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非日常は日常に…




森の中。

今度は詳しく描かれた地図を持ち、見覚えのある景色を歩く。

前回とは何もかも違って足取りも軽い。



早く会いたい…

自分の都合で1年も待たせてしまった。


でも、どうしても必要な準備だったから疎かにも出来なくて…



ああ…早く、早く会いたい。


やっと結界の境界線

ここを通るとすぐにあの家が見えてくる。

この結界をくぐると直ぐに気づくはずだ。


結界の直前で後ろから突然巨大な殺気を感じ、殺気の主をすんでのところで受け止める。


「ハク…」


「セージお前、今まで何をやっていたのだ!

マリーを待たせてでもやらないといけないことだったのかっ!

マリーが毎日どんな気持ちでお前を…」


「俺だって!

…俺だって早くマリーに会いに来たかった!

でも、これからマリーの隣にいるためにはやらないといけないことだったんだよ!


ハクが知っているのか俺は知らないけど、マリーはこの国の王族でも迂闊に手が出せない魔女薬師の始祖メデュシラの森の今代魔女薬師様で、先代にして新薬の女神と呼ばれるアンジェリカ様の実質的な弟子にして共同開発者だ。本人は、全く自覚は無いけれど…」


『…ああ、そうだ。

しかし、我がいる』


「確かにそうだ。

ハクがついているから護衛はつけられていなかった。例えつけてもハクの足でまといになるから。

しかし、今回の俺の解呪でマリーの価値をさらに上げてしまった。

人の護衛もつけるべきだと意見が出て、俺が名乗りを上げた。

アンジェリカ様が出した条件は、マリーのそばに置くのは強くて信用出来る者。

この条件をクリアできるのは俺だけだ」


『……まぁ、そうだな。

知らないヤツをマリーのそばには置けないし、弱いヤツなんてもっての外だ。

セージが護衛につくことは、始めから決定事項だったということか』


「そうだ。

そういう訳で俺の地位の確立と手続きで今になってしまった」


『…人間の面倒くささは知ってはいるが…

やっぱり遅すぎる!』


「俺もそう思うよ…切実に」


ため息をひとつこぼすと、ハクに進んでいいか確認する。


「…仕方ない。

もうこれ以上マリーを待たせるな」


渋々の承諾だったが、理解してもらえたようだ。

ありがとうと礼を伝えて、薄い滑らかな布と布の間を通るような感覚を覚えながら結界に足を踏み入れた。







「…っ!」


誰かが結界内に入ったことに気づく。


知っている。

間違いなく誠司さんだ!


気づいてしまったら居ても立っても居られない。

急いで外に出ると…



「誠司…さん…」


10m先くらいに誠司さんが立っていた。

旅装束ではあるものの小綺麗で長旅をしていた感じではない。


(何処かに寄ってから来たのかな?)


「マリー、そこから動かず何も言わずそのまま聞いてほしい。

まず、再び来る事を約束していたにも関わらず1年も待たせてしまったことを謝りたい。

申し訳なかった…」


頭を下げられて、「事情があったのだから…」と口を開こうとしたところで誠司さんは首を横に振り、何も言わないでと止められる。


「事情があるにせよ、自分の立ち回りがよくなかったからこんなに時間が掛かってしまったんだ。だから、これは自分のせい。

マリーが気遣う必要は全くないよ。

むしろ、遅い!って怒ってもいいくらいだ。

…手紙には待っているって書いてくれてたけど…、もし、本当に変わらず待っていてくれていたのなら、マリーの前に立つことを許してくれる?」


そう尋ねられて焦って咄嗟に声が出ず、うんと頷いて返事をする。

ほっとした表情の誠司さんが私の方へ近づいて私の前で止まる。

そして、解呪の契約の時の様にスッと跪くと私の手を取る。


「マリー…会いたかった。

かなり待たせてしまったけれど、許してもらえるかな…

告白の返事を聞かせてもらいたい」


表情が分からないが、緊張しているのか誠司さんの手は冷たい。


「ご、ご本人から許しが出たから怒らせてもらうわ!

ほんと、どれだけ待たせるのかって思ってた。

トマスには散々言い寄られてほんとに困ったんだから!肝心な時にあなたは居ないし…」


「トマス…まだ諦めてないの…か?」


「いいえ、完膚無きまでに振ってやったわ!

今は、紹介された方と婚約中で来年には結婚するの」


「そうか…よかった」


「その「よかった」は、トマスへの気遣い?それとも…」

「もちろん、マリーを取られなくて「よかった」の方だよ!

トマスが一番の気がかりだったんだから!」


余裕なく焦る誠司さんってちょっと可愛く見えてしまう。


私は、誠司さんの手にそっと私の手を添える。


「これからは、一緒にいられるの?

そうなら、私、嬉しいんだけどな。


私、誠司さんが好きだから…」


そう答えると、自分の手に添えられた私の手を見ていた誠司さんは、満面の笑みで私を見上げて抱きかかえ、ぐるぐると回り出す。


「いやったぁ!!!」


「ち、ちょっと…せ、誠司さん!

お、お願い、だから止まってぇ…

こ、こわい…こわいからぁ……」


あまりの怖さに誠司さんにしがみつく私を更に誠司さんは抱きしめる。


「ああ、俺、今、死んでもいい…」


『本当に…死んでいいのか?』


鋭い牙をちらつかせるハク。


「ハク!

いやいや、それくらい幸せだってことを言いたかっただけだよ!

本当に死にたいわけないだろう!

やっとマリーとずっといられるのに死んでたまるか!」


『だろうな』と、ニマニマしながら家に歩いて行く。


『ほら、いろいろと話があるだろう?

とりあえず、家に入ろう』


「そうだね!

誠司さん、おかえり!」



「ああ!

マリー、ハク、ただいま!」








おわり



これにて完結となります。

ここまで読んでいただきありがとうございました

m(_ _”m)


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