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2.急変

 これと言って変わりもなく、通れる道を歩んできた。

 これだけ歩いてきた!なんて言っても、結局人の気配、なんなら人の遺体だって見つからないまま。

 まず人に会う、というだけでもかなり時間がかかりそうだ。


 アル「ところで詩月さん、こんなことを言うのも何ですけど…

 あなたが昨日までいたところはオールエンドに襲われたんでしたよね。

 他にどこか人がまだいるところを知っているんですか?」


 詩月「ええ、一応離れの場所に友人がいまして。昨日も通話してたので多分大丈夫です。

 今いる場所があっていれば丁度この道の方向にその街があります。

 もっとも、徒歩で行くとなると結構時間がかかると思いますけど…」


 アル「具体的にどのくらいですか?」


 詩月「隣の県なので…大体ここからだと100何十kmで、一日2、30kmいけるとして一週間かからないくらいですね。」


 アル「歩いて100km以上はきついですね…

 ないと思いますけど、乗り物とかは?」


 詩月「オールエンドが現れてからもう全国でパニックになって、道路や地下鉄なんかは翌日には全て止まっちゃって…

 自転車とかがあっても崩れた道を通るのでどっちにしろ乗っていけない状態です。」


 アル「じゃあやっぱり着くまでに食料と水が必要になると思うので、どこか商店街とか飲食街を探した方がいいと思います。

 ここら辺か道中にそういうところはありますか?」


 詩月「えぇっと、ここら辺は住宅街ばっかで近くに一応商店街とかもありましたけど、すでにそういうところは人が集まってオールエンドが壊していったのでもうないです。

 道中にもいくつか飲食店やショッピングモールはあったと思いますけど、まだ残ってるかは分かりません。」


 アル「でもこれっぽっちの水だけじゃ到底足りません、その途中にあるお店とかを周りましょう。」


 詩月「了解です、とりあえず着いたら少し店舗内を漁ってみましょう。」


 時間がかかる以上、食事と水は欠かせない。

 あわよくば着替えやバックパックだって欲しいが、これだけ来てもそういった物資は全く無かった。

 昨日の収穫のなさから元よりあまり期待はしていなかったが、いかんせんまず「物」がほとんどないのが気になる。


 人の遺体しかり、食料品しかり、人々がオールエンドから逃れた際に多少なりとも物資が落ちていてもおかしくはないはずだが、綺麗さっぱりなくなっている。

 オールエンドというものは、まず物理的に人を殺して回ってるということではないようだ。


 やはり引っかかるのは、あの瓦礫の山が丸ごと消え、周囲の穴も破片一つ残らずそのまま空けられたような穴だったという点。

 未だ遺体が見つからないのも、人を丸ごと消滅させているから、というのなら辻褄が合う様な気もする。

 昨日見た突然現れた荒野や地平線まで続く破壊跡だって、どこにも街の残骸なんかなかった。


 オールエンドは怪獣モノのような圧倒的な力でこの世界を壊したのではなく、物をそっくりそのまま消してしまうような超常的な力を持っていると見て間違いないだろう。

 そんなのが神出鬼没で、見つかったら多分ほぼ死と同義。

 実に恐ろしい限りだ。

 もう少し情報が欲しい、彼にもっと話を聞くとしよう。


 アル「あの、さっき言ってた“オールエンド”についてもっと知りたいんですけど、話してくれますか?」


 詩月「ええ、もちろんです。

 モールにつくまでとりあえず。」

 歩きながら青年は少女に語る。


 詩月「まず、オールエンドは名前の通り『全ての終わり』という存在です。

 出会ったら最後、身体そのものが消滅させられてしまいます。一説には魂さえ消えて無くなってしまうなんて話もあります。

 オールエンドがどれほど強大な存在かは、この惨状を見ればわかると思います。この民家もあの大きなビルも、全部あいつが壊していったんです。」


 アル「どんな見た目をしているんですか?」


 詩月「あまり正確には見えないんですが、全身真っ白い人型のような姿をしています。

 オールエンドを見ようとすると、どうも輪郭がぼやけたり、まるで空間が歪んでいるように見えるんです。」


 アル「姿が見づらい…、大きさとかは、普通の人間ぐらいですか?」


 詩月「多分大体2mぐらいかと思います。

 …あと、オールエンドはその身長以上の大きな剣みたいなものを持ってて、その剣を振るったあたりが薙ぎ払われたように消えてなくなります。」


 アル「その、オールエンドはどれぐらい前から現れたんですか?」


 詩月「大体半月前ぐらいだと思います。

 最初ネットニュースで市街地が消滅したって流れてきて、そこからどんどん被害が増えていって、今はもうこんな有様になってしまって…」


 アル「…色々と話してくれて、ありがとうございます。」


 詩月は辛そうに話していく。思い出したくもないことを思い出したのだろう、その上で話してくれて本当にありがとう。

 さて、私が眠っている間に何が起こったのかはこれで大体わかった気がする。

 突然現れたオールエンドに市街地が消滅させられた、おそらく昨日見かけた広大な荒地のことか。

 そこから半月の間、今日まで被害が拡大していっているということで間違いはないだろう。


 昨日より前のことは一切分からないが、オールエンドが現れる前にはやく行かないと。



 …もしかして、この記憶喪失もオールエンドが関係していたりするのか?

