お花見しましょ? 4
で、そんなこんなで、金曜日。
私はいつものように、ありさちゃんとの待ち合わせ場所へ駆けていく。
でも、あれ?
いつもありさちゃんが一人で私を待っているのに、今日はありさちゃんの隣に・・・・・・
「ありさちゃん、おはよう。・・・・・・学君も、おはよう?」
「おはよう」
「よう」
なんか、学君照れたように、私に手を上げる。
「今日は学君も一緒? めずらしいね?」
「そ、そっか?」
「だって、いつもバス停で・・・・・・ あっそうか、熊坂さんにバス停取られちゃったからかな?」
でも、学君、イヤっと手を振る。違うみたい。じゃ、なんなんだろう? なんで、いつものバス停でなく、ありさちゃんと一緒なの? ヘンなの!
「じゃ、おれ、先行くわ。後でな」
私が、なにごとかと探るようにジロジロみるのに、耐え切れなくなったのか、学君、さっさと私たちに背を向けて、坂道を上っていった。
「うん、教室でね」
「・・・・・・・うん」
え!? 私の聞き間違い? いつも、あのヘンタイ男とか散々ののしっていたのに、今日はなんか大人しいていうか、しおらしいというか、はじらっているような。
なんだか、乙女って感じの声。
おもわず、私、ありさちゃんをジロジロ見つめちゃった。
な、なにがあったの? ここ数日の二人の間に・・・・・・?
ありさちゃん、私の方を急に振り返って、私の手をつかんできた。
「え、え!? な、なに?」
驚いている私に返事をせずに、ありさちゃん、
「さ、つかさちゃん、私たちも行こ?」
「う、うん・・・・・・」
一体、この二人に、なにがあったのだろう?
ありさちゃんが道々話してくれたところでは、先日の出来事ですっかり生気すらなかったありさちゃん。
放課後の部活もいつもの道場での稽古も精彩を欠いて、しばらく散々だった。
でも、そんなありさちゃんを心配してか、学君が部活の帰り、道場からの帰り、毎日待っていてくれたらしい。
あんな風におびえさせられて、暗い道を一人で帰るのって、とても勇気のいること。かといって、学校や道場に一人きりで取り残されるのなんて、もっとイヤ。だから、ずっと帰り道、学君と一緒に帰っていたんだって。
でも、あの学君とありさちゃんのこと、一緒に帰ったっていっても、きっと何も話題もなくて、会話とかせず、ただ黙々と二人で歩いていただけなんだろうなぁ~
ちょっと想像するだけで、わらっちゃう。
それでも、頼れる人間がそばにいるなんて、ありさちゃんには新鮮なことだった。だって、いつも私に頼られて、私を守ってばかりいたのだから。それがちょっと恥ずかしいけど、うれしかったんだってぇ。
なんか、頬の辺りを染めながら、そんなことを言ってた。
GJだ! 学君!
よくやった。それこそ男子だ! すごく格好いいぞ!
その調子で、二人の仲をもっと進展させて、恋人同士になってくれると、いとこのお姉さんとして、すごくうれしいのだけど・・・・・・
そして、ライバルがひとりいなくなって、私と清貴さんの距離が・・・・・・
うふ。