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桜色の雲に浮かんで・・・・・・ 7

 ようやく、入力作業も終わり、寄付をしてくれた人のチェックも終え、やっと今日の仕事は終了した。

 ひとつ背伸びして、肩の凝りをほぐす。って、私の場合、ほとんど入力してくれたのは、熊坂さん(妹)だったのだけど・・・・・・

 いよいよ、自由時間だ!

 さっそく、各会場に繰り出して、観桜会楽しんでくるぞ!

 私たちは、着替えもそこそこに、連れ立って、校舎から外へ出て行った。

 あ、もちろん、熊坂さん(妹)は、本来なら、今日は一日中生徒会室につめていなきゃいけなかったのだけど、会長にムリをいって、私たちと一緒についてきている。というか、多額のお金を目の当たりにして、呆然としている会長の混乱に乗じて、許可をもらったのだけど。

 私たちは、まず、グラウンドの体育会系屋台村をのぞいた。

 お好み焼き、焼きそば、おでん、学園祭の定番屋台。だけでなく、観桜会にちなんで、桜もちだとか、桜湯なんてのも・・・・・・

 塩漬けのピンク色のしわしわの物体に、熱いお湯をかけたら、開いて膨らんで、さくらの花びらがコップの中に。ほのかに桜の甘い香りも漂ってくるような・・・・・・

「素敵~」

 私たち、三人、同時に同じことを口にした。なんかそれが楽しくて、自然と笑い声がこぼれた。華やかな、珠が転がるようなって形容される笑い声三つ。行き交う人も、屋台の先輩たちも、なんだかまぶしげに私たちを見ていた。特に私を・・・・・・

 桜もちのパックを買って、3人で、道々かじりながら、ブラブラと歩く。

 裏庭の舞台では、軽音楽部のギタリストと吹奏楽部のフルート奏者が、静かだけど、華やかな春風のような曲を演奏していた。聴衆たちも聞きほれ、目を閉じている。イメージの中の春の野に、遊んでいるのだろうか・・・・・・

 やがて、演奏は終わり、観客の熱烈な拍手の中で、その二人は、アンコールの曲を始めた。春の女神が化身した色鮮やかな蝶が、あちらこちらと戯れ飛ぶ、幻想的だけど、どこかなつかしい曲。

 素敵~


 それから、私たち3人は、いよいよ裏山の入り口へ。

 裏山に近づくに連れて、琴の音色が聞こえてきて、いやがうえにも、上品で繊細な雰囲気をかもし出している。

 こんなパーカーとデニムのパンツなんて私服で見てまわるのではなくて、着物を着て、楚々と歩き回った方が、はるかに雰囲気に溶け込んで、よかったかもしれない・・・・・・

 実際、何人も着物を着て、裏山を散策している女性がいるのだし・・・・・・

 私、ちょっと後悔した。

 あ、でも、私、着物って、自分では着れないんだった。夏に着る浴衣も、親戚の結婚式のときも、着物のときは、ママに着つけてもらってばっかり・・・・・・

 ちょっとは、私も、着付け習った方がいいのかしら?

 あと、4年もすれば、私も、成人式で、振袖着ちゃうのだし。着付けできるって、なんか格好よくない?



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