動してきた。


今回もこれで成功してくれ!





俺のバックが淡い光に包まれる。



「タロウくん、光ってる!」



アサミさんが変化に気付き、声を上げる。


まだだ、あと少し⋯


そんな気がする。


これはなんだ、力が吸われている感覚が⋯


更に念じる力を強める。


そうすることでバックを包む光の強さも増していく。


あと少し、あと少し⋯


フッと力が抜ける。


力を使いすぎたのか、身体がふらつき倒れそうになる。



「あっ!タロウくんっ!」



それに気付いたアサミさんが俺を抱きしめ受け止めてくれた。



「ありがとう⋯少し疲れたみたい⋯」


「大丈夫⋯?少しゆっくりしてね」



地面に座り込み、息を整える。



「横にならなくて平気?」


「うん、もう大丈夫そうだよ」


「バックになにかしたの?」


「うん、アニメとか漫画である、アイテムボックスみたいなのを作れないかと思って」


「え!そんなの作れちゃったの?」


「まだ出来たかわからないけど、試してみよう!」


「わかった!」


「アサミさんのバックの中にある果物と、俺のバックにあった果物を全部入れてみよう!」


「これ全部が入るわけないもんね!私がバック持つねっ」


「わかった。じゃあ入れるよアサミさん」


「うんっ、来て!入れてタロウくんっ」



あれ?なんか⋯


くっ、考えるなタロウ!



「どうしたの?早く来て?いいよ、私の中に入れて?」


「わ、わかった」


「ふふ、初めてだからドキドキしちゃうね」



くっそ、相変わらず端折るな言葉を⋯


絶対ワザとだろ。



「ね、早く入れて?タロウくんの全部、私の中に」



ぐはっっっっ!


端折りすぎだろう!


焦るなタロウ!


入れるんだ、果物を!



「い、いくよアサミさん⋯」


「うんっ、タロウくんの大きいの入れてっ」



思わず生唾を飲み込んでしまう。


ダメだダメだ、考えるな!


確かに俺の果物はアサミさんのやつよりも大きい。


ただそれだけのことなんだ!


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