 私一人だけになぜそんなことを?というのはあるが、昨夜は(おそらく)見逃されて、昨日起きたあの場所も周辺は特に壊されたような跡もなく安全な領域だったと思う。


 以前までの自分がどのような人間だったのかは分からないが、誰もいない所へ一人で行くというのも考えづらい。

 あそこにいた理由、思いつくとしたら何らかの目的があってあそこへ行ったか、誰かしらが私をあそこへ移動させたかのどちらかだろう。それ以外には思いつかない。


 前者ならなぜあそこで寝てしまったのか、そして記憶喪失になったのかの理由が分からない。

 そもそもなにかをしようとしていたのなら近くに持ち物なりがあってもいいと思うが、あの場には私一人だけでそれ以外に人も物も何もなかった。

 居心地は良かった気がする、けれどそれ以外何もないあの場所へ何も持たず行くこと自体が不自然だし、まあないと思っていいだろう。


 だとしたら後者、特にオールエンドが私をあそこへ運んだと見ていいか。他に私をあんなところに運ぶ動機を持つ人間も中々いないだろう。

 何か理由があって私の記憶を消しあそこへ連れていき、昨日も私を見逃した。

 私がオールエンドにとって何らか特別な存在である可能性…あり得るのだろうか?

 オールエンドが超常的な力を持っていることはほぼ確実で、記憶を消してしまうような力があってもおかしくはない。

 タイミング的にも今の状況的にも整合性はある。だからこの仮説で因果関係は一応説明がつく…が、一番の謎が残った。


「私は何者なのか」結局はここに帰結する。

 半月前オールエンドが現れたばかりのこの時に、私があそこで目覚めた。

 まぁまだオールエンドが犯人とは決まっていない、他の誰かが私を避難させたという線もあるにはある。

 ただその場合、その人はどこへ行ってしまったのだろう?

 私以外はなぜ避難していなかったのだろう?…


 …私を運んだ何者かがオールエンドであると考えた方が楽な気がしてきた。

 私とオールエンドとの関係性…、今これを考えていても答えはでない。

 一旦はこの結論で終わらせよう。疲れた。


 現状出来ることは人を探すこと、それ以上に出来ることはなにもない。

 なるべく早く、人のいる場所へ行かなければ。


 〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-〜-


 長らく歩いてきて、ようやく物がありそうなショッピングモールの跡地へたどり着いた。

 見たところ穴が空いていたり欠けたり汚れているが、崩れてしまいそうなほどではない。


 詩月「それじゃあ、軽く中を見てみましょう」


 アル「はい」


 建物の中へ入っていく。

 中の様子も思ったよりは綺麗にあり、そこそこの店舗が商品を残したまま開いている。

 難点とすれば、電気が切れており天窓や風穴から差し込む日の光でしか内部を照らせていないところだろうか。

 入り口すぐの案内板を見ると、一階は服屋やスーパー、奥の方にはフードコート…今まさに欲しいものがおおよそある。


 2階以降はまた余裕があれば見てみよう、今は必要なものを回収するのが最優先だ。

 アル「じゃあまず…スーパーで食料品を探しましょう。」


 詩月「分かりました。

 それにしても良かったですね、ここから見ても結構商品残ってそうですよ。」


 アル「ええ、本当に良かったです。

 早速いきましょっ」


 入って近くのスーパーへ顔を出す。

 中も、いくつか棚から商品が散乱しているが多くは残されたままだ。

 そこに落ちているペットボトルを一つ手に取ってみる。

 アル「賞味期限…そういえば今日は何日ですか?」


 詩月「今日は_6/19です。」


 アル「良かった、まだそこそこ賞味期限残ってます。

 近くのお店からリュックサックとかを持ってきましょう。」


 詩月「分かりました。

 向かい側にスタイルウェア(服屋)があったので行きましょう。」


 ペットボトルを一つだけ持ち、スーパーを一度出る。

 大きな通路を挟んで向かいにはお目当ての服屋が見え、その道を横断していく_


 ガギグゲ


 詩月「うぉっ⁉︎」


 アル「ッ⁉︎ うわっぁ‼︎」



 通路の中央を踏み越えたすぐ、崩れるような異音とへこんだような違和感を足元に感じると、向かって前方を歩いていた詩月は倒れ込んだ。

 その膝をついた瞬間、舗装されたように見えた通路は岩の砕ける音、金属が軋み捩れる音、けたたましいような轟音と共に大胆に崩れ落ちた。


 床だった破片と一緒に詩月が奈落へ落ち込んでいった。

 それはあまりにも唐突で、手を伸ばそうにも全て遅かった。

 残った地面から深淵を見下ろして、なくように一声叫んだ。


 アル「詩月さん⁉︎」

本編に描かないところも作るから時間がかかるんだよなぁ()

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