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世界がキミに夢見ている!〜この星を守るピンクレンジャーの不器用な恋〜  作者: 水地翼
第三章:俺と恋しよう?(第14代目六連星始動)
56/112

56.ありがとう広報部

 肌寒くなってきた11月中旬。

 私と光輝くんの関係は、友だち以上恋人未満のままではあるものの、順調そのものだった。


 そして今日、ディア能力を測った結果は、181。

 調子が戻ったと判断され、次回の測定は今まで通り一ヶ月後でいいと米谷さんに言われた。

 つまり、無罪放免というわけだ。

 

 ウキウキ気分で六連星の作戦会議室に戻ると、机の上に雑誌が置かれていた。


「あ! 『MEN'S fan・fan』だ! 今月は誰が載ってるんだろう」


 ひとり言を言いながら雑誌を手に取り、ページをパラパラめくる。


「小春さん⋯⋯やりましたよ⋯⋯」


 誰もいないはずなのに、声がしたかと思ったら、男性がぬっと顔を出した。

 それは、黒縁眼鏡に七三分けヘアが特徴的な、広報部の樺山さんだ。


「わ! 樺山さん! いらっしゃったんですね?」


 どうやらこのお方は、気配を消すのが上手らしい。

 全く気がつかなかった⋯⋯


「それで、やりましたと言うのは⋯⋯」


 一度、樺山さんに雑誌を返却すると、彼は一発で該当のページを開いて見せた。


「なになに⋯⋯ええ!! クリスマスを一緒に過ごしたい女性ランキング!!」


 大きなリアクションに反応してか、奥の休憩室からみんなが出てきた。


「うわ! 樺山、おったんかいな!」


 光輝くんを始め、みんなも樺山さんの来訪に気がついていなかったご様子。


「そうなんです。なんと、この度、クリスマスを一緒に過ごしたい女性ランキング第10位に、小春さんがランクインしたんです!」


 樺山さんは、私が掲載されたページを広げ、高く掲げた。


「わぁ! 本当ですか!? ちょっと見せてください!」


 樺山さんから雑誌を受け取り、詳細ページを見せてもらう。

 本当だ。10位のところに、間違いなく桜坂小春と書かれている。

 掲載されている写真は、アトモちゃんのぬいぐるみをハグしている、ある意味、黒歴史の写真だ。


 ちなみに1位は五年連続首位の二十代後半の女優さんで、今回で殿堂入りとなる。

 2〜4位は清純派の女優さんで、5位は我らが先代のピンク、梅本珊瑚。

 6〜9位はアイドルグループ、フローラルブーケのメンバー達だ。

 ここに私がめり込むなんて、なんという奇跡か⋯⋯


「小春くん、すごいじゃないか!」


「最近、何やら勢いづいて来たみたいだな」


「さっすが! 小春ちゃん!」


 陽太さん、冬夜さん、光輝くんは自分の事のように喜んでくれる。


「⋯⋯⋯⋯恋は人を⋯⋯⋯⋯綺麗にする」


 海星くんは私の耳元で、ぼそっとつぶやいた。


 思わず勢い良く彼の顔を振り返るけど、何食わぬ顔で、すーっと離れて行ってしまう。

 海星くんは妙に鋭い所があるからなぁ。


 けど、実際に髪の毛がツヤツヤになった点については、六連星チャンネルのコメントでも褒められたし、女子力が上がったとのコメントも頂戴した。

 これぞ、恋の効力⋯⋯

  

「小春ちゃん、よかったね。おめでとう。でもこれを良く見てよ。弱気男子の巣窟じゃん」


 樹くんは少し不服そうに、投票者コメントの欄を指さす。

 なになに⋯⋯


『当日、トナカイ型エイリアンが出現しても、守ってもらえるから』

『デートプランがイマイチでも、全力で楽しんでくれそう』

『気に入らないプレゼントを、フリマアプリで売り飛ばすタイプではないと思う』

『レストランの予約をミスってたとしても、怒って帰ったりしなさそう』

 などなど。


「クリスマスデートにトラウマがある人たちでしょうか? なんだか、かわいそうになってきましたね。みんながみんな、そんなことするわけじゃないよと伝えたいです」


 この男性たちは、誰かを喜ばせようと頑張ったのに、上手くいかなかった経験があるのかもしれない。

 

「ちなみに、僕たち広報部員も小春さんのファンなのでバッチリ投票しておきました! もちろん、珊瑚さん派もいますが、先日の人事異動で烏丸珊瑚にお名前が変わっていたのが、相当ショックだったようで、投票どころではなかったかと⋯⋯」


 樺山さんはテヘッと舌を出しながら頭をかく。


 珊瑚お姉さまの結婚は、世間への公表を前に、組織内での情報開示があったんだよね。

 この投票結果をみる限り、今後、多くの男性が嘆き悲しむ姿が思い浮かぶ。


「つまり、私を10位に押し上げてくださったのは、広報部の皆さんのお力添えがあってのことですね。ありがとうございました!」


「いえいえ、次はもっと上を目指しましょう! 小春さんの魅力を世間に伝えられるよう、全力で働きますから!」


 樺山さんは鼻息荒く、作戦会議室をあとにしたのだった。

